2020.08.19
コロナ禍での集合研修をどう実施するか?今こそeラーニングに移行するとき!?
新型コロナウイルスの感染拡大はいまだ収束せず、厳しい状況が続いています。
集合研修を、eラーニングやオンラインでの研修に切り替えるよう検討されている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、集合研修とeラーニング、オンライン研修の違いはどこにあるのか、どのような教材をどのタイプの研修にすべきなのか、考えてみましょう。
1. アフターコロナの研修はどう変えるべき?
厚生労働省は「新しい生活様式」の中で、働き方の新しいスタイルとして、テレワークやローテーション勤務、時差通勤、オンライン会議、定期的な換気やマスク着用などを奨励しています。特にテレワークやオンライン会議は、コロナが収束したとしても、このまま定着していくと考えられています。
研修においても、アフターコロナの時代は、新しいスタイルへの対応が求められます。これまでは、研修といえば集合研修が一般的でしたが、すでに一部の企業は、eラーニングや、ライブ形式のオンライン研修にシフトしつつあります。
集合研修の特徴
- ・講師が、ときには雑談を交え、空気を読んで方向性を調整したり、受講者どうしのディスカッションなども交えたりしながら、参加者全員で作り上げていく「ライブ」のような場
- ・時には体を動かすなど、五感を刺激しながら学習し、学習目標の達成を目指す
- ・一方で、「3密」の防止が難しい、拘束時間が長くなりやすい、参加者の移動や宿泊などのコストがかかるなどのデメリットも
- ・受講者の学習状況は、出欠確認や事後の課題、レポートの提出などで管理される
eラーニングの特徴
- ・場所と時間を選ばず受講でき、環境さえ整えば移動の必要もない
- ・学習のエッセンスを抽出して情報を整理した教材を視聴したり、画面上で操作したりしながら学習を進める
- ・集合研修に比べて、短時間で受講できることが多い
- ・特別な制限がなければ、教材には何度でもアクセスできるので、繰り返しの学習に向いている
- ・質疑応答やディスカッションなど、リアルタイムのやり取りは難しい
- ・受講者の学習状況は、LMS(ラーニングマネジメントシステム)などで管理することが多い
オンライン研修(ライブ形式)の特徴
- ・1箇所に集まる必要がなく自宅からでも参加できるが、講師と受講者は同じ時間に参加する
- ・ZOOMやMicrosoft TeamsのようなWeb会議システムを利用することが多い
- ・集合研修のように、ディスカッションなどのリアルタイムのやり取りができる
- ・通信トラブルが起きたときに、その受講者だけ学習できない可能性がある
- ・受講者の学習状況は、出欠確認やカメラなどで管理される
どのタイプにも、メリットとデメリットがあります。どれか1つに絞るのではなく、「研修の目的や内容にあわせて、使い分けたり組み合わせたりする」という考え方が、アフターコロナでは重要になってきます。
2. 研修の目的や内容にあわせて、eラーニングとオンライン研修を賢く使い分ける
3密を避けて安全に研修を実施するには、eラーニングとオンライン研修をメインにしながら、どうしても集まる必要がある内容のみ集合研修にすると良いでしょう。
1) 講師が解説して受講者はそれを聞く、一方通行タイプの研修
講師の解説がメインとなる研修は、eラーニングへの置き換えがオススメです。eラーニングは知識の定着を図りやすいため、「情報セキュリティ」や「コンプライアンス」など、一般的な知識やルールなどの学習に適しています。
特に、研修用の資料がある場合は、それを素材として、動画やhtml5形式のeラーニング教材を手軽に作成できます。
eラーニングのコツ
- ・講師が口頭で補足する内容のうち、重要なものをeラーニング教材に盛り込む
- ・eラーニングは自学自習のため、長時間の学習は向かない。20~30分程度にまとめ、溢れる場合はコースを分割する
- ・文字だけの画面を見るのは苦痛で、意欲減退につながる。写真や図表、イラスト等を入れて画面を見やすくする
- ・確認テストを用意し、より知識の定着を図る
【事例】集合研修用の資料をeラーニング教材に変身
- Before:ハラスメントや個人情報保護法など、社内ルールや法律を学ぶための集合研修をたびたび実施していたA社様。1回の研修に2~3時間かかるため、受講者から「忙しいので時間をつくれない」と苦情が出ていた。
- After:集合研修用のPowerPoint資料をeラーニング化。約50ページの資料をもとに、ヒューマンサイエンスのライターが内容を整え、理解を助けるイラストや写真を追加。約20分の簡易アニメーション付き教材を作成した。
短時間で学習できるようになり、受講者の負担を軽減できただけでなく、ルールや法律の変更があったときに手軽に修正もでき、効率的な教育が可能となった。
2) ディスカッションなど、リアルタイム・双方向のやり取りが必要な研修
講師だけでなく受講者が話す必要がある研修は、オンライン研修が適しています。受講者側のカメラをONにすることで表情を確認できるため、受講者同士のコミュニケーションも可能になります。
ただし、講師の解説を一方的に聞くだけになってしまうと、学習効果は上がりません。eラーニングと組み合わせて学習効果を上げる仕組みを検討すると良いでしょう。
オンライン研修+eラーニングのコツ
- ・事前学習をeラーニングで行い、オンライン研修は質疑応答やディスカッションのみに絞る
- ・オンライン研修後に、eラーニングで確認テストを行い、知識定着を図る
- ・PCなどの画面ごしのため、長時間は集中力が続かない。適宜休憩を入れたり、日を分けたりする
【事例】オンライン研修の事前学習をeラーニングで実施
- Before:営業スキル向上のための集合研修を、オンラインに置き換えることにしたB社様。Web会議ツールを利用してディスカッションやロールプレイングは実施できるものの、基礎知識の学習も含めると丸1日かかるため、長時間のオンライン研修が有用かどうか悩んでいた。
- After:基礎知識部分をeラーニングで事前学習する仕組みをご提案。スキマ時間に学習できるよう、10分程度の短いコースを複数作成し、受講者の負担も軽減できるようにした。どこでも事前学習できるようモバイル対応しているLMSも用意し、時間を有効的に活用できるようになった。
3)実技の習得など、受講者が手を動かすタイプ
eラーニングやオンライン研修への置き換えがもっとも難しいのは、実技を習得する内容です。
例えば、工具の使い方を習得したり、大型機械の動かし方を習得したりといった内容は、講師のいる場所に集まって実際に触れなければなかなか習得できません。
そのため、集合研修を軸としつつ、できるだけ集まる時間・回数を減らすような工夫が必要です。
集合研修+eラーニングのコツ
- ・操作手順や動画(実際に操作しているところを撮影したもの)、その他の基礎知識などをeラーニング教材として用意し、事前学習を行う
- ・集合研修は、実技の習得や質疑応答に絞る
- ・集合研修で実際に工具に触れると、イメージがつきやすくなる。そこで、研修後にもう一度eラーニングを実施し、テストにも取り組むことで、より知識を定着させる
- ・eラーニングの内容をいつでも見られるようにしておき、実際に業務でその工具を使うときに、改めて見直せるようにする
【事例】集合研修前にお手本を見て学べるよう、講師の実演を動画化
- Before:さまざまな工具・機械の実技習得を、集合研修で実施していたC社様。受講者は全国各地にいるため、講師が何度も訪問したり、受講者に何度も集まってもらったりして、コストも負担もかかることに悩んでいた。
- After:実技習得のための集合研修はどうしても必要なものの、実技以外に、座学なども集合研修で行っていることに着目。座学部分をeラーニング化するだけでなく、実技についても、集合研修前にある程度学習できるような構成をご提案。
「講師の実演を見る」ことが一番の参考になると考え、撮影クルーが研修施設で講師の実演を撮影し、テロップなどを入れて動画を作成。座学部分とあわせて、集合研修前にできるだけ知識を学べるようにすることで、集合研修にかかるコストと負担を大幅に削減した。
研修は、実施すること自体が目的ではありません。実施したうえで、受講者が業務に役立つ知識・技術を得ることが目的です。そのため、コロナによる制限がある中で、「どうしたら効果的に学べるか」「受講者が満足に学べるか」を考える必要があります。
執筆者:
城近 小夜子
教育ソリューション部 制作グループ
ライター/コンサルタント
・e ラーニングコンテンツ制作ディレクター歴 13 年
・e ラーニングコンテンツ ライティング歴 11 年
・e ラーニングコンテンツのシナリオ執筆に従事
・現在は、教材設計からシナリオ作成、内製支援コンサルティングを担当
お問合せ先:
電話番号 : 03-5321-3111
hsweb_inquiry@science.co.jp
失敗しない!
eラーニング原稿作り方のポイント
集合研修で使用する資料など、既に作成している原稿のブラッシュアップ部分にスポットを当て、注意点や修正ポイントなどをご説明します。
【内容】
- 作業フローを確認しましょう。
- スライドをブラッシュアップしましょう。
①情報を分類し、ラベリングする
②情報を整理し、レイアウトする
③ブラッシュアップする
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