2023.06.15
2024.10.08
eラーニングとは?システムの概要とメリットを解説
インターネット時代が到来し、教育コンテンツや学習プラットフォームが手に届くようになり、新たな学びの形をもたらしたeラーニング。従来の場所に縛られることなく、自分のペースで学びたい人々にとって、高効率な学習方法として定着しました。本記事では、そんなeラーニングの基本的な知識やメリット、具体的な利用方法について詳しくご紹介します。
1. eラーニングとは?
eラーニングとは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの電子デバイスを使用し、インターネットを通じて学びを得る学習形態のこと。「e」はelectric(電子的な)、「ラーニング」はlearning(学習)を意味します。
eラーニングは、オンラインのコースやトレーニングプログラムを利用することが一般的です。学習者はコンテンツにアクセスし、都合のよい時間や場所で、自分のペースで学習を進めることが可能です。一度きりの講習会とは違い、何度でも繰り返して学習できることも特徴です。さらに、eラーニングはインタラクティブな要素を組み込むことができるため、学習効果や参加率、完了率の向上を図れるというメリットもあります。
現在では、学校教育や企業研修などさまざまな分野で活用されています。オンライン大学や専門学校、企業の内部研修プログラムなどがその例です。また、ここ数年は新型コロナウイルスの流行により、自宅で学習できるeラーニングの需要が急増しました。
〈eラーニングの利用者の例〉
(1)学生
学校教育や大学教育の一環として、オンラインコースやデジタル教材を利用することがあります。
(2)専門職や従業員
企業や組織はeラーニングを導入し、従業員の研修やスキルアップの機会を提供しています。オンボーディング、製品トレーニング、セキュリティ対策などの教育プログラムが代表例です。
(3)自己学習者
自己啓発や新たなスキル習得を目的として、個人がオンラインのコースや教材を活用するケースもあります。プログラミング、デザイン、語学、マーケティングなど、学習分野は多岐に渡ります。
(4)再教育を求める就労者や非就労者
転職やキャリアチェンジを目指す人々や、再就職を考えている人々にとって、eラーニングは新しいスキルの獲得や職業訓練の手段となります。
(5)遠隔地にいる人々
アクセスが困難な地方の在住者など、地理的な制約がある場合にもeラーニングは学習の機会を提供します。
このように、eラーニングは、年齢やバックグラウンドに関係なく、多くの人々にフレキシブルな学習環境を提供できます。
2.eラーニングの最新情報
今日では、eラーニングは広く浸透していますが、日本国内でeラーニングが一般的になったのは2000年前後と言われています。その頃はインターネットの普及と高速化が進み、オンラインでの学習が急速に発展していきました。さらに、2000年代中頃には「ウェブ2.0」が出現し、インタラクティブな学習体験が可能に。その後、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスが続々と登場し、eラーニングはますます普及しています。
また、インターネットの高速化やデバイスの進化など、テクノロジーの発展によってeラーニング自体も従来の「知識の伝達」という役割だけではなく、より知識の定着に効果的な「体験的学習」を提供するツールに変化しています。
それでは、現在のeラーニングで一体どのような学習体験ができるのでしょうか。変化を遂げるeラーニングの最新情報をお伝えします。
(1)マイクロラーニング
1~5分程度の短時間で学習を行うスタイルで、学習者は自分のペースで小さなトピックを効率的に学ぶことができます。スキマ時間の有効活用や集中力が続きやすいというメリットがあります。
(2)AI(人工知能)の活用
AIを活用することで、学習者の進捗や要望、パフォーマンスなどに基づいてカスタマイズされた、最適な学習プランを提供できます。また、学習成果を分析し、それを基に学習プロセスの改善を図ることも可能です。
(3)教育ビッグデータとの連携
教育ビッグデータとは、学習者の進捗や行動、評価データなど、さまざまな教育関連の情報を大規模に収集し、分析することを指します。これらのデータを活用することで、これまでにない緻密で正確な評価や支援、教育改善プランを提供することができます。
(4)アクティブラーニング
受講者が能動的に学習に取り組むことができるアクティブラーニングは、従来の受動的学習(一方的に与えられたコンテンツで学習するスタイル)とは異なり、「対話力」や「交渉術」などのヒューマンスキルを習得するのに最適です。オンラインでのディスカッションやグループワークなど、多彩なコンテンツが増えています。
(5)VR(仮想現実)とAR(拡張現実)
仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を搭載した学習方法も注目されています。これらの技術を活用することで、災害時や医療現場など、再現・体験が難しいシーンもリアルにシミュレーションでき、より実践的な学習体験を得ることができます。
(6)ソーシャルラーニングとのコラボレーション
学習者同士のコラボレーションやソーシャルラーニングも知識の定着に有効です。オンラインコミュニティ、ディスカッションフォーラム、共同作業ツールなどを通じて、学習者同士が情報や意見を交換し、協力しながら学ぶことができます。
このような学習方法を複合的に組み合わせることで、学習者一人ひとりのニーズに即した最適なeラーニングが提供でき、「最高の学習体験」の実現につながります。
3.eラーニングのメリット・デメリット
ここまで、「eラーニングとは何か」についてご説明してきましたが、実際にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。この章では、対面での集合研修と比較したeラーニングのメリット・デメリットについて、学習者側・管理者側の双方の視点で解説していきます。
◎ 学習者側のメリット
(1)学習した実績が記録される
eラーニングの配信・受講は基本的にLMS(学習管理システム)で管理されているため、個人の学習履歴や成績はすべてサーバー等に記録されるのが一般的です。記録されたデータは管理者がいつでも参照できます。したがって、学習者は客観的な評価を受けることができます。
(2)いつでもどこでも自分のペースで学習できる
日時と場所が決められている集合研修と違い、eラーニングはモバイルデバイスとインターネット環境さえあれば、いつでもどこでも学習が可能です。拘束されず、自分のペースで自由に学習できることは大きなメリットです。気軽に学習できる分、“学びの習慣化”にもつながります。
(3)何度でも復習できる
集合研修はその日限り、時間が来れば終了です。テキストは手元に残っても、「教えてもらう」機会は一度きりです。一方、eラーニングは繰り返し受講が可能なので、理解できるまで徹底的に反復学習することができます。
● 学習者側のデメリット
(1)モチベーションの維持が難しい
個人の性質にもよりますが、「集合研修の“ワイワイガヤガヤ感”が楽しみ」という方は少なくありません。とにかくその日は業務から離れ、皆と一緒に学習をする。このメリハリを研修のモチベーションにしている方だと、eラーニングでは物足りず、やる気が起きないという事態が想定されます。
身一つあれば受講できる集合研修と異なり、eラーニングにはインターネット環境やデバイスが必要です。ただし、現在は企業における個人用パソコンの支給は一般化していますし、eラーニング受講に個人所有のデバイスを利用することを条件付きで許可する企業も多くみられます。
◎ 管理者側のメリット
(1)大勢の学習者に均質的な教育を提供できる
集合研修では一回あたりの参加人数が限られます。また、同じテキストを使っても講師によって“教育の質”にムラが生じることがあります。eラーニングであれば、参加者の人数に関係なく、まったく同じ教育内容を届けることができます。
(2)集合研修に比べて低コスト
eラーニング導入の先駆である株式会社オートバックスセブンが試算を行ったところ、同社がeラーニングを用いて始めた教育施策を集合研修で行うと仮定した場合、eラーニングの約4倍ものコストがかかるという結果が出ました。
(3)教材の調達方法が多様
eラーニングの教材の調達方法は、①既製品を買う、②オーダーメイドする、③既製品をカスタマイズする、④自社で制作(内製と表記されることも多い)するなど、選択肢は多岐にわたります。これらを組み合わせることで、オリジナリティを出しやすく、理想的な教育施策を追求することが可能です。
● 管理者側のデメリット
(1)ITリテラシーが求められる
eラーニングは、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスが使用されるため、管理者、学習者ともに、ある程度のITリテラシーが求められます。また、学習者の個人情報が必要となるケースもあるため、プライバシーや個人情報保護に関する知識や、セキュリティ対策の仕組みづくりが必要です。
4.eラーニングの具体的な使い方
ここからは、eラーニングでは具体的にどのようなことができるのかを、学習者・管理者それぞれについてご紹介していきます。
■ 学習者がeラーニングでできること
eラーニングは、個人の学習スタイルに合わせて、さまざまな学習環境やコンテンツが用意されています。オープンソースのLMS(学習管理システム)である「Moodle(ムードル)※」を例にすると、レポートや課題の提出をはじめ、アンケートに回答したり質問したりできるなど、管理者や講師とのやり取りの場が設けられていることが多いです。さらに、学習者同士の交流を図るためのシステムが搭載されていることもあります。このような“インタラクティブな学び”を通して、学習者はより意欲的に学ぶことができ、学習成果の向上に期待が持てます。
※Moodleについては、こちらのページで詳しく解説しています
〈具体的な機能〉
・研修/授業資料の閲覧
・研修/授業資料のダウンロード
・研修/授業の出欠
・ワークショップ
・グループ/個別フォーラムでの交流
・質問
・アンケート
・本日のToDo
・レポート/課題提出
・テスト
・プライベートファイル …など
■ 管理者がeラーニングでできること
既出の「Moodle」の場合は、出席や成績の管理をはじめ、学習者の学習進捗を管理する機能が備わっているため、管理者は一人ひとりの進捗状況を容易に把握することができます。さらに、進捗管理のデータを分析し、レポートを生成すれば、学習計画や指導、コースの改善などにも役立ちます。また、教材登録に付随して、テストやアンケート、レポート提出などの実施も手軽に行うことが可能です。
〈具体的な機能〉
・出欠管理
・オンライン研修/授業
・研修/授業資料のアップロード
・成績管理
・レポート/課題管理
・レポート/課題採点、評価
・テストの実施
・テスト品質の分析
・進捗管理レポート
・修了証
・オープンバッジ
・GDPR(EU一般データ保護規則)
・SSO(シングルサインオン:認証連携によりシームレスにシステムを利用可能)
・MFA(二段階認証)
・グループ/個別フォーラムでのアドバイス
・フィードバック
さらにLMSがMoodleなどオープンソースのものである場合、必要な機能をプラグイン開発にて追加することも可能です。機能を自由にカスタマイズすることによって、より使いやすく、より効果的なeラーニング環境を用意することができます。
5.eラーニングの導入に必要な3つのこと
機能性に富んだeラーニングを活用すれば、高品質な学習体験を手軽に、効率よく提供できることがわかりました。そんなeラーニングを導入するためには、① eラーニングシステム(LMS)、②教材、③学習者へのサポート体制が必要になります。
この3つの要素について、詳しく解説していきましょう。
① eラーニングシステム(LMS)
eラーニングを導入するにあたり、ベースとなるのが「LMS」です。これは、「Learning Management System」の略語で、学習管理システムとも呼ばれます。多くのLMSは、前章でご紹介した各機能を備えており、学習者の登録や進捗の管理、学習コンテンツのアップロードや設定などを行うことができます。
代表的なLMSに「Moodle」があります。Moodleはオープンソース型のオールインワン学習プラットフォームで、世界標準のLMSとして広く利用されています。
※Moodleについては、こちらのページで詳しく解説しています
② 教材
LMSを利用してeラーニングの運用環境を構築したあとに必要となるのが、“学習の中身”。つまり、教材です。教材を用意するためには、主に3つの方法があります。
〈教材を用意する方法〉
・eラーニングの提供会社が用意しているものを利用する
・eラーニングの提供会社に制作を依頼し、オリジナル教材を作成する
・自社で制作する(eラーニングの提供会社に内製化のためのサポートを受ける)
一般的に、LMSはSCORM(スコーム:eラーニングを標準化するための規格)に準拠しています。したがって、教材自体が、LMS上で正しく機能するために、SCORMに準拠している必要があります。SCORMに準拠した教材であれば、異なるLMSであっても、同じ教材を同じように利用できるなどのメリットがあります。
※SCORMについては、こちらのページで詳しく解説しています
SCORMに準拠した教材を作成するためには、「iSpring Suite」や「Storyline」などのeラーニングコンテンツ作成ツールを利用するとよいでしょう。特に「iSpring Suite」はPowerPointのプラグインソフトとして、比較的容易に学習コンテンツを作成できます。
しかし、教材作成にはある程度の知識が必要となるため、専門的な知識を持った技術者に依頼するのが一般的です。教材を用意したい場合は、eラーニングの提供会社に相談してみることをおすすめします。
> 関連コラム:iSpring Suiteとは?特徴・価格・導入メリットを紹介
>eラーニングコンテンツ制作
③学習者へのサポート体制
eラーニングを円滑に運用する上で、外すことができないのが学習者へのサポート体制です。技術的な問題解決や、学習の円滑な進行管理はもちろんのこと、学習者のケアも重要です。eラーニングは基本的に個人で学習を進めます。そのため、孤立感を覚えたり、やる気を失ったりする学習者が出てくるケースが考えられるからです。
そこで、学習アドバイザー(学習のトータルケアを行う人)や、チューター(教材に関する質問に回答する人)などの支援スタッフが存在すれば、学習者の悩みを解消でき、モチベーションアップや成果向上にもつながります。
6.eラーニングを始める第一歩を、共に
デジタル技術の進歩と教育の領域の融合によって生まれた、革新的な学習手法であるeラーニング。2000年代にはLMSの利用が一層拡大し、さまざまな教育現場で活用されるようになりました。
時を同じくして、ヒューマンサイエンスも、国内におけるeラーニングの草創期から教材作成に携わり、20年以上に及ぶ実績を築いてきました。その豊富な実績に基づいた正しいノウハウを、ぜひ皆さまのビジネスにお役立ていただければ幸いです。
「eラーニングに興味がある、始めてみたい」とお考えの方はもちろん、「社員のモチベーションが上がらない」「教育効果が見えない」といった課題やお悩みを抱えている方も、ぜひ弊社にご相談ください。効率性と効果性を備えた、社員教育の最適なプランをご提案させていただきます。
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- iSpring Suite (MAX) の概要と活用方法
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