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2026.01.09

Moodle

【Moodleマニュアル⑦】 Moodle自動出欠の設定方法と不正出席を防ぐ運用ポイントを解説

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    大学の授業における出席確認は、単位認定に直結する重要な業務です。しかし昔も今も、友人に出席登録を依頼する、出席確認のタイミングだけ参加する…などの不正出席は後を絶ちません。

    「もっと厳格に出欠管理をしたい」
    「専用端末なしで効率的に出席確認を行いたい」
    「不正出席を防ぐ他大学の運用方法を知りたい」

    そんな教員や運用担当者の方に向けて、本記事ではMoodle 自動出欠プラグインによる出席確認について、インストール方法から具体的な設定手順、不正出席防止のための活用法まで詳しく解説します。



    1. 大学の出席管理における課題

    1-1. 不正出席の実態~学生における代返の意識~

    授業開始直後、ICカードリーダーにタッチして座ることもなく教室から出ていく学生、出席カードを配ると欠席しているはずの学生の名前が複数枚提出されている——こんな状況に心当たりはありませんか?

    本来授業に参加していない学生が出席をしているように見せかけることを「代理返事」を略して「代返」と呼びますが、これらは学生の間で日常的に行われています。

    論文「教室内不正行為としての代理出席(「代返」)に対する大学生の意識――アナログ方式での出席確認方法を主流とする学生を対象とした調査から」では、大学生294名を対象とした調査が行われました。その結果、代返をしたことがある学生が5.0%、頼んだことがある学生が2.5%、代返したことも頼んだこともある学生が8.6%で、合計16.1%もの学生が何らかの形で代返に関わった経験があることが明らかになっています。

    また同調査では、学生の代返に対する意識も明らかになっています。代返とカンニングを比較し、「代返よりもカンニングの方が罪は重い」と考える学生が過半数を占める一方で、「代返がバレても、それほど大変なことにはならない」という考えには否定的な学生が多く、代返が良くない行為であるという認識はあるようです。

    この調査より学生たちは代返を「悪いことではあるが、カンニングに比べれば軽い」と捉え実行している現状が見えてきます。

    1-2. 「代返」から「ピ逃げ」へ——デジタル化で変わる不正の形

    かつて学生たちは、友達の代わりに声色を変えて返事をする「代返」や、紙の出席簿に筆跡を変えて友達の名前を書き込むなど、アナログな手法で出席をごまかしていました。

    2000年代以降、ICカード型学生証やスマートフォンを利用した出席確認システムが導入され、従来よりも厳密な出欠管理が可能になりましたが、一方でデジタル化は新しい不正出席の形も生み出しています。

    代表的な例が「ピ逃げ」です。これは、学生証をICカードリーダーにかざして出席登録の音(「ピッ」)を鳴らした直後に、教室を後にしてしまう行為を指す言葉です。システム上は出席扱いになりますが、実際には授業を受けていません。大規模講義では教員が個々の学生の入退室を把握できないという盲点を突いた手法と言えるでしょう。

    「代返」から「ピ逃げ」へ——時代とともに呼び方も手法も変わりますが、学校と学生のいたちごっこは今も続いています。

    1-3. 不正出席を防ぐ教師の工夫と対策

    不正出席を防ぐ対策として、ICカードによる出席システムの導入など、全学的に対策を行っている大学もありますが、予算が割けない等の理由でアナログの方法に頼っている組織も少なくありません。ICカードを導入したとしてもそれだけでは抜け道もあるため、結局対策は講師にゆだねられているのが現状です。不正出席を防ぐために、教師はどのような対策を行っているのでしょうか?その一例をご紹介します。

    ・出席の取り方をランダムに変える
    授業の最初や決まった時間に出席をとってしまうと、不正出席を行う学生はその時間を狙って授業の教室にやってきます。それを防ぐために、毎回ランダムな方法・時間で出席をとる、という工夫がされることがあります。紙の出席カードであれば、毎回紙の色を変える、ICカードの読み取りであれば、授業のランダムな時間に出席をとるなど工夫が光ります。そうすることによって、学生は毎回授業に参加せざるを得なくなり、不正出席が減る可能性があります。

    ・テストやリフレクションペーパーと合わせる
    授業に参加していないと答えられないテストやリフレクションペーパーを毎回提出させ、その内容によって出席とみなす、という方法をとっている教師もいます。授業の内容を共有すれば不正はできますが、出席の有無だけより一定の効果があります。

    ・グループワークと組み合わせる
    グループワークを授業の中に取り入れ、学生にグループに参加した人の名前を記載させて提出をさせます。学生の目も入るため、不正出席はかなり防げるでしょう。ただ、グループワークを行う必要性のない講義では現実的ではないのが難点といえます。

    2. Moodleで行う出欠管理

    このような不正出席の課題に対して、Moodleを利用している組織でよく使われているのが、Moodleのプラグイン「自動出欠」です。自動出欠は専用端末を必要とせず、既存のMoodle環境で柔軟な出席管理が可能です。

    ※Moodleの基本的な機能については、以下の記事で詳しく解説しています。

    >【Moodle基本講座】eラーニング学習管理システムのMoodleって何ができるの?

    2-1. Moodleの自動出欠ではどのようなことができる?

    Moodleはプラグインによる機能拡張が可能で、出欠管理もプラグインを追加することで実現できます。Moodleの大きな利点はこの拡張性の高さです。標準機能だけでなく、用途に応じて必要なプラグインを組み合わせることで、各大学の運用方針に合わせた柔軟なシステム構築が可能になります。出欠管理においても、新たな機材やシステムの導入が不要で、プラグインをインストールするだけですぐに利用することができます。

    Moodleの自動出欠機能では以下のようなことができます。

    ・出席状況のリアルタイム管理
    リアルタイムで学生の出席状況を把握できます。設定した時刻に応じて出席、遅刻、欠席のステータスを自動判定することが可能です。

    ・不正出席対策
    パスワードの必須入力やIPアドレス制限など、不正防止のための条件を設定できます。授業ごとに異なる条件を設定することも可能です。

    ・出席データの一覧表示と出力
    授業ごとに出席者の一覧や出席率を一覧で確認・出力できます。学生個人の出席率も簡単に確認でき、成績管理にも活用できます。

    2-2. (管理者用)自動出欠プラグインのインストール方法

    自動出欠機能はMoodle標準では利用できません。まずは管理者側で自動出欠用のプラグインをインストール、設定する必要があります。

    ■必要なプラグイン
    ・Auto Attendance Block
    ・Autoattendance module

    ■インストール方法
    Moodle.docsの下記ページを参照してインストールを行います。
    https://docs.moodle.org/2x/ja/Autoattendance_block

    2-3. (教師用)自動出欠の設定方法

    次に教師側の自動出欠の設定方法を説明いたします。
    自動出欠の設定は、自動出欠全体、そして授業ごとの設定の2段階に分かれます。

    ■自動出欠モジュールを追加する
    1)「活動・リソースを追加する」から「自動出欠」を選びます。

    2)自動出欠の設定画面が表示されます。設定は変更せず「保存してコースに戻る」を選択します。

    3)こちらで自動出欠のモジュールが追加できました。
    自動出欠のモジュールは1コースにつき1つで、ここから各授業の情報を登録していきます。

    ■授業を登録する
    1)自動出欠モジュールをクリックすると「授業一覧」の画面が表示されます。
    画面上部の「授業登録」をクリックしてください。

    2)「複数の授業を登録する」という画面が表示されます。
    下記のような授業を登録してみましょう。

    【授業例】
    ・開講期間:2025年4月1日~7月30日
    ・授業時間:毎週木曜日10:30~12:00(※90分)
    ・出欠条件
    ・出席:10:20~10:30(授業開始10分前~授業開始まで)
    ・遅刻:10:30~10:50
    ・欠席:10:50~12:00

    Moodleの設定は下記のように行います。

    設定項目 設定値
    出欠確認方法半自動
    授業開始日2025年4月1日
    授業終了日2025年7月30日
    授業の曜日木曜
    間隔1週
    授業開始時刻10:20(出欠開始の時間)
    授業時間30分(出欠開始から欠席までの時間)
    遅刻許容時間10分(出欠開始から遅刻までの時間)

    3)こちらで授業が登録できました。
    授業一覧に戻って、きちんと授業の登録ができているか確認しましょう。

    授業の出席を厳格にチェックしたければ、出欠キーもしくはIPアドレスを制限することも可能です。

    2-4. 自動出欠だけでは防げない!Moodleでの不正出席対策

    自動出欠機能ではパスワードの入力を必須としたり、IPアドレスで制限をかけることもできますが、パスワードが出回ったり、学生間でIDの貸し借りをしていた場合に、不正出席を防ぐことはできません。その為、より厳格な管理を行いたい場合は教師側でも追加の対策をとる必要があります。

    ・小テストやフィードバック、課題と組み合わせる
    授業に出席した人だけが答えられる小テストやフィードバック、課題の提出を組み合わせることで、不正出席を抑制できる可能性があります。講義に参加した人から内容を聞くこともできますが、出席ボタンを代わりに押すより手間も時間もかかるため、自動出欠とセットで設定している教師も多いです。

    ・自動出欠の記録だけでなく紙でも出席カードを提出させる
    紙とWEBの両方の結果を付け合せることも有効な手段です。毎回行う必要はありませんが、例えば講義の最後5分を使って本日の感想を紙で提出させ、それとMoodleの自動出欠の結果を付け合せれば、不正出席が行われているかのチェックができます。毎回同じ方法で出欠確認を行っている授業では不正出席が起こりやすいため、不規則なチェックも学生への抑止力になると言えるでしょう。

    3. FAQ|自動出欠のよくある質問をMoodleサポートデスクが解説

    ここからはMoodleの自動出欠について、サポートデスクに多く寄せられる質問について解説いたします。

    3-1. Moodle自動出欠の自動モードと半自動モードの違いは?

    A:自動モードは学生がコースにアクセスするだけで出席となり、半自動モードは学生が自動出欠モジュールを開いた時点で出席になります。

    自動モードでは、学生がコースにアクセスした時点で自動的に出席が記録されます。特別な操作は不要で、受講者がコースページを開くだけで出席扱いとなるため、出欠確認の手間を最小限に抑えられるのが特徴です。

    一方、半自動モードでは、学生が「自動出欠モジュール」を開いた時点で出席が記録されます。さらに、半自動モードでは 出欠キーの入力を必須に設定することが可能です。出欠キーを設定した場合、講義中に教員が学生へキーを伝え、学生はそのキーを入力することで初めて出席が確定します。この仕組みにより、単にアクセスしただけでは出席とならず、授業に参加している学生をより厳密に管理できるメリットがあります。

    ただし、出欠キーは他者に伝えられる可能性もあるため、完全に不正出席を防げるわけではありません。したがって、出欠キーはあくまで補助的な仕組みとして活用し、必要に応じて他の方法と組み合わせることが望ましいでしょう。

    3-2. 教室のIPアドレスを設定したが、アクセスできないと学生から言われた。なぜですか?

    A:教室外のネットワークからアクセスしている可能性があります。

    学生が学内LANではなく、例えば自分のスマートフォン回線など別のネットワークからアクセスしている可能性があります。その場合は教室のIPアドレスが認識されず、自動出欠が正しく動作しません。学生のアクセスログを確認し、実際に教室のネットワークに接続したうえで自動出欠を開いているかどうかを確かめましょう。

    4. まとめ|Moodleの自動出欠で効率的な出席管理を実現

    学生の代返やピ逃げといった不正出席は、時代とともに形を変えながら現在も続いています。文部科学省の大学設置基準では1単位あたり45時間の学修が求められており、その基盤となる授業への出席確認は、大学教育の質保証において欠かせない要素です。

    Moodleの自動出欠プラグインは、既存のMoodle環境で導入できるため初期コストを抑えられ、パスワードやIPアドレス制限などの不正防止機能も充実しています。ただし、自動出欠機能だけでは不正出席を防ぎきることはできず、小テストやフィードバック、課題提出などと組み合わせることで、より効果的な出席管理が実現できます。

    自動出欠プラグインを使ってみたい、自校に合った運用方法を相談したいなど、Moodleに関してお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。弊社ではプラグイン導入のお手伝いや、Moodleの運用に関するヘルプデスク代行サービスを提供しており、貴学の状況に合わせた最適なソリューションをご提案いたします。