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2025.09.04

2025.9.4

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Articulate Localizationでコンテンツが一瞬で多言語化できる?新機能を徹底検証

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    Articulate Localization レビュー

    2025年、Articulate360の新機能Articulate Localizationがリリースされました。Articulate LocalizationはStorylineやRiseの編集画面から直接利用できる翻訳支援機能で、AIによる機械翻訳を活用してコンテンツを即時に多言語化できるのが特徴です。

    通常のプランとは別に追加契約が必要ですが、Articulate StorylineやRiseの編集画面からわずか数ステップで多言語版コースができあがります。複数言語へ同時に翻訳することも可能なので、コンテンツの多言語展開がこれまでにないスピードで行えると注目されています。

    このブログでは、実際にArticulate Localizationを使ってみたレビューを、機能の使い勝手や多言語翻訳への影響など、制作会社の視点からお届けします。

    この記事は、2025年7月に実施した検証に基づき執筆しています。アップデートや機能変更などによりご紹介内容と異なる場合がありますのでご注意ください。

    1. 新機能 Articulate Localizationとは?

    Articulate Localizationは2025年にリリースされたArticulata360の新機能です。Articulate StorylineやRiseのプラグインとして組み込まれており、編集画面から数回のクリックでコンテンツ全体を翻訳することができます。

    これまでArticulate StorylineやRiseからコンテンツを翻訳するにはxliffファイルやwordファイルにエクスポートし、翻訳後にインポートする必要がありましたが、今回リリースされた新機能により、機械翻訳であればエクスポートやインポートを行う手間もなく簡単にコンテンツの翻訳ができるようになりました。

    翻訳エンジンはDeepL と Amazon Web Services (AWS)を使用しています。DeepL がカバーしていない言語に対しては AWSを使用する仕組みになっており、70以上の言語に翻訳が可能です。さらにアラビア語のような右から左に書く言語へも対応しており、地域による表現の違いやフォーマル度に合わせて翻訳をカスタマイズできます。

    2. 翻訳手順

    ここからは、実際の画面をお見せしながらArticulate Localizationでの翻訳を検証していきます。画面は主にRiseのコンテンツを取り上げていますが、Articulate Storylineでも同様に翻訳やレビューを行うことが可能です。

    まずは、Articulate Localizationの翻訳手順を見ていきましょう。

    手順1 翻訳メニューを開く

    コース一覧から、翻訳したいコースのメニューアイコン[…]をクリックします。
    [Translate]を選択するとポップアップウィンドウが表示されます。

    翻訳メニューを開く

    手順2 言語を指定して翻訳

    翻訳元の言語、翻訳先の言語を指定して[Translate]ボタンをクリックします。翻訳先の言語は複数言語の同時指定も可能です。Language Formalityでは、翻訳のニュアンス(フォーマル/カジュアル)も一部言語で選択できます(現在のところドイツ語・スペイン語・フランス語などの欧州9言語のみ)。

    言語指定画面

    翻訳が開始され、結果が表示されます。翻訳は[Translation]ボタンをクリックしてから数秒〜数十秒で、複数言語を翻訳先にしても待ち時間はほとんどありません。(画面は翻訳元を日本語、翻訳先を英語・フランス語とした場合)

    翻訳結果表示

    以上でArticulate Localizationでの翻訳は完了です。わずか2ステップで複数言語のコンテンツができました。

    機械翻訳なので、ここから翻訳のレビューを行ったりレイアウトの調整を行ったりする必要はありますが、翻訳作業が非常に簡素化された点はArticulate360の大きな進化と言えます。

    3. 翻訳後の調整

    では実際、翻訳後の調整はどのように行っていくのか、またどのような調整が発生するのかを見ていきましょう。

    3-1 翻訳のレビューと変更

    Articulate LocalizationではDeepL と Amazon Web Services (AWS)を翻訳エンジンとして使用しており、70以上の言語に対応しています。機械翻訳のクオリティは日々進歩し続けていますが、直訳のような言い回しになることは多く、まだまだポストエディット作業が不可欠です。

    翻訳結果はReview360上で確認・修正できます。サイドメニューのTranslationを開くと翻訳元と翻訳先が対訳形式で表示され、ここから直接訳語の編集ができるため作業効率が大幅に向上します。

    Translation 画面

    また、Translation上で訳語の変更を行うと、元のRise編集ファイルのテキストも自動的に反映されます。訳語の変更を編集ファイルに反映する手間がかからず、修正漏れも防げるためとても便利な機能です。

    3-2 文中に改行が入った箇所への対応

    文中に強制改行やShift改行がある場合、翻訳結果にばらつきが出ることがあります。言語によっては文が分割されてしまうため、翻訳前に改行を削除しておくのが望ましいです。

    以下、Riseで強制改行とShift改行を入れた日本語テキストを用意しました。

    改行テキスト例

    Articulate Localizationで複数の言語へ翻訳したところ、改行が入っていても1文として翻訳する箇所と、文を区切って翻訳する箇所がありました。

    改行による翻訳の違い

    上は英語とチェコ語の例ですが、チェコ語だから文が区切られたというわけではなく、どの言語でも規則性なく発生する可能性があります。また、Articulate Storylineでは、強制改行でもShift改行でも改行の前後で文が区切られてしまうことが確認されました。言語によっては文が分割されてしまうため、Articulate Localizationで正しく翻訳するには、文中に入った改行をあらかじめ削除しておくのが望ましいです。

    3-3 言語が混在している箇所への対応

    海外の文献の引用やソフトウェアのUI用語など、1つのコンテンツ内で複数の言語が使われることは多くあります。

    複数の言語が含まれているケースでは、どのように翻訳されるか見てみましょう。

    以下のように日本語の中に英語・韓国語・スペイン語が混在しているテキストを用意しました。

    多言語混在テキスト例

    先にご紹介した通り、Articulate Localizationでは翻訳元の言語は1つしか指定できません。そのため、日本語を指定すれば日本語部分だけが翻訳され、その他の部分は翻訳されずオリジナルのまま残るはずです。ところが翻訳先をフランス語にして翻訳を行ったところ、以下の結果となりました。

    多言語混在翻訳結果

    韓国語とスペイン語は翻訳されず原文のまま残っていましたが、意図していない英語部分の翻訳が行われてしまいました。

    翻訳した際にエラーが表示されたりすることはないため、翻訳後のチェックは入念に行う必要がありそうです。

    3-4 レイアウトが崩れた箇所への対応

    コンテンツの多言語化は、日本語から英語や多言語、英語から日本語を作成するケースが多く、翻訳元と翻訳後の文字数は大きく変わります。そのためコンテンツの多言語化工程ではポストエディットと並び、レイアウトの調整も必須です。

    Articulate Localizationはあくまでも翻訳支援機能であるため、レイアウトの調整までは対応していません。特にStorylineで翻訳した場合、フォントが翻訳元言語のままになっていなかったり、テキスト枠の大きさがテキストの長さによって自動調整されていないため手作業で調整を行うことになります。

    また、翻訳の過程で元のスタイルが崩れてしまうケースも見られました。以下は、同じ日本語テキストを英語と中国語に翻訳した際、箇条書きが崩れてしまった例です。元の日本語は箇条書きで3項目が並んでいましたが、不要なカッコが挿入されて改行が崩れていたり、箇条書きのスタイルそのものがなくなってしまう事象が確認されました。

    箇条書き崩れの例

    スタイルの崩れ方は一定ではなく、テキストに箇条書きのスタイルが当たっていても翻訳後の結果は様々でした。事前の対策も難しいため、翻訳後の入念なチェックが必要です。

    4. 自動で翻訳できない項目

    ここからは、Articulate Localizationでは翻訳できない箇所についてご紹介します。翻訳できない箇所はもちろん元言語のまま残るため、手作業で対応することになります。

    4-1 画像・動画内テキスト

    画像の中や動画の中に出てくるテキストは文字列として認識されないため翻訳対象外になります。また、画像化されたテキストも同様に翻訳されません。PowerPointファイルをArticulate Storylineにインポートして作成する際、PowerPoint上でグループ化されたテキストが画像化されることがあるので注意が必要です。

    4-2 Storylineブロック(Rise)

    Riseに搭載されていないインタラクションを追加する際に使用するStorylineブロックは翻訳対象外です。以下のようにStorylineブロック内のテキストは翻訳されず元言語のまま残るため、Storylineで別途翻訳を行いRiseで差し替えます。

    Storylineブロックは翻訳対象外

    4-3 Text-to-Speechの音声

    Text-to-Speechを始めとして、コンテンツ上に含まれる音声は翻訳されません。コンテンツに音声が入っている場合は翻訳後に別途作成し直す必要があります。

    Articulate Storylineのスライド上に音声に合わせたアニメーションの設定が付けられている場合は、作成し直した音声に合わせたアニメーションのタイミング調整も手動で調整します。

    5. Articulate Localizationはコンテンツ翻訳を変えられるのか

    Articulate Localizationは、複数の言語を数ステップで同時に翻訳できる点が非常に便利な機能です。しかし、翻訳後のポストエディットやレイアウト調整は当然ながら必要で、さらに翻訳されない箇所もあり、完全な自動化には至っていません。機能としてはまだまだ発展途上であり、現時点では、確実性を求める場合は従来通りWordやXLIFFファイルを使った翻訳が安心です。

    ヒューマンサイエンスでは、Articulate StorylineやRiseを使用したeラーニングコンテンツの制作サービスを行っています。豊富な経験を持つスタッフが多数在籍しており、目的に合わせた効果的な教材を短期間で制作することが可能です。また、IT業・製造業・医薬医療分野を始めとした多方面で多言語翻訳の実績もあり、幅広くサービスをご提供しております。

    eラーニングコンテンツの制作でお困りの際は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。

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