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2024.09.30

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eラーニング教材の制作 ~PowerPointファイル作成後にSCORM化するポイントとは?~

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    eラーニング教材の制作~PowerPointファイル作成後にSCORM化するポイントとは?~

    eラーニング教材を制作する際に利用できるツールはさまざまです。身近で、操作も手慣れているPowerPointを使用するケースも少なくありません。しかし、PowerPoint単体では、スライドショーを再生し、それを閲覧するだけにとどまってしまいます。それだけではなく、学習者の進捗管理やインタラクティブな機能を組み込むためには、教材を標準規格に準拠させる、つまり「SCORM(スコーム)化」が必要です。

    このブログでは、SCORMの概要やSCORM化のメリット、さらにSCORM化を手軽に実現するツール「iSpring Suite」を解説し、効率的・効果的な学習環境づくりのヒントをお届けします。


    1. SCORMとは?

    まずはSCORMの基本的な知識を押さえておきましょう。

    ●SCORMとは

    SCORMとは「Sharable Content Object Reference Model」の略語で、eラーニングにおける共通化のための標準規格のことです。さまざまなLMS(※)で一貫した動作を実現するためのフレームワークです。2001年、米国のADL(Advanced Distributed Learning)という国防総省系組織がSCORMを提唱し、事実上の世界標準となっています。

    現在、一般的に利用されているSCORMのバージョンは「SCORM 1.2」と「SCORM 2004」です。それぞれ特徴や仕様には差があるため、LMSや教材の導入を検討する際は、どのバージョンに対応しているのかを確認することが大切です。

    ●SCORMの目的

    SCORMには、教材とLMSの運用性を高めるために、4つの目的が策定されています。

    〈目的.1〉学習コンテンツの再利用性(Reusability)
    SCORMは、eラーニングを複数のLMSやプログラムで再利用可能にすることを目的としています。これにより、同じコンテンツを異なる環境で繰り返し使用できるようになり、コストや時間の節約を実現します。

    〈目的.2〉アクセス可能性(Accessibility)
    SCORM化をすることで、さまざまなプラットフォームやデバイスからeラーニングにアクセスが可能になります。つまり、どこからでも、どのデバイスを使用しても、学習に取り組めることになり、利便性の向上や学習者のモチベーションアップが期待できます。

    〈目的.3〉耐用性(Durability)
    SCORMは、eラーニングが長期間に渡って利用できるように設計されています。LMSの更新やテクノロジーが刷新された場合でも、eラーニングが適切に機能し続けることが保証されます。

    〈目的.4〉相互互換性(Interoperability)
    SCORMの重要な目的の一つに、LMS間での相互互換性の確保が挙げられます。異なるシステム間でもコンテンツが一貫して動作し、コンテンツデータの差し替えも容易になります。

    ※LMS:「Learning Management System」の略語で、学習管理システムのこと。eラーニングの教材や学習状況を一元管理するためのITツールです

    ※SCORMについては、こちらのブログもご参照ください。

    eラーニングブログ「『SCORMに準拠したeラーニング教材』とは」
    eラーニングブログ「学習管理システム(LMS)とは?~基本機能から導入効果、おすすめシステムまで~」

    2. eラーニング教材のPowerPointファイルをSCORM化するとは?

    「教材をSCORM化する」とは、一体どのようなことなのでしょうか。また、SCORM化をするためにはどうすればよいのでしょうか。この章では、SCORM化を行うための具体的な方法について説明していきます。

    ●SCORM化とは

    PowerPointで作成した教材を、LMSで利用可能な“標準的なデジタル教材”に変換することを意味します。通常のPowerPointファイルはLMSで直接利用できないことが多いため、SCORM形式に変換することで教材とLMSが相互運用可能になり、管理がしやすくなります。

    ※LMSによっては、PowerPointファイルをそのまま搭載できる場合があります。

    しかし、SCORM化をするには、HTMLやCSSなどの専門的な知識と技術が求められます。そこで、誰でも手軽にSCORM化を行うための2つの方法をご紹介します。

    〈方法.1〉SCORM変換に対応している、eラーニング教材作成ツールを利用する:
    eラーニング教材作成ツール(例:iSpring Suite 、Articulate Storyline、Adobe Captivateなど)を活用する方法です。これらは、PowerPointファイルをインポートし、自動的にSCORMパッケージに変換する機能が搭載されています。さらに、インタラクティブな要素やトラッキング機能(学習履歴の記録など)も追加できます。

    〈方法.2〉SCORM変換サービスを利用する
    オンラインで利用できるSCORM変換サービス(例:SCORM Cloud、xAPI.comなど)を利用する方法で、PowerPointファイルをアップロードだけで、SCORMパッケージに変換することができます。専用ソフトウェアを導入する必要がないため手軽に使える一方で、カスタマイズ性に制限があったり、セキュリティ面で不安が残るといったデメリットがあります。

    どの方法を選ぶかは、具体的なニーズや予算、既存のシステムとの互換性などを考慮して検討することをおすすめします。

    3. eラーニング教材のPowerPointファイルをSCORM化するメリット

    SCORM化によって期待できる、さまざまなメリットを以下にまとめました。

    〈メリット.1〉使用しているLMSに容易に教材を取り込める
    SCORM化された教材は、さまざまなLMSで容易に取り込むことが可能に。異なるLMSを利用する場合でも教材を再作成する必要がなくなり、運用の手間を大幅にカットできます。また、これまでバラバラだった教材やデータを総合的に管理・活用できる点も魅力です。

    〈メリット.2〉 LMSの乗り換えコストが不要
    LMSを変更する場合、SCORM形式の教材は新しいLMSでもそのまま使用できるため、教材の再作成や大幅な修正が不要です。そのため、導入や運用にかかる費用が発生せず、コスト効率よく学習環境を維持することができます。

    〈メリット.3〉学習効果を高められる
    SCORM化された教材は、学習者の進捗や理解度をLMS上で追跡できるため、学習効果の分析と改善がしやすくなります。また、LMSに依存せず教材を柔軟に作成できるので、学習者にとって最適なコンテンツの提供が可能。その結果、学習効果の向上につながります。

    〈メリット.4〉教材のメンテナンスが容易に
    SCORM化することで、教材のバージョン管理や更新がより簡単になります。LMSに統合された教材は、最新の内容にすばやくアップデートでき、常に鮮度の高い情報を維持することができます。

    〈メリット.5〉グローバルな企業研修にも対応しやすい
    SCORMは国際的な標準規格であるため、世界中の企業や教育機関が使用しているシステムと互換性があります。そのため、グローバルな企業研修にも対応しやすくなります。

    これらの利点を活かすことで教育や研修の質の向上につながり、効率的な学習環境を整えることができます。

    4. iSpring SuiteならPowerPointファイルのSCORM変換が容易

    前述の通り、PowerPointファイルをSCORM化するためには、eラーニング教材作成ツールが便利。そのなかで特におすすめしたいツールが「iSpring Suite」です。
    この章では、iSpring Suiteの主な機能を紹介します。

    ●iSpring Suiteの主な機能

    (1)PowerPointを連携できる
    iSpring Suiteは、既存のPowerPointファイルをそのまま活用してeラーニング教材を作成できます。ユーザーは、PowerPointのスライドをインポートし、アニメーションやトランジション、音声などの要素を維持したまま教材を手軽に作成できます。

    (2)SCORM化もカンタン
    PowerPointのリボンにあるiSpring Suiteタブをクリックするだけで、SCORMパッケージを生成することができます。技術的な知識がなくても、SCORM形式の教材をスピーディに作成可能です。

    (3)インタラクティブな要素をプラスできる
    iSpring Suiteは、クイズやテスト、音声、対話型の演出など、インタラクティブな要素を追加するための機能が備わっています。これらの要素を教材に反映することで、インタラクティブかつ高品質な教材を作り出せます。それによって、学習者のモチベーションアップや理解促進にもつながります。

    (4)動画編集機能も搭載
    動画教材の作成や編集にも対応しています。画面キャプチャやウェブカメラ録画、ナレーションの追加など、さまざまな機能を駆使して、リッチでインタラクティブな動画コンテンツを作成できます。

    (5)レスポンシブデザインもおまかせ
    iSpring Suiteで作成した教材は、PC、タブレット、スマートフォンなどの異なるデバイスで自動的に最適化されます。学習者はそれぞれのデバイスで、時間や場所を問わずに学習に取り組むことができます。

    iSpring Suiteは、操作性に優れた基本機能に加え、高いカスタマイズ性を備えている点も大きな強み。デザインからインタラクティブな要素、学習の評価方法、LMSとの連携まで、あらゆる側面で自由度が高く、企業ニーズに沿った“ピンポイントな教材”の作成を叶えます。

    ※iSpring Suiteについては、こちらのブログもご参照ください。

    eラーニングブログ「iSpring Suiteとは?eラーニング作成ツールでコンテンツ作成を手軽に行う」

    5. まとめ

    PowerPointで作成したeラーニング教材をSCORM化することは、学習効果や運用効率のアップを実現するために、とても重要なプロセスといえます。特に企業にとっては、一貫した教育訓練の提供や、従業員一人ひとりの学習成果のチェック、容易な教材作成やアップデートなど、さまざまな恩恵が期待できます。また、企業が成長し、新しい従業員が増加しても、SCORM化された教材が準備できていれば、簡単に学習を始めてもらうことが可能です。

    そんなSCORM化を手軽に実現できるツールとして、iSpring Suiteを4章でご紹介しました。iSpring社認定リセラーであるヒューマンサイエンスでは、iSpring Suiteを使用した教材制作から運用管理システムの導入まで、幅広いご支援を行っています。

    「既存の教材をSCORM化したい」、「iSpring Suiteの使用方法がよくわからない」など、お悩みやご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

    サービスの詳細はヒューマンサイエンスのeラーニングサイトでもご確認いただけます。

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