2024.03.14
eラーニングの学習効果を高める、質の高い動画教材の作り方
場所や時間に縛られずに効率よく学習が進められるeラーニングは、多くの企業で採用されている教育方法です。近年は通信環境などの向上により、動画を使ったeラーニング教材も主流となり、より適した方法での学習や、それによる効果の向上が期待されています。
しかし、単に教材を動画化するだけでは、学習効果を最大限に引き出すことは難しいものです。今回は、eラーニングの学習効果を高めるために必要な、質の高い動画教材の作り方について解説していきます。
さらに、eラーニングに関する課題や教材の質についても触れ、動画教材の重要性を再認識できればと思います。
1. eラーニング教材にまつわるよくある課題
多くの企業で導入されているeラーニングですが、あまり利用されなかったり、学習効果が見られなかったりといった失敗談を耳にすることがあります。
いろいろな要因が考えられますが、そのなかの一つに“教材の質”が影響しているケースがあります。まずは、eラーニング教材にまつわる、よくある課題を整理してみましょう。
〈教材の内容が浅い〉
教材の内容が浅く、具体性に欠けていると、学習者が実践的な知識やスキルを身につけられない可能性があります。
〈コンテンツが古い〉
コンテンツが古かったり情報のアップデートがされていないと、最新の事実や知見と異なり、誤った情報を学習してしまうリスクが発生します。
〈学習目標が明確でない〉
何を学ぶのか、何を達成するのかがはっきりしていない教材は、学習者の混乱を招き、さらに学習意欲を失わせる恐れもあります。
〈単調なコンテンツ〉
テキストが延々と羅列されるだけ、のような単調なコンテンツだと、学習者の関心をひいたり、学習意欲を継続させるのが難しくなります。
〈技術的な問題がある〉
教材の操作性が良くなかったり、バグやエラーが多い場合、学習者はストレスを感じて、学習への意欲が低下するケースが出てきます。
これらの例は、学習効果が上がらない原因となります。質の高いeラーニング教材を作成するためには、このような問題点を避けるように注意する必要があります。
2. eラーニング教材の質を高める方法
前述したeラーニング教材にまつわる課題をふまえ、教材の質を高めるためには、具体的にどのような工夫を図ればよいのでしょうか。以下にまとめました。
●動画や音声を活用する
動画や音声を活用し、情報を多角的に伝えることで、学習者の理解度を高めます。
●視覚的な要素を充実させる
グラフや図表、アニメーションなどを活用することで、複雑な概念などをわかりやすく解説します。文字やナレーションだけではイメージしにくい内容を理解してもらいたい場合に効果的です。
●自社独自のカスタマイズ要素を入れる
社内ルールなどの情報を追加する、ケーススタディを自社事例にするなど、教材を自社独自の仕様にカスタマイズすることによって、学習者は現場で活かせる“解像度の高い情報”を得ることができます。
●インタラクティブな学習体験を提供する
クイズや演習、シミュレーションなどのインタラクティブな要素を取り入れることで、学習者のモチベーション向上や参加促進が図れます。
●学習のゴールや目標を明示する
学習のゴールや目標を明確にすることで、学習者は何を達成すべきかを理解しやすくなります。これによって学習への意識が高まり、集中して学習に取り組むことが期待できます。
●定期的にコンテンツを更新する
最新の情報やトレンドに合わせてコンテンツを定期的に見直し、必要があれば更新します。教材の鮮度を保つことで、学習者は正しい知識を得ることができます。
これらの形式を組み合わせることによって、さらに充実した教材となり、学習効果や学習意欲の向上につなげることができます。
3. 動画教材の種類
eラーニングでの学習効果を高めるために、動画教材が有効であることがわかりました。
この章では、eラーニングの動画教材にどのような種類があるのかを見ていきます。
〈動画教材の種類〉
・講義動画
講師や社内の教育担当者などが授業内容を解説する動画。スライドを示しながら解説者が語るような、一般的な講義スタイルがよく見られます。
・研修動画
集合研修の模様を撮影した動画。欠席者の学習用や、集合研修の内容の振り返りのために活用されることも多いです。
・デモンストレーション動画
製品の使い方や技術の手順を実際に行い、その様子を伝える動画。言葉では説明しにくい「動き」や「加減」について、実技を見ることで理解を深めるのに役立ちます。
・シミュレーション動画
接客シーンやトラブル対応など、特定の状況や環境を模した動画。実際の体験や状況を再現することで、学習者がリアルな状況に対応できるように学習への理解を深めます。
・アニメーション動画
グラフィックやアニメーションを活用し、複雑なプロセスや概念を説明する動画。視覚も利用して、わかりやすく、学習効果を高めるのに役立ちます。
・インタビュー動画
専門家や先輩社員などのインタビューを通じて知識や経験を共有する動画。より実践的なアドバイスを得ることができます。
これらの動画教材は、テキストベースの教材や資料だけでは表現しきれない、多様な情報を効果的に伝えるのに役立ちます。
4. 動画教材の主な作り方
動画教材を作成するためには、いくつかの方法があります。ここでは主な5つの方法について解説していきます。
〈1〉実写映像(カメラ撮影)
カメラを使用して実際の講義やデモンストレーションなどを撮影する方法。講師が直接カメラに向かって解説したり、事例をドラマ風にしたりと、多彩な表現でオリジナリティを打ち出すことができます。
反面、撮影や編集の手間が発生し、複雑な内容になるほど工数もかかります。
〈2〉パワーポイント
パワーポイントは、図やイラストを挿入してアニメーションをつけたり、動画を組み込むこともできるので、カンタンに動画教材を作成することが可能。また、制作にかかるコストが低い点も魅力です。
一方で、教材としてのクオリティが低くなりがちな面もあります。
〈3〉オンライン会議ツールの録画機能
より手軽に動画教材を作りたいのであれば、ZoomやTeamsなどの画面録画機能を使うのも手です。画面共有で映した資料などもそのまま録画できるため、後からの編集も必要ありません。
ただし、録画機能は通信品質に依存するので、通信が不安定で画質や音質が劣っていると、教材のクオリティが低下する恐れがあります。
〈4〉eラーニング教材作成ツールで作る
動画の編集技術がなくても、eラーニング教材作成ツールを利用すれば容易に動画教材を作成することができます。ツールには多くのテンプレートや素材が用意されているので、より効果的な演出も可能。
ただし、ツールによっては容量や機能に制限が設けられていることがあります。また、セキュリティ対策も万全にしないといけません。
〈5〉専門業者に作成を依頼する
eラーニング教材を提供しているベンダー(販売会社)に発注し、動画教材をオーダーメードする方法です。コストはかかるものの、プロのノウハウを活用しながら自社オリジナルの動画教材を作成できるのは大きなメリットです。また、完全内製化と異なり“第三者の視点”が加わるため、教材としての内容の偏りが抑えられることもポイントです。
動画教材の作成方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。これらを考慮して、自社にとって最適な作り方を選択しましょう。
5. まとめ
今回はeラーニングの「動画教材」をテーマに、高品質なコンテンツの作り方について解説してきました。映像や音声、テロップやアニメーションなど、さまざまな要素が複合する動画教材は、高い学習効果が望める反面、制作工程における手間や時間がかかるのがネックです。そのため、工程や素材の一部のみでも、プロの手に任せることを検討されてもよいかも知れません。
eラーニング教材のベンダーの一つであるヒューマンサイエンスは、2000年のサービス開始から、2,700件を超えるeラーニング教材の制作実績があります。動画教材においても、集合研修や講義、社内会合の撮影、360度カメラによる撮影、クロマキー撮影などに対応し、多岐にわたる業種業界の企業さまにご提供してきました。
また、動画教材以外でも、教材の企画・設計をはじめ、HTML5などによるモバイル対応、LMSリプレース対応に伴うコンテンツの移行など、お客さまのご希望に沿った最適なご提案を行っています。
動画教材のご検討やeラーニングに関するご相談などは、ぜひお気軽にヒューマンサイエンスにお問い合わせください。
詳細はヒューマンサイエンスのeラーニングサイトでもご覧いただけます。
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