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2023.09.20

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デジタルラーニング 〜eラーニングの歴史と今後の動向を考える〜

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    近年、eラーニングは学習スタイルの一つとして定着していますが、ここまで一般的になった背景には、普及・推進を行ってきた多くの団体の存在が挙げられます。その中でも、NPO法人デジタルラーニング・コンソーシアムは、国内最大のeラーニング団体であり、eラーニングをはじめとするデジタルを活用した学習の普及促進を目的に、20年以上に渡って活動しています。
    弊社も会員になっています。

    今回の記事では、デジタルラーニング・コンソーシアムの紹介と併せて、eラーニングの歴史をたどっていきたいと思います。さらに、eラーニングの現状を踏まえながら、今後の市場動向を予測してみましょう。


    1. NPO法人 デジタルラーニング・コンソーシアムの役割

    NPO法人のデジタルラーニング・コンソーシアム(略称:DLC)は、eラーニングをはじめ、デジタルを活用した学習(デジタルラーニング)の普及促進を目的に活動する団体です。標準化の促進活動やガイドラインの制定、関連情報の提供などを主な取り組みとして、デジタルラーニングの啓蒙に尽力しています

    デジタルラーニング・コンソーシアムは「eラーニング・プロフェッショナル(eLP)」や「SCORM技術者」など、デジタルラーニングに関わる資格の認定事業も行っています。ヒューマンサイエンスには、これらの資格を保持するスタッフが在籍しており、“eラーニングのプロフェッショナル”として、さまざまな企業のサポートを行っています。

    〈デジタルラーニング・コンソーシアムの6つの事業〉

    (1)調査事業
    ・デジタルラーニングに関する先進技術や情報通信技術を利用した教授法、人材育成動向、標準化動向などに関する国内、国外の状況の調査

    (2)認定事業
    ・eラーニング専門家の資格認定
    ・eラーニングコンテンツやeラーニングシステムの認定、およびそれらの品質に関する認定

    (3)研究開発事業
    ・デジタルラーニングに関する技術
    ・コンテンツなどの標準化関連事項に関する研究
    ・教育工学関連
    ・運営技術関連の実用化技術開発、実証実験

    (4)交流・提言事業
    ・国際的視野による国内外の関連団体との交流や協力活動
    ・行政への提言および政策実践支援

    (5)教育事業
    ・デジタルラーニングに係る責任者や担当者の知識・ノウハウの向上
    ・eラーニング専門家の育成

    (6)普及・啓発事業
    ・上記の活動により得られた各種情報の広報、発信とイベントの開催、書籍出版

    これら多岐にわたる事業に携わり、20年以上の歴史を刻んできたデジタルラーニング・コンソーシアム。2023年度からは、eラーニングを含むデジタルの広範な活用を通じて、より効果的な人材育成支援を実現するべく、2001年の発足時からの名称「日本eラーニングコンソシアム(略称:eLC)」を改め、現在の法人名になりました。

    さらなる発展が期待されるデジタルラーニングを牽引する存在として、デジタルラーニング・コンソーシアムの活動に今後も注目です。

    2.時代の流れとともに変化するeラーニング

    eラーニングは、デジタル技術の進化と教育革新の融合によって生まれた学習方法です。そのルーツにあたるのは、1950年代に登場した「CAI(コンピューターを利用した教育のこと)」だと考えられています。CAIは“コンピューターを利用して教育を支援できないか”という想いから、アメリカを中心に、世界各国で研究・開発が始まりました。
    しかし、理想的なシステムの構築に技術が追いつかず、CAIによる教育改革は、思うように進展できませんでした。

    そんなCAIが大きく発展したのは90年代以降です。

    ■ 1990年代〜
    90年代に入ると、パソコンの発達により、CAIはCBT(コンピュータ・ベースド・トレーニング)へと変化していきました。CBTとは、主にCD-ROMを教材として使用した学習方法を指し、テキストや画像、音声、動画など多様なメディアを組み合わせたコンテンツが提供されるようになりました。1995年には、爆発的人気を博したWindows95が発売され、一般家庭にもパソコンが普及。CBTによる教育が確立されていきました。

    ■ 2000年代 初頭〜中盤
    日本国内でeラーニングという言葉が聞かれるようになったのは、2000年頃のことです。政府が「e-Japan構想(※)」を打ち出したこともあり、紙などの旧メディアを“e化”することに注目が集まりました。

    この頃はインターネットの一般化によって、eラーニングもCBTからウェブベースの学習へと変化していきました。オンラインでの学習方法はWBT(ウェブ・ベースド・トレーニング)と呼ばれます。教材がウェブ上で提供されるようになったことで、学習者は自宅や職場など時や場所を選ばず、いつでも容易にアクセスできるようになりました。

    WBTの浸透に伴い、学習管理システム=LMS(Learning Management System)が普及し、教育機関や企業がオンライン学習を効率的に管理できるようになりました。デジタルラーニング・コンソーシアムの前身である、日本eラーニングコンソシアムが発足したのもこの時期(2001年)です。

    ■ 2010年代〜
    高速インターネットの普及によって、動画コンテンツがeラーニングの重要な要素となりました。YouTubeや専用の学習プラットフォームを通じて、講義や解説、実演などが動画形式で提供され、より視覚的な学習体験が可能に。

    さらに、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスも身近なものとなり、eラーニングの「いつでも・どこでも学習できる」という特長を後押しする形となりました。結果として、学習者のペースで学べる柔軟な学習環境がさらに整備されました。

    ■ 2010年代後半〜2020年代
    人工知能(AI)技術の進化により、学習者の進捗や傾向を分析し、適切な学習コンテンツを提供する「アダプティブラーニング(適応型学習)」が登場しました。これにより、個々の学習スタイルに合わせた、“カスタマイズされた学び”が実現することになります。

    このように、eラーニングは技術革新とともに大きな進化を遂げ、教育の領域に革命的な変化をもたらしました。テクノロジーの力によって一人ひとりの学習スタイルにマッチした学習環境が提供され、より効果的かつ効率的に、知識やスキルが習得できるようになったのです。

    (※)日本政府が掲げた日本型IT社会の実現を目指す構想のこと

    3.eラーニングの現状

    ここまでeラーニングの歴史を振り返ってきましたが、eラーニングはテクノロジーの進化と教育の変革によって日々成長し続けています。この章では、“eラーニングの今”にスポットを当て、現在の状況を探ってみたいと思います。

    ■ コロナ禍を経て、さらに普及が進む
    新型コロナウイルスの世界的大流行の影響を受け、eラーニングの普及が急激に進み、多くの学習者がオンラインプラットフォームを活用して学ぶようになりました。それは、対面での教育や研修が制限され、代替手段としてオンライン学習が選択されたためです。

    ■ 企業のeラーニング導入が拡大
    リモートワークが浸透した現在。従業員のスキル向上やトレーニングの効率化を図るために、数多くの企業はeラーニングを積極的に導入しています。オンボーディングやコンプライアンストレーニング、リーダーシップ開発など、多様なトピックに渡るコースが用意され、効果的な学習が提供されています。

    ■ 人工知能による個別指導が進化
    人工知能の進化により、学習者の進捗やスキルに基づいてカスタマイズされた学習の提供が可能になりました。適応型学習プラットフォームやAIチューターが、学習の質と効果を向上させます。

    ■ バーチャルリアリティと拡張現実の導入
    バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)の技術を導入したeラーニング教材により、没入感の高いリアルなシミュレーション体験が実現され、より実践的な知識やスキルが習得できるようになりました。特に、実際の場面をシミュレートするトレーニングに有効です。

    新型コロナウイルスの流行によって、従来の対面式の教育が制約を受ける中、eラーニングの需要が高まり、普及が加速しました。eラーニングは、今後も重要な学習手段の一つとして継続的に浸透していくことが予想されます。

    4.今後も拡大が予測されるeラーニング市場

    近年、テクノロジーの進化やコロナ禍の影響を受けて、eラーニング市場成長を遂げています。今後もその勢いは止むことなく、以下のような理由から、進化し続けると予想されます。

    ■ 世界のeラーニング市場は大幅な成長予測
    ケネス・リサーチ(多種多様な業界の市場調査リポートなどを行うアメリカの市場調査会社)の調査によると、世界のeラーニング市場は2020年から2027年の予測期間中に大幅なCAGR(成長率)を見込むと予測されています。
    マイクロラーニングの採用増加や、学生の授業にゲーミフィケーション(ゲームの要素を本来の目的としないサービスなどに応用すること)を活用するなどの影響により、成長が促進される見通しです。

    ■ BtoB市場とBtoC市場の拡大にも期待
    BtoB市場では、モバイルデバイスの普及や動画コンテンツの充実などによりeラーニングを利用しやすくなったことと、企業の人材育成ニーズの高まりも相まって、これまで以上に、多様な業種に浸透しています。また、BtoC市場も同様に、モバイルデバイスやSNSを活用した学習方法の浸透や、ICT(情報通信技術)の発展による多彩なサービスの提供、AIの導入などを受けて、利用者数の増加が見込まれています。
    eラーニングにおけるBtoB、BtoCの両市場は、今後も拡大し続けていくと予想できます。

    企業や個人が学習の新たなスタイルを模索し、それに応える形で進化を遂げていったeラーニング市場。今後も、ますます興隆していくことが期待されます。

    5.まとめ

    この30年間余りで驚異的な進化を遂げ、学習方法の一つとして定着したeラーニング。
    コンピューターベースからウェブベースへ、さらにAIやVRを駆使した次世代の学びへと進化してきたeラーニングは、個々の学習スタイルやニーズに合わせた“質の高い学習”を提供することで、その価値を高めてきました。

    今後も、時代の流れや人々のニーズを汲み取り、最新技術を融合して、新たな教育のスタイルを切り拓いてくれることでしょう。
    そんなeラーニングの未来に、これからも目が離せません。

    ヒューマンサイエンスでは、eラーニング教材制作の豊富な実績があります。プロジェクトの進行管理のノウハウを活かし、eラーニングの企画や設計から支援します。各プロジェクトには、経験豊富な専任のプロジェクトマネージャが割り当てられ、専門のコンサルタントチームが納品までしっかりとサポートします。教材制作のお悩みがありましたら是非お気軽にご相談ください。

    各サービスについては、下記よりご覧ください。
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