2025.07.30
2025.07.30
eラーニング制作のプロが教える!Articulate Storylineの効果的な使い方
近年、自社でeラーニング教材を作成して社内教育を行う企業が増えています。簡単にeラーニング教材が作成できるソフトウェアも数多くあり、eラーニングの導入もより手軽になってきました。ところが作成したeラーニング教材を従業員に受講させると「わかりにくい」「つまらない」という声が寄せられたり、最後まで受講してもらえなかったりと、さまざまな課題が出てきます。
どうしたらわかりやすく、満足度の高いeラーニング教材を作れるのでしょうか。このブログでは、eラーニング制作にお悩みのかたへ、Articulate Storylineの効果的な使い方や質の高いeラーニング教材を作るヒントをご紹介します。
目次
1. eラーニングを実施しても効果が得られない原因
リモートワークの普及やDX化の影響から、多くの企業でeラーニング形式の研修が採用されるようになってきました。時間や場所を選ばず効率よく教育を行えること、集合研修の実施に必要な人件費等もかからないことから、eラーニング形式の採用には多くのメリットがあります。
しかしながら、eラーニングで研修を実施しても受講者からの評価も低く、充分な教育効果も得られず元の集合研修に戻したというケースが多くあるのが現状です。
eラーニングで研修を実施しても学習効果が得られない原因として、どのようなことが考えられるでしょうか。主な原因として以下の3つが挙げられます。
1-1 コンテンツが長く、業務に支障が出てしまう
1コンテンツあたりの視聴時間が長いと学習者の集中力を低下させてしまいます。その結果、読み飛ばしや聞き流しなど、学習がおざなりになってしまう傾向があります。また、1コンテンツあたりの再生時間が長いと負担に感じてしまうこと(業務時間が削られてしまう、メールやチャットの通知など他のことに気を取られてしまうなど)により、業務とのバランスが崩れ、学習効果だけでなく業務効率にも悪影響を与えてしまう恐れがあります。
1-2 コンテンツの内容が実務に活かせない
1人で学習することが多いeラーニングでは、一方的なインプット学習となる傾向があります。アウトプットを行う機会がないため、知識を身に着けても充分に活かせず、eラーニングの教育効果を発揮できません。 また、実践的な内容が含まれていないコンテンツを受講した場合、実際の業務には全く役に立たず「eラーニングはやってもムダ」と思われてしまう恐れがあります。
1-3 魅力的なコンテンツと感じてもらえない
文字を読むだけのスライドや流れてくる音声を聴くだけの単調なコンテンツは、魅力がなくつまらないと感じやすい傾向があります。受講者が常に受動的な姿勢でいると、学習者のモチベーションを低下させ、人によって教育効果はまったく得られない結果となってしまいます。
本当にeラーニングは教育効果がなく、実施する意味はないのでしょうか。
次は、eラーニングの教育効果を高める方法について、ヒューマンサイエンスが考える対策法を見ていきましょう。
2. マイクロラーニングを活用する
マイクロラーニングとは、数分程度の短時間で学習できるコンテンツを提供する手法です。短時間で学べるため、受講者はモチベーションを維持しながら学習することができます。
マイクロラーニングは、主に次のような場面に向いていると言われています。
- 忙しいビジネスパーソンに向けて:
通勤時間や休憩時間などのスキマ時間に学習したい場合 - 定着のために繰り返し学習したい内容:
記憶に留めたり行動に移すために継続的に学びたい場合 - 最新情報の提供:
基本的な知識は持っているものの、アップデート情報を伝えたい場合
その他、SNSのショート動画に慣れた若手社員などにも有効といわれています。
ここからは、マイクロラーニングに基づくコンテンツの代表的な作成方法をご紹介します。
2-1 内容を短くする
マイクロラーニングのコンテンツは、1分など極めて短い時間で学習できるように設計します。要点を絞って提供することで、学習者の集中力を維持します。
※学習時間は、学習者のタイプや学習内容などの条件によって、1~3分程度または5~10分程度が適切といわれる場合があります。
※eラーニングとして提供する場合は、3分または5~10分程度を意識すると良いでしょう。更に短い場合は、メールやチャットなどを活用したほうが学習(アクセス)しやすいと考えられます。
2-2 課題とテーマを明確にする
具体的に「どんな課題に対して」「どんな結果を導くか」を明確に指定して、1つの特定の課題に対する解決策を提供します。
例えば、「プレゼンのオープニングを最も効果的にする手法」などです。1つのテーマに絞ることで、プレゼン前の社員が必要な情報(実際に困っていること)をピンポイントで学ぶという使い方を想定することができます。
2-3 見やすさの工夫をする
受講しやすい印象のコンテンツを作成することも、マイクロラーニングの作成においては大事なポイントです。
シンプルなデザイン性や直感的な操作ができると学習者にとって受講しやすい印象になります。Articulate Storylineではなく、同じArticulate360の契約に含まれるRiseというツールでは、従来のPowerPointのようなスライド型ではなく、Webサイトを閲覧するようにスクロールして受講を進めるコンテンツを作成できます。シンプルなデザイン性で操作もしやすく、モバイルデバイスにも対応したレスポンシブデザインを採用しており、より柔軟な学習スタイルに対応しています。テストの作成や、ボタン操作で学習を進めるインタラクティブ要素の追加も可能です。
3. ブレンディッドラーニングを導入する
ブレンディッドラーニングとは、集合研修やeラーニング、OJTなどさまざまな学習方法を組み合わせた教育手法です。知識中心のeラーニングの欠点を、実践的な内容の集合研修や業務の中で教育するOJTでカバーすることができます。
3-1 ブレンディッドラーニング(反転学習)の実施方法
ブレンディッドラーニングとして、ここではeラーニングと集合研修を組み合わせた「反転学習」の形式をご紹介します。
この手法では、eラーニングで基礎的な知識を事前に習得し、それを踏まえた実践的な内容の教育やフィードバックを集合研修で行うという流れで教育を行います。また、1回のインプットとアウトプットでは終わらせず、受講者のスキルや経験に合わせて、繰り返し(段階的に)実施する方法も高い教育効果が見込めます。
3-2 ブレンディッドラーニングのメリット
ブレンディッドラーニングの導入には、企業側にも受講者側にもメリットがあります。
企業側のメリット
事前にeラーニングで知識を習得した状態で集合研修やOJTを行うので、研修期間を短縮することができます。これにより、研修にかかる時間やコストの削減が期待できます。
受講者側のメリット
基礎的な知識を事前に習得してから集合研修やOJTに臨めるので、心理的負担もあまりありません。また、集合研修で行うグループワークや議論で身に着けた知識の整理をしたり、多様な視点から業務を捉えることができるようになります。
4. 魅力的なコンテンツを作成する
受動的な学習ではなく能動的な学習や、楽しみながら学習できるコンテンツは、学習効果の高いコンテンツになり得ます。
参考: 以下のような教育理論においても、コンテンツに興味を持たせる工夫が必要であることが示されています。
ガニェの9教授事象: 1段階目:「学習者の注意を喚起する」
ARCSモデル: 一段階目:「Attention(注意を惹く)」
4-1 インタラクティブなコンテンツの例
クリック操作で変化する画面や、ドラッグ&ドロップ形式のクイズ、記述式のクイズなどがあります。受講者がどの選択肢を選んだかで分岐してその後の学習内容が変わるなど、学習者の興味を引く仕掛けを施したコンテンツがインタラクティブなコンテンツです。
Articulate Storylineを使うと、クリック操作で読み進めたり、ゲーム性のあるクイズなどをコンテンツに実装できます。インタラクティブな要素を実装するための機能が多数備えられており、受講者が楽しみながら学習を進めるコンテンツをPowerPointのような操作感で簡単に作成することができます。また、シナリオベースの学習やシミュレーションを作成することも可能です。
4-2 アニメーションを活用する
その他にも、アニメーションを活用したコンテンツも学習者のモチベーション低下を防ぎ、高い学習効果が期待できます。
アニメーションの活用シーン
事例を通したケーススタディや、テキストだらけの教材や難解なテーマなどは、アニメーションを活用すると理解度が高まります。複雑なプロセスや概念を文字による情報だけではなくアニメーションを使って説明することで、受講者が直感的に理解できるようになります。
簡単にアニメが作成できるツール:Vyond
Vyondは1,900以上の背景、1,300以上のキャラクター、14,000以上の小物イラスト、2,400以上のアクション(キャラクターの表情や動き)があらかじめ用意されているので、組み合わせるだけで作成できるツールです。
Vyondを使用することで、これまで期間と費用がかかったアニメーション制作も短時間で簡単に作成することができます。視覚的に魅力的なコンテンツを提供し、受講者の興味を引きつけるコンテンツを作成することが可能です。
できあがったアニメーションをArticulate Storylineにインポートしてボタン操作と連動させることでインタラクティブなコンテンツを作成することもできます。
●アニメーション(Vyond)を活用したeラーニング教材制作事例
[東京エレクトロン様 制作事例ページへ]
5. まとめ
研修においてeラーニングを導入する企業は増えましたが、効果的な研修にするためには工夫が必要です。このブログで紹介したArticulate360製品を使えば効果的な教育コンテンツを比較的簡単に作成できますが、時間的な制約や予算の都合等で自社制作するのはハードルが高い場合があります。
ヒューマンサイエンスではArticulate Storyline制作サービスを行っています。豊富な経験を持つスタッフが多数在籍しており、より効果的なコンテンツを短期間で作成することが可能です。教育効果の高いeラーニングコンテンツの制作をご検討の方は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。
[Articulate作成代行サービスページへ]
[Vyond作成代行サービスページへ]
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