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2017.09.27

ノウハウ

企業教育におけるeラーニング きほん①(はじめに)

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    「企業教育におけるeラーニング きほん」シリーズでは企業教育におけるeラーニングとはどんなものなのか、基本の部分からご紹介していきます。既にご存知の方も多くいると思いますが、ぜひ初心に戻って読んでいただけるように書いて参ります。

    今回は、その1として、以降の記事の前提となる内容をお伝えします。

    さっそくですが、まず、日本の企業教育の現状から見てみます。
    日本の教育研修費用は、従業員1人当たり44,892円*1 (eラーニング、集合研修等を含む)となっています。それに対し、アメリカでは1,252ドル(約15万円)*2。レート等による誤差はあるものの、3倍以上の費用差です。

    社員の教育(と、それによるサービス・品質の向上)は、企業の発展に欠かせないものと考えます。これほどの投資差は、日本企業の将来にも影響しかねないのではないでしょうか。
    企業の教育研修費用をアメリカの水準に上げることは容易ではありませんし、社会の構造や前提が異なる以上、必要のないことかも知れません。ただし、教育の質はもっと向上できるはずです。そのために、基礎から振り返って見直していきたいと思います。

    *1 産労総合研究所「2016年度(第40回) 教育研修費用の実態調査」より
    *2 ATD「Investment in Learning Increases for Fourth Straight Year」より(2015年の調査。1ドル=120円で計算)。この調査には、タレントディベロップメントを担当する社員の給与を含むなど、日本の調査と異なる箇所があります。

    eラーニングとは

    eラーニングと言っても様々なものがあります。
    業界として一般的に言われるのは、学習管理システム(LMS)を使った学習を指すことが多いですが、広義的にはPCなどデジタル端末を利用した様々な学習を含みます。ウェブサイトでの公開やメールでのPDF等配布、CD/DVDでの配布、Wikipediaやモバイルアプリなどを使用した個人学習までが含まれます。

    内容も多岐に渡りますが、一般的には、知識系・技能系・態度系の3つに分類されます。

    知識系: コンプライアンス、情報セキュリティ など
    技能系: 機械等操作技術、ソフトウェア操作技術、接客技術 など
    態度系: ビジネスマナー、ダイバーシティ、環境教育 など
    (意識や心、印象に訴えるもの)

    それぞれの分類に合わせて表現方法・提供方法などを入念に計画する必要があります。
    ※ 旧来、「技能」は行動するための知識習得(+行動を促すこと)が限界でしたが、VR/AR/MRなどの最新技術が発展する中で、疑似体験による「実技」の習得も可能になりつつあります。

    その他にも、様々なベクトルから分類することができます。
    ・対象者層の広さ(若手向け、全員、地域限定 etc)
    ・コンテンツタイプ(動画、ゲーム、クイズ、音声有無 etc)
    ・実施目的(評価、技能習得、規則・法令順守 etc)
    ・学習者種別(自社社員、BtoB社員、個人)

    この様な特徴・目的等の違いから、教材の構成、表現、使用する技術などを計画していくことが、 eラーニング教材の最初の一手である「企画」です。 企画にズレがあると、出来上がるコンテンツにも学習者も行き違いが発生し、「こんな教育受けたくない」とか「分かりづらい」とか言われてしまうことに成りかねません。

    学校教育と企業教育

    「教育」と言葉で伝えると、学校教育がイメージされがちですが、 企業教育は、成人教育であり、かつ、人材開発という側面が大きく、学校教育とは目的も対象者の特徴も大きく異なります。

    【学校教育と企業教育の違い(例)】
      学校教育 企業教育
    対象者の特徴 若い・素直 老若男女・やる気の度合いも様々
    目的 学生個人が設定する目標達成(xx校に入りたい 他)、基礎学力の定着、一般教養・専門性の習熟、職業訓練 会社が達成したい事業目標達成、または個人目標達成(会社の成長、インセンティブ獲得、評価・技術向上)

    成人教育の質を上げるためには、
    記憶に残す仕組みだけでなく、やる気を引き出す仕組み、実践させる仕組みなどが必要になってきます。対面・対話でない一方通行のeラーニングだからこそ、しっかりとこの工夫を組み込む必要があります。また、従業員は「学ぶこと」を目的に仕事をしているわけではありません。仕事をするために「学ばなくては」と、危機感を感じている人たち以外にもやる気になってもらう必要があります。
    そのための基礎理論として、「インストラクショナルデザイン」(ID)が活用されています。

    第2回は教育設計の理論であるインストラクショナルデザインについて焦点を当てます。

    立野 慶吾

    執筆者:

    立野 慶吾
    教育ソリューション部 コンサルティングユニット
     ・研修講師・Webデザイナー等を経験
     ・教育設計・eラーニング開発等に従事
     ・ラーニングデザイナー(eLC認定)
     ・ATD International Professional Member

    お問合せ先:

    事業推進部 森岡
    電話番号 : 03-5321-3111
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