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2022.04.11

2025.10.31

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「SCORMに準拠したeラーニング教材」とは?メリット・デメリット、構成、作り方まで解説!

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    eラーニング教材を作成・運用する際、「SCORM対応」「SCORM化」という言葉を耳にしたことはありませんか?SCORMに準拠した教材は、さまざまなLMS(学習管理システム)で活用でき、学習データの記録や管理などが効率化されます。

    今回はそんなSCORMにフォーカスし、メリット・デメリット、SCORM教材の構成や具体的な作り方まで、幅広く解説します。

    1. SCORMとは

    SCORMとは、「Sharable Content Object Reference Model」の略称で、eラーニングを標準化するための規格の名称です。米国のADLという米国防総省系の組織が提唱しており、世界にその採用を促しています。
    SCORMに準拠することのメリットのひとつに、「互換性」が挙げられます。互換性とは、異なるLMSであっても、SCORMに準拠していれば、同じ教材を同じように利用できるということです。
    ※:実際には、LMSごとに、個別の調整が必要なことがあります。そのため、弊社ではお客様のご要望と共にLMSの名称などについてもヒアリングし、最適な対応をご提案しています。

    そのため、お客様からLMSの移行や教材の載せ替えについてご相談をいただいたとき、初期のヒアリング内容には、必ずSCORMに関するご質問が入ります。お客様からいただく、SCORM関連のご相談は多岐にわたっています。一部ですがご紹介します。

    • SCORMに準拠した教材が大量にあり、LMS移行後も利用したいが、うまく搭載できない
    • 既存の教材がSCORMに準拠しているかわからない
    • 新旧LMSで準拠しているSCORMのバージョンが異なるので、対応してほしい
    • 既存の教材をSCORM対応させたい
    • 簡単にSCORM教材が作れるツールはないか
    • 新LMSが推奨しているツールを使って教材を開発してほしい
    • 旧LMSの教材は引き継ぎ不要だが、新LMSに搭載できる形で新規に教材を開発してほしい

    2. SCORMに準拠しているeラーニング教材とは

    SCORMに準拠したeラーニング教材のことは、「SCORM対応している」「SCORM化されている」「SCORM教材」などと表現します。
    教材のSCORM化とは、教材を標準化された仕組みに対応させることです。

    では、eラーニング教材がSCORM化されていると、LMSに搭載したとき、どのような働きをするのでしょうか。大きく分けて2つあります。

    1)教材の構造に関する情報をLMSに渡す(LMS上での表示や学習順を決める)
    2)学習履歴(進捗状況、テストの点数、合否、学習時間など)をLMSに渡す

    このように、SCORM化された教材は、LMSと連携して教材の構造や学習履歴を適切に管理できるようになります。これにより、学習者は自分の進捗を確認しながら学習を進められ、管理者は学習データをもとに受講状況を把握し、適切な指導やサポートを行うことが可能になります。

    3. eラーニング教材をSCORMに準拠させるメリット・デメリット

    eラーニング教材をSCORMに準拠させることで多くのメリットが得られます。しかし、その一方で技術的なハードルや運用上の制約が発生することも考慮しなければいけません。ここでは、SCORM対応のメリットとデメリットについて解説します。

    【メリット】

    LMSと教材の相互利用・再利用などの利便性向上

    SCORMに準拠した教材は異なるLMS間でも互換性を持つため、特定のLMSに依存することなく運用が可能です。また、同じ教材を複数のシステムで再利用できるため、コンテンツの活用範囲が広がります。

    リプレイスする際の教材制作・時間的コストの削減

    LMSを変更する際も、SCORM準拠の教材であれば再制作の必要がなく、移行作業の負担を抑えることができます。これにより、教材の作成・更新にかかる時間とコストの削減が実現できます。

    学習者の進捗状況と結果を追跡できる

    SCORM対応のLMSでは、受講者の学習履歴(進捗状況やテストの点数、学習時間など)を詳細に記録できます。そのため、管理者は受講者の学習状況を的確に把握し、適切なサポートや評価を行うことができます。

    このようなメリットを通して、より効果的なeラーニング環境を構築でき、学習者の理解度アップや教育の質の向上につながります。

    【デメリット】

    SCORMに準拠した教材コンテンツが必要となる

    SCORM対応のLMSでは、基本的にSCORM準拠の教材が必要となるため、既存の教材をそのまま流用できないケースがあります。特に、SCORM非対応のコンテンツを使用していた場合、コンテンツの再構築が必要になることがあります。

    SCORM準拠の教材コンテンツを制作するには、専門的知識や技術が求められる

    SCORM対応の教材を作成するには、HTML、CSS、JavaScriptなどのコーディングスキルや専用ツールの操作など、さまざまな知識が求められます。そのため、教材制作のハードルが上がる可能性があります。

    導入費用や運用にコストがかかる場合も

    SCORM対応のLMSを導入するためには、導入費用や教材制作コストが発生する場合があります。また、運用中にはコンテンツの更新や技術的サポートが必要になるため、継続的な費用がかかる点も考慮する必要があります。

    SCORMに準拠したeラーニング教材は、再利用性の向上や学習管理の効率化といったメリットがある一方で、導入や運用に専門知識やコストが発生するというデメリットもあります。導入を検討する際は、自社のLMSの仕様や運用体制などを考慮し、SCORMのメリットを活かせる環境作りを意識しましょう。

    4. SCORM教材の構成

    SCORM教材の標準的な構成は以下のとおりです。
    ・manifestファイル
    ・教材HTMLファイル(SCO)
    ・jsファイルなど(設定データほか)

    manifest(マニフェスト)ファイルは、教材の構造に関する情報を持っています。
    LMS上で教材を表示すると、教材の構成(目次)を確認できますが、この情報を提供しているのがmanifestファイルです。
    また、目次上の項目と実際の教材データの紐づけ(1章1節のファイルは、0101.htmlである等)などもmanifestファイル内で記述されます。

    教材HTMLファイルは、教材の本体(実際の解説やテストなどのいわゆる「中身」)です。HTMLファイルをベースとしています。
    当該教材内で、最も小さな単位のことを「SCO」(スコ、エスシーオー)と呼びます。教材により1つのSCOとなる範囲はさまざまです。
    たとえば、教材は3章構成になっているが、3章分が1SCOとして扱われていて、全章閲覧しなければ修了にならないということもあります。そうではなく、章や節の単位で区切られ、「1章」「2章」「3章」、「1-1」「2-1」「3-1」などがそれぞれSCOになっていることもあります。
    LMSの目次には、各SCOがリンクとして提示され、学習単位になっています。したがって、LMS上で区切られている単位がSCOと考えていただくとイメージしやすいかもしれません。
    SCOの区切り方は自由に設計できます。
    弊社で教材制作を行う際、SCOの単位(区切り)は設計初期の要確認事項です。

    通常、学習履歴はSCOの単位で取得されます。

    そして、教材側からLMS側に渡す閲覧の情報や、合否の判定について設定したファイルが合わさり、SCORM教材を構成しています。これらのファイルは、JavaScriptを使って記述されます。

    5. SCORM教材の作り方

    では、SCORM教材はどのように作れば良いのでしょうか。
    新規で作成する場合、最も簡単なのは、SCORMに対応したツールを使う方法です。

    iSpringやStorylineを使うと、設定項目を指定するだけで、SCORM教材を生成できます。ツールによって機能は異なりますが、履歴の取得方法などを細かく設定することもできます。
    上記の2つのツールは、教材として必要な設定項目や、書き出し時に指定するSCORMのバージョンについては知識や確認が必要であること、また、ひとつの教材に複数のSCOが設定できないなどの制限はあるものの、専門知識はほとんど要りません。なお、Storylineはインターフェースが英語です。

    ツールの利用が難しい場合には、ある程度の専門知識が必要です。
    既にeラーニング教材があり、それを活用したい場合には、当該データの状況によって必要な対応が変わるため、まずはデータの解析など調査を行います。また、LMSを移行するケースでは、LMSが対応しているSCORMのバージョンが新旧で異なっていないかなども確認します。

    なお、SCORMは、DLC デジタルラーニングコンソーシアムで認定している資格制度の一角を占める(SCORM技術者)、知識や技能が必要な技術です。
     関連リンク:iSpring Suiteとは?特徴・価格・導入メリットを紹介

    6. LMSの変遷

    冒頭でも述べた通り、ここ数年、eラーニング業界では「LMSの移行」もトレンドのひとつです。
    弊社でeラーニングコンテンツの業務を開始した2000年頃には、日本の名だたる大企業がLMSをリリースしていました。
    そこから20年以上の時を経て、LMSも時代と共に変遷し、求められる役割が変わってきています。
    近年では、教育面での管理だけには留まらず、人事情報なども含めて管理する「タレントマネジメントシステム」として、さらに多くの機能を備えたシステムの台頭が目立ちます。
    また、MoodleやTotaraといったオープンソースのLMSも登場しており、選択肢が増えています。
    LMSの導入方法も変化しています。以前は、クライアント企業が専用のサーバを自前で構築するなど、比較的大掛かりな準備を、それなりの費用をかけて行うものでした。しかし、今では、クラウドサービスで利用できるLMSも登場し、それを期間限定で利用することも特別なことではなくなっています。全体的に、eラーニングが利用する企業の規模に関わらず導入されやすい状況です。
    また、残念ながら、LMS事業から撤退する企業もあり、そのような状況も手伝って、LMSの入れ替え関連の対応もニーズが高まっているようです。

    7. まとめ

    今回はSCORMと、それに準拠した教材について解説しました。導入を検討する際は、自社のLMSの仕様や運用体制などを踏まえ、最適な方法でSCORMを活用することがポイントです。特に、教材制作のリソースや運用の負担を事前に把握し、必要に応じてSCORM対応のオーサリングツールや外部の専門サービスを利用することで、効率的な導入や運用が可能になります。

    ヒューマンサイエンスは2000年のサービス開始以来、eラーニングの草創期から教材作成に携わり、多くの実績を築いてきました。LMSの導入やリプレース対応に伴うコンテンツの移行など、さまざまなソリューションをご提供しています。

    お困りのことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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