2026.04.01
多言語対応LMSの選び方|海外拠点・外国人従業員教育を成功させる比較ポイントとTotara解説
「海外の現地スタッフにも日本と同じ品質の教育を受けさせたい」
「外国人人材にも十分な研修を受けられる環境を整えたい」
グローバル展開を進める企業や、外国人人材を雇用する企業の多くが、いまこの課題に直面しています。
政府の調査によると、アジア圏を中心に日本企業の海外現地拠点は年々増加傾向にあり、外国人人材の採用も過去最高を記録しました。もはや社員教育の対象は、日本語を話す国内社員だけではありません。多様な言語を話すスタッフに対して、それぞれの言語で質の高い教育環境を整えることが、企業の競争力を左右する時代になっているのです。
しかし、外国人人材の教育には様々な課題が付きまといます。海を渡ってスタッフにどのように教育を届けるか、そして言語の壁をどう乗り越えるか。
そこで有効な手段となるのが、LMS(学習管理システム)を活用した社員教育です。特に多言語対応のLMSを選ぶことで、統一されたプラットフォーム上で、世界中のどの拠点でも同じ品質の学習体験を届けることができます。
本記事では、多言語対応LMSを選ぶ際のポイントと、グローバル企業で採用されている「Totara」の特徴を解説します。
目次
1. なぜ今、企業に多言語対応LMSが不可欠なのか
1-1. 加速するビジネスのグローバル化と外国人従業員の増加
1-2. LMSだけでは解決しない教育の壁
2. 多言語LMSの選び方|失敗しないための4つのチェックポイント
2-1. 対応言語の「幅」の確認
2-2. データの保管場所とコンプライアンスの確認
2-3. サポート体制の確認
2-4. 必須機能のチェックリスト
3. 多言語対応LMSとしてのTotaraとは?企業向けLMSの特徴
3-1. Totaraとは?多言語対応LMSとしての基本機能
3-2. Totaraが多言語展開組織に選ばれる5つの理由
4. LMS Totaraの導入事例|グローバル教育の成功例
4-1. SHIMANO|国をまたぐ整備士教育を一元化
4-2. ユニセフ|世界190カ国をつなぐ学習プラットフォームで教育の分断を解消
5. まとめ|多言語対応LMSでグローバル人材育成を加速するならTotara
1. なぜ今、企業に多言語対応LMSが不可欠なのか
1-1. 加速するビジネスのグローバル化と外国人従業員の増加
近年、日本企業のグローバル展開はますます加速しています。経済産業省の「海外事業活動基本調査」(※)によれば、製造業を中心にタイ、インドネシア、フィリピンなどASEAN諸国における日本企業の海外現地法人は年々増加しています。
また、国内でも外国人人材の登用が急速に進んでおり、厚生労働省が2025年1月に発表した「外国人雇用状況」(※)によると、2024年10月末時点には日本で働く外国人労働者は230万人を超え、過去最多を記録。10年前の2015年から約2.5倍という急激な伸びを見せています。
こうした変化は、企業の人材育成戦略に根本的な転換を迫っています。
従来の日本人従業員だけを対象とした教育モデルでは、もはや組織全体の成長を支えることはできません。海外拠点の現地スタッフや国内の外国人人材も含めた、すべての従業員に質の高い学習機会を提供すること──これが、グローバル時代の人材育成における新たなスタンダードとなっているのです。
※経済産業省「海外事業活動基本調査」
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kaigaizi/index.html
※厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_50256.html
1-2. LMSだけでは解決しない教育の壁
近年、多くの企業がLMSを導入し、社員教育のデジタル化を進めています。従来の集合研修は、移動時間や会場費、講師の確保など膨大なコストと手間がかかるうえ、研修ごとに内容や質にバラつきが生じやすいという課題がありました。こうした背景に加え、コロナ禍を契機としてオンライン研修の需要が急速に高まり、LMSは国内の社員教育において標準的なツールとして定着してきています。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
多くのLMSは日本人従業員向けに最適化されているため、教材やシステムの多言語化が十分に進んでいません。その結果、海外拠点のスタッフや国内の外国人従業員への展開が滞り、「教育を受けられる人」と「受けられない人」という新たな格差が生まれているのです。
では、海外拠点や外国人従業員を含めた全社的な教育を実現するには、どのようなLMSを選ぶべきなのでしょうか。次章では、多言語対応LMSを選定する際に必ず押さえるべき具体的なチェックポイントを解説します。
2.多言語LMSの選び方|失敗しないための4つのチェックポイント

「多言語対応」を謳うLMSは数多く存在しますが、その実態は千差万別です。システムのUIのみが多言語化されているものから、コンテンツの多言語化、例えばテキスト情報を言語ごとに切り替えて表示できる機能を持つもの、さらには外部のサービスと連携して動画などを多言語化できるものまで、その範囲には大きな差があります。
ここでは、グローバルな人材育成を本格的に実現するために、多言語対応LMSを選定する際に必ず確認すべき4つのチェックポイントを解説します。
2-1. 対応言語の「幅」の確認
まず確認すべきは、対応言語の範囲です。自社が展開する国や地域、そして国内外で雇用する外国人従業員の言語を把握し、それらの言語にLMSが対応しているかを確認します。多言語対応だからと採用を決めても、いざ導入してみると必要な言語が含まれていなかったというケースも少なくありません。対応言語の「数」だけでなく、「どの言語」に対応しているのかを必ず確認しましょう。
また、「多言語対応」という言葉の意味も慎重に見極める必要があります。システムのUI(ユーザーインターフェース)、つまりメニューやボタンなどの操作画面だけが多言語化されるのか、テストや教材といったコンテンツも言語ごとに切り替えて表示できるのかでは、実用性が大きく異なります。UIのみ多言語対応が可能なLMSは比較的多く存在しますが、コンテンツレベルでの多言語管理機能を備えたLMSは限られています。
特に教材コンテンツや動画の多言語化については、LMSの機能だけでは解決できない部分も多く、自社が保有するコンテンツの種類と多言語化の要件を明確にした上で、他システムとの連携も含めて検討する必要があります。例えば、動画は字幕のみ多言語化すれば十分なのか、音声まで多言語対応したいのか——こうした要件によって、必要な機能や連携先のサービスが大きく変わります。
選定時には、どこまでの範囲を多言語化したいのか、システムはどこまで多言語対応が可能なのか、具体的な仕様を確認しておきましょう。
2-2. データの保管場所とコンプライアンスの確認
グローバル展開において重要なのが、データの保管場所です。
各国には個人情報の取り扱いに関する独自の法規制が存在し、従業員の学習データや個人情報をどの国のサーバーに保管するかは、コンプライアンスの観点から極めて重要です。代表的な例として、EUのGDPR(一般データ保護規則)では領域外へのデータ移転に厳格な条件が課されており、中国のサイバーセキュリティ法では、データのローカライゼーション(国内保存義務)が定められています。
特に中国では、重要情報インフラ運営者や一定規模以上の個人情報を扱う企業が国内でビジネスを展開する場合、原則として国内のサーバーにデータを保管する必要があります。
LMSの選定時には、クラウド型かオンプレミス型か、クラウドの場合はデータセンターをどの地域に設置できるか、各国の法規制とネットワーク環境に対応できるかをチェックしておいた方がよいでしょう。
2-3. サポート体制の確認
問題が起きたときに、どのようなサポートが受けられるかもチェックしておきたいポイントです。海外拠点の場合は、タイムゾーンをカバーしたサポートが受けられるのか、導入時の操作説明や問い合わせはどの言語が対応可能かなど、自社の運用も考えながら、確認しておく必要があります。
日本のベンダーの場合、海外サポートはパートナー企業経由になることも多いため、パートナー企業の実績や評判についても事前に調査しておくとよいでしょう。
2-4. 必須機能のチェックリスト
多言語対応に加えて、グローバル展開を前提とした基本機能についても十分に確認する必要があります。
〇組織管理と権限設定
グローバル企業では、地域・国・拠点・部門など複雑な組織階層を持つことが一般的です。そのため、LMSがこうした多層構造に柔軟に対応できるか、階層ごとに適切な権限設定が可能かを確認します。
〇レポート機能とデータの可視化
全社的な教育状況を把握するためには、グローバル全体を対象とした統合レポートを作成できることが不可欠であり、国別や拠点別の詳細レポートを柔軟に作成できるかどうかも確認します。加えて、人材育成戦略の観点からどのようなレポーティングが必要となるかを見極め、その要件に対応できるLMSを選定することが重要です。
〇将来的なシステム連携やカスタマイズの可否
導入時には想定していなかった機能が後から必要になる可能性があります。そのため、人事システムや業務システムとの連携が可能か、また独自機能の追加など企業の成長に合わせた柔軟な拡張ができるかどうかを事前に確認します。
3.多言語対応LMSとしてのTotaraとは?企業向けLMSの特徴
このように国内外の外国人従業員を含めた全社的な教育体制を整えるためには、日本人従業員を前提にした従来のLMS選定以上に、考慮すべき要素が多いと言えます。では、具体的にどのようなシステムがあるのでしょうか。ここでは、グローバル企業にも広く導入されている「Totara(トタラ)」をご紹介します。Totaraは、企業向け学習ソリューションの評価で世界的に権威のあるTraining Industry社の「Top20 LMS企業」に、12年連続で選出されている実績を持つプラットフォームです。
3-1. Totaraとは?多言語対応LMSとしての基本機能
Totaraは、世界中の教育機関で使われているオープンソースLMS「Moodle」をベースに、企業向けに最適化されたプラットフォームです。Moodleが大学や学校などの教育機関向けの機能に特化しているのに対し、Totaraは組織管理、パフォーマンス管理、従業員エンゲージメント向上など、企業の人材育成に必要な機能を強化しています。
ニュージーランドで開発されたTotaraは、現在世界中の大手企業、政府機関、NGOなどで採用されており、複数の国に製造拠点を持つグローバルメーカーや、世界各地に店舗・支店を展開する小売・金融企業など、多国籍展開を進める企業での導入実績も豊富です。
>企業向けLMS「Totara Learn」とは?人材育成に効く機能と導入メリットを徹底解説
3-2. Totaraが多言語展開組織に選ばれる5つの理由
Totaraがグローバル企業の多言語教育において圧倒的な支持を得ているのには、以下のような理由があります。
2:多言語フィルタによるコンテンツの言語切り替え
3:動画の多言語字幕対応など外部システムとの多様な連携
4:テナント機能による国や地域別のブランディングの実現
5:柔軟なホスティング
詳しく見ていきましょう。
①豊富な言語への対応
Totaraは幅広い言語に対応しており、管理者が言語パックをインストールするだけで、システムのUIを多言語環境へ構築できます。現在利用できる言語パックは38個にもおよび、英語はもちろん、アジア圏では、日本語、中国語、タイ語、インドネシア語など、ヨーロッパや南米の主要言語であるスペイン語、ポルトガル語、フランス語、ドイツ語、イタリア語なども利用できます。そのほか、オランダ語やロシア語、トルコ語、アラビア語など多様な言語が、パックをインストールするだけで利用できます。
言語は利用者ごとに設定でき、ブラウザで利用している言語に自動で設定されるなど、多言語対応には非常に優れた機能を持っています。
②多言語フィルタによるコンテンツの言語切り替え
多くのシステムはシステムUIの多言語対応はしていますが、コンテンツの多言語対応はまだまだできていないというのが現状です。コンテンツとは、例えば講座のタイトルやテストの設問など、管理者自身がシステムに登録をするものです。
コンテンツの多言語化に対応していないLMSであれば、ブラウザの自動翻訳などを利用して対応しますが、自動の翻訳機能のため、専門用語が別の意味の単語に置き換わってしまったり、作成者の意図とずれた翻訳になってしまったりする危険性もあります。
Totaraでは多言語フィルタ機能により、コンテンツを設定された言語に自動で置き換える機能が備わっています。
例えば、英語、日本語、フランス語でコンテンツを表示したい場合は、専用の記述方式によってテキストを入力すると、設定された言語に応じて該当言語が表示されるようになります。作成者の意図が反映された翻訳が表示されるため、重要な教育コンテンツの場合には、非常に有用な使い方ができます。
▽ユーザーの設定した言語によって、該当の言語のテキストが表示される
③動画の多言語字幕対応など外部システムとの多様な連携
Totaraはオープンソースのため、企業の特性に応じた様々な拡張が可能です。動画のストリーミングサービスも限定はされておらず、例えば字幕の多言語対応が可能なサービスと連携をすることで、1つの動画を複数の言語の字幕で展開することができます。
④テナント機能で国や地域別のブランディングを実現
Totaraのテナント機能は、多数の従業員を抱える企業やグローバルで展開する企業において非常に強力な機能です。
テナントとは、1つのシステム内に異なるコンテンツとユーザーを持つ独立したグループを構築できる仕組みです。テナントがあることで、1つのTotaraプラットフォーム内に国や地域ごとに独立した学習環境を構築できます。各テナントは独自のブランディング、カリキュラム、ユーザー管理を持ちながら、本社は全体を一元管理できます。
⑤柔軟なホスティング
TotaraはSaaS型LMSと異なり、サーバーの設置場所を自由に選択できる点が大きな特長です。オンプレミス環境での完全自社管理、パブリッククラウド、プライベートクラウドなど、企業のセキュリティポリシーや各国の法規制に応じて最適な環境を選定できます。
例えば、機密性の高い情報を扱う企業では完全な自社ネットワーク内での運用が可能ですし、すでに保有するクラウドインフラを活用することもできます。また、データのローカライゼーション要件がある国では、その国内のクラウドサーバーを選定して設置することも可能です。
特定のベンダーのクラウドサービスに依存せず、企業や国のルールに合わせて柔軟にサーバー環境を構築できるTotaraは、複数国でのグローバル展開を考える企業にとって、コンプライアンスとセキュリティの両面で非常に有用な選択肢となります。
4.LMS Totaraの導入事例|グローバル教育の成功例
ここからはグローバルで展開している組織のTotaraの活用事例をご紹介します。
4-1. SHIMANO|国をまたぐ整備士教育をTotaraで一元化
シマノは日本を代表する自転車部品メーカーで、スタッフの育成にTotaraを活用しています。高品質な部品の評判を維持するには、ヨーロッパ各国の独立系自転車販売店で働く整備士たちが、シマノ製品の知識を正しく理解することが不可欠です。しかし、これらの整備士はシマノの社員ではなく、ヨーロッパ各国に分散する独立系の販売店に所属しており、使用言語も国によって異なります。従来は紙のマニュアルを送付していましたが、情報がすぐに古くなる上、複数言語への対応や配布管理に大きな負担がかかっていました。
シマノは13言語で160以上のプログラムと250以上のコースを提供できる学習ハブをTotaraに構築しました。各国レベルで管理権限を委譲できるため、本社の負担を削減しながら、各国の言語に応じた柔軟な教育展開が可能になりました。
整備士は自分の役割に応じて推奨プログラムを受講し、オープンバッジによる認定を取得できます。また、Totaraの通知機能により、各国の言語でログインリマインドや、好みに基づいたコース提案も実現しています。現在、25,000人以上のユーザーに拡大し、約17万件のコース修了実績を誇る成功事例となっています。
>リンク(英語):
https://www.totara.com/customer-stories/shimano/
4-2. ユニセフ|世界190カ国をつなぐ学習プラットフォームで教育の分断を解消
ユニセフは、190以上の国と地域で活動する国際機関です。23,000人を超える職員に加え、100万人以上のパートナーや一般学習者を対象に、Totaraベースの学習プラットフォーム(Agora)を運用しています。
ユニセフでは多様な国の学習者に向けて26言語でコースを提供。組織の境界を越えた積極的な取り組みを展開するほか、テナント機能により1つのプラットフォーム上で国連の複数機関がそれぞれ専用の学習環境を持ちながら、独自のコースを提供しています。
また、LinkedIn LearningやGamotecaといった業界をリードするソリューションとの連携、さらにPageUp、SAP、Azureとの統合により、オンボーディング時のアカウント作成やオフボーディング時のアカウント解除を自動化し、グローバル規模で効率的な人材育成を実現しています。
5.まとめ|多言語対応LMSでグローバル人材育成を加速するならTotara
グローバル化が進む中、企業は「どの国でも同じ品質の教育を提供すること」や「外国人従業員にも確実に理解してもらうこと」といった課題に直面しています。
Totaraは、38言語以上に対応する多言語機能、言語に応じたコンテンツ自動切り替え、地域ごとの独立運用を可能にするテナント機能など、多国籍企業の教育を強力に支える仕組みを備えています。こうした特長から、「多言語での一元管理」「拠点間での教育品質統一」「外国人従業員への確実な安全教育」といったニーズに対し、非常に有力なLMSです。
自社のグローバル人材育成をさらに加速させたい企業は、Totaraの活用をぜひご検討ください。
日本で唯一のTotaraパートナーであるヒューマンサイエンスが、導入から運用までしっかりとご支援いたします。
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