2024.09.30
サイバー攻撃による情報漏洩を防止するには? 従業員教育も重要!
近年、サイバー攻撃の巧妙化とともに、企業における情報漏洩リスクがかつてないほど高まっています。企業の規模を問わず、誰もがターゲットになり得るこのご時世では、技術的な対策だけではなく、従業員一人ひとりの意識と行動がトラブル予防の鍵を握ります。
そこで今回のブログでは、サイバー攻撃から企業の情報を守るための「従業員教育の重要性」を掘り下げ、サイバー攻撃の代表的な手法や、攻撃に対する最適な防止策について、幅広く解説していきたいと思います。
1. 情報漏洩の原因とサイバー攻撃の現状
サイバー攻撃の脅威が年々増大する中、企業が保有する顧客情報や機密情報が狙われ、漏洩するケースが後を絶ちません。まずは情報漏洩の原因を整理してみましょう。
〈情報漏洩の原因〉
1. ウイルス感染
ウイルス感染とは、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)が企業のシステムに侵入し、情報を盗み出したり、システムを破壊したりすることを指します。ウイルスは、メールの添付ファイルやウェブサイト、USBデバイスなどを介して拡散されることが多く、感染してしまえば、データを暗号化して身代金を要求する「ランサムウェア」や、データを外部に送信する「スパイウェア」など、さまざまな形で情報漏洩を引き起こします。
2. 不正アクセス
不正アクセスは、外部または内部の悪意ある人物が、許可なく企業のシステムに侵入し、データを盗み出す行為です。これには、パスワードの推測や不正入手、セキュリティの脆弱性を悪用する手法などが含まれます。不正アクセスにより、機密情報や個人情報が盗まれたり、システムが操作されたりすることで、重大なトラブルや損害が発生します。
3. ヒューマンエラー
従業員の不注意によるヒューマンエラーも情報漏洩の主要な原因です。例えば、機密情報を部外者に誤送信してしまったり、パスワードを適切に管理しなかったりすることが挙げられます。また、公共の場での不適切な会話や、物理的な書類の取り扱いミスなども情報漏洩の一因になります。
4. 不正持ち出しや盗難
情報漏洩は、内部の関係者による意図的な不正行為や過失によっても引き起こされます。不正持ち出しは、従業員や契約者などが許可なく機密情報を持ち出す行為を指し、盗難はデバイスや紙資料などの情報が物理的に奪われるケースが考えられます。
5. 脆弱なシステム管理
古いソフトウェアや未更新のシステムにはセキュリティホールが存在し、攻撃者にとって格好の標的となります。また、クラウドサービスなど外部のデータストレージを利用している場合も、その管理が不十分だと情報漏洩のリスクが高まります。
主な原因の中でも、ウイルス感染や不正アクセスはサイバー攻撃の一種に含まれます。
警視庁によると、2023年中に把握したサイバー攻撃手法は、ネットワーク機器の脆弱性を突くものが最も多く、次いで標的型メール攻撃となっています。また、ランサムウェアの被害も目立っています。
これらの要因を理解し、適切な対策を講じることが、情報漏洩を防ぐために不可欠です。
2. 情報漏洩につながるサイバー攻撃の代表的な手法と目的
この章では、企業が特に注意すべき代表的なサイバー攻撃の手法について解説します。
〈サイバー攻撃の主な種類〉
●標準型攻撃
マルウェアをシステムに侵入させて、データを盗んだり、システムを破壊させる攻撃です。例として、ウイルス、ワーム、トロイの木馬、ランサムウェアなどが挙げられます。
●フィッシング
攻撃者が偽のメールやウェブサイトを使って、ユーザーからパスワードやクレジットカード情報などの機密データを騙し取る手法です。見た目は正規の文面や画面に似せているため、ユーザーは騙されて情報を入力してしまいます。
●DDoS(分散型サービス拒否)攻撃
複数のコンピュータを使って標的のサーバーやネットワークに大量のトラフィック(送受信される信号やデータ)を送り、サービスを停止させる攻撃です。これにより、ウェブサイトやオンラインサービスが利用不能になることがあります。
●SQLインジェクション
ウェブサイトやウェブアプリケーションの脆弱性につけ込み、悪意のあるSQLコード(データベースを操作するための言語)を挿入し、個人情報を盗んだり、改ざんしたりする攻撃です。
●中間者攻撃(MITM攻撃)
通信中のデータを傍受・改ざんする攻撃です。攻撃者は、通信の間に立ち、ユーザーとサービスプロバイダー間の情報を盗んだり、偽りの情報を入力したりします。
●ゼロデイ攻撃
ソフトウェアやシステムの脆弱性が修正される前に、その脆弱性を悪用する攻撃です。攻撃者は、脆弱性が公開される前に攻撃を仕掛けるため、防御が難しいことがあります。
このように、サイバー攻撃には多様な手法があることがわかりました。
しかし、これらの攻撃がどのような目的で行われているのかは、意外と知らない方もいるのではないでしょうか。サイバー攻撃の主な目的について詳しく見ていきましょう。
〈サイバー攻撃の目的〉
●目的.1 情報の窃取
企業の機密情報や個人情報を盗むことが目的です。盗まれた情報は、競合相手に売却されたり、不正な目的で利用されたりすることがあります。
●目的.2 金銭的利益の追求
身代金要求型マルウェア(ランサムウェア)などを使用し、データを暗号化して企業から金銭を要求するケースがあります。また、銀行や金融機関のシステムに侵入して、直接金銭を盗むケースもあります。
●目的.3 業務の妨害
サービス拒否(DoS/DDoS)攻撃などによって、企業の業務を停止させることが目的です。これにより、企業に大きな経済的損失を与えたり、評判を低下させたりすることを狙っています。
●目的.4 スパイ活動
国家間のスパイ活動や産業スパイ行為の一環として、企業の技術や知的財産を盗むことが目的です。これには国家による攻撃や競合相手が依頼する攻撃が含まれます。
●目的.5 破壊行為や報復
政治的、宗教的、または個人的な動機に基づいて、システムを破壊したり、情報を改ざんしたりすることがあります。これには、ハクティビズム(ハッカー+アクティビズム)と呼ばれる政治的動機の攻撃も含まれます。
●目的.6 社会的混乱の引き起こし
社会や経済に混乱をもたらすことを目的とする攻撃もあります。これには、重要なインフラ(電力、交通、通信など)を標的とするサイバー攻撃が含まれます。
サイバー攻撃の手法や目的を理解することは、企業が効果的な防御策を講じるための第一歩です。今後も進化し続けるサイバー脅威に対して、継続的なセキュリティ対策の強化が求められます。
3. サイバー攻撃による情報漏洩を徹底的に防止する策
情報漏洩を起こした企業は信頼を大きく損ない、時には甚大な経済的損失を引き起こすこともあります。この章では、サイバー攻撃による情報漏洩を徹底的に防止するために、企業が取るべき具体的な対策を紹介します。
〈対策.1〉 最新のセキュリティソフトウェアを導入する
セキュリティソフトウェアは、ウイルスやマルウェアからシステムを守る最前線の防御です。企業は常に最新のセキュリティソフトウェアを導入し、新たな脅威にも対応できるようにしておく必要があります。また、ファイアウォールや侵入検知システム(IDS)、侵入防止システム(IPS)を併用し、ネットワークへの不正アクセスを防ぐことも大切です。
〈対策.2〉 ソフトウェアの脆弱性を放置しない
サイバー攻撃者はソフトウェアの脆弱性を利用することが多いため、ソフトウェアやオペレーティングシステムは、常に最新の状態を保つことが重要です。アップデートにはセキュリティパッチが含まれていることが多く、これにより既知の脆弱性が修正されます。また、脆弱性スキャンツールを活用し、ネットワークやシステムの脆弱性を定期的にチェックすることも有効です。
〈対策.3〉従業員へのセキュリティ教育を徹底する
サイバー攻撃は、人間のミスや無知につけ込んで行われることがあります。そのため、従業員への定期的なセキュリティ教育は欠かせません。フィッシングメールの見分け方や、安全なパスワード管理方法など、基本的なセキュリティ知識を従業員に周知徹底させることが必要です。さらに、サイバーセキュリティに関する訓練や演習を定期的に実施し、従業員の対応力を高めておくと安心です。
〈対策.4〉アクセス制御と権限管理を強化する
情報漏洩を防ぐためには、機密情報へのアクセス権限を厳密に管理することも重要です。必要最低限の権限のみを付与する「最小権限の原則」を徹底し、誰がどのデータにアクセスできるのかを明確にします。また、重要なデータにアクセスする際には、二要素認証(2FA)や多要素認証(MFA)を導入することで、なりすましや不正アクセスを防ぎます。
〈対策.5〉データの暗号化とバックアップの徹底
情報漏洩のリスクを最小限に抑えるためには、データの暗号化も効果的です。特に、機密情報や個人情報を取り扱う場合は、データの送受信時だけでなく、保存時にも暗号化を行うことで、万が一データが盗まれた場合でも、内容が容易に解読されることを防ぎます。また、定期的にデータのバックアップを行い、万が一のデータ損失に備えるようにしましょう。バックアップは別のデバイスに格納することが原則です。
〈対策.6〉 インシデント対応計画を策定し、迅速な対応体制を整える
どれだけ対策を講じても、サイバー攻撃が完全に防げるわけではありません。もしもの時を想定して、インシデント対応計画(Incident Response Plan)を策定し、発生時には迅速かつ適切な対応ができる体制を整えておくことが重要です。計画には、インシデントの検出、初動対応、影響の抑制、復旧手順、再発防止策の策定など、段階ごとの対応策が含まれます。
サイバー攻撃による情報漏洩を防ぐためには、技術的な対策はもちろん、従業員教育やインシデント対応計画など、多面的なアプローチが必要です。また、サイバーセキュリティは一度構築すれば終わりというものではなく、継続的な改善と適応が求められます。 最新の動向を把握しつつ、常に防御力を高めていくことがポイントです。
4. 標的型攻撃による情報漏洩を防止する方法
サイバー攻撃の中でも特により被害が大きくなる傾向が強い標的型攻撃は、従業員各々が注意力や警戒心を持つことが重要です。なぜならば、攻撃者が仕掛けるメールやメッセージは、非常に巧妙に仕組まれているからです。 ここでは、標的型攻撃よる情報漏洩を防止する方法について、詳しく紹介します。
〈方法.1〉 従業員へのセキュリティ意識向上教育を徹底する
標的型攻撃の多くは、フィッシングメールやソーシャルエンジニアリング(人間の心理的な弱みや隙につけ込んで情報を盗み取ること)を通じて行われます。そのため、これらの手口を事前に把握しておくことが有効な防止策となります。フィッシングメールの特徴や見分け方を学ぶ研修を設けたり、模擬訓練を通して実践的な対応力を身につけておくとよいでしょう。
〈方法.2〉 不審なメールを受信した際の情報共有のルールを決めておく
不審なメールを受信した際の「情報共有のルール」を事前に設定しておけば、攻撃の兆候を早期に察知することができ、被害拡大の防止につながります。ルールには、報告体制やメールの識別基準、全社への即時警戒通知の方法などを決めておくとよいでしょう。迅速な情報共有と適切な対応を通じて、企業全体のセキュリティを強化しましょう。
〈方法.3〉標的型攻撃を受けた際の対応方法も検討
標的型攻撃に気づかずにメールを開いてしまった場合の対応を事前に検討しておくことで、被害を最小限に抑えることができます。具体的には、迅速にIT部門やセキュリティ担当者に報告し、影響範囲を確認するためのシステム監査を行うこと。そして、感染の可能性があるデバイスを隔離し、パスワードの変更やセキュリティ対策の再確認を行うことなどが挙げられます。また、従業員がこうした対応を迅速に取れるように、事前に訓練やガイドラインの整備・周知を行うことも大切です。
〈方法.4〉システム面のセキュリティ強化
OSやソフトウェアのバージョンを最新状態に保つことは、標的型攻撃を防止する基本的な対策の一つです。さらに、日常的なログチェックも重要です。システムのログを定期的に監視することで、異常なアクセスや不審な動作を早期に発見し、迅速に対応することが可能になります。
これらの対策を組み合わせることによって総合的な防御体制が構築でき、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることにつながります。
5.まとめ
サイバー攻撃による情報漏洩を防ぐためには、まずは、セキュリティパッチの適用や脆弱性のスキャンといった技術的な対応を定期的に行うことが基本です。しかし、最も重要と言えるのが、従業員一人ひとりがセキュリティの基本を理解し、適切な対応を実践することです。
そこで効果的なのが、eラーニングを活用した情報セキュリティ教育です。
eラーニングは、インターネット環境さえあれば時間や場所を問わずに学習できるという手軽さはもちろん、複雑なセキュリティ分野の情報を図説やアニメーションを通して理解しやすいというメリットがあります。
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教材の詳細はヒューマンサイエンスのeラーニングサイトからご確認いただけます。
>eラーニング教材「情報セキュリティ基礎コース -標的型攻撃」
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