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2017.10.11

ノウハウ

企業教育におけるeラーニング きほん②(理論編)

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    前回「企業教育におけるeラーニング きほん①(はじめに)」では日本におけるeラーニングの現状と打開策の必要性をお伝えしました。今回は解決の糸口、かつ、教育設計の基礎理論であるインストラクショナルデザイン(以下ID)とその目的などについてご紹介します。

    基礎理論:インストラクショナルデザイン(ID)

    IDの基礎が作られたのは第二次世界大戦時のアメリカです。
    70年以上も前ですが、現在でも少しずつ新たな理論を取り込み、派生し、基礎理論としての地位を保ち続けています。世界最大の人材開発イベントATD ICEでも、現在でも約1割のセッションがIDをメインテーマとし、その他多くのセッションもこれをベースに展開されています。

    IDを構成する主要理論の一つである「ADDIEモデル」は、教材の「分析→設計→開発→実施→評価」というプロセスを定義しています。業務におけるPDCAサイクルと同じような概念であり、事前の分析はもちろんのこと、継続的な評価・見直しの必要性が定義されています。
    「分析 -Analyze-」:どんな受講者に、何を学んでもらうべきか
    「設計 -Design-」:何を達成してもらうか(目標)、どうやって達成させるか
    「開発 -Develop-」:分析・設計を踏まえた教育の制作
    「実装 -Implement-」:教育の実施
    「評価 -Evaluate-」:教育が目的に貢献したかの確認
    (補足)目標:教育により学習者が達成するもの、目的:教育を実施する理由・組織が達成したいもの

    しかし企業における教育体制の不十分性や、コスト(ROI)などの問題から、未だ適切な「分析」・「設計」・「評価」のフェーズがほとんど実施されていないのが現実です。

    この他にもIDは、学習意欲を高めるためのARCSモデル、ガニェの9教授事象など様々な理論の組み合わせで形作られています。

    心理学などの視点から、人がどのように学ぶのかを分析し、教材制作・配信などの技術を駆使して、最適な学習をデザインするIDは、私たちのような教育を提供する人間が最初に学ぶべき概念であるといえます。
    最近ではさらに、神経科学(Neurosciece)などの新たな視点から実際の脳の反応を探り、効果的な教育の仕組みが研究されるなどし始めています。
    特に、eラーニングに係る分野ではマイクロラーニング(必要な学びを必要なタイミングで届ける仕組み)や、アダプティブラーニング(個人に最適化された学び)ソーシャルラーニング(非公式な環境で学ぶことの支援)などは、教育と教材の在り方を根本から変えようとしている流れの一つです。
    これらの理論や概念、技術なども、基礎の部分ではIDの考えを受け継いでいるものと言えます。

    教育の実施目的

    eラーニングにおいても、最終的な実施目的(教育の目的)は、会社のビジネスゴールの達成にあると言えるでしょう。売上目標の達成にとどまらず、持続可能性(sustainability)、CSR/CSV、セキュリティインシデントによる損失の防止、技術力向上などを包括し、様々なゴールに到達するための手段のひとつが教育/eラーニングです。
    そのため、教材自体の目的も知識の補填で終わらせてはいけません。
    実際にその知識を活用し、行動させる(行動変容)までが教育を実施する目的です。
    IDにおいても、学習者が達成するべき目標は、「…を理解する」ではなく「…ができるようになる」などと設定するべきとされています。

    学習する文化

    皆さんは、学生時代にやる気のなかった授業の内容を覚えているでしょうか。

    日本の企業教育は、「押しつけ型の教育」(やりなさいと言われて/やらないといけないからやる)が大半を占めています。集合研修であれば、講師がその空気を読み取って「あなたに必要な教育なんだ」ということを熱弁する機会も設けられれますが、リアルタイムなコミュニケーションの取れないeラーニングだとそうはいきません。

    それでもやる気のある社員は、必死に学ぼうとするかもしれませんが、このような社員は少数派であると言わざるを得ません。現在の日本のeラーニングの存在意義は非常に危ういと感じています。海外では、ゲーミフィケーションやマイクロラーニングのように、如何にやる気を引き出し、行動させるかを必死で考えてきた中で、日本は十何年も変わらずに、押しつけ型の教育から進化せずに来てしまっています。

    「やる気を引き出し」、「知識を行動に変え」、「会社を変えていく」工夫を、改めて教育に取り入れていくという見直しが必要です。 企業を構成する人を育てなければ、企業自体も育たないでしょう。教育を新人研修だけで終わらせず、習慣的な学習による「学習する文化」を作ることが、従業員に対する会社の責任であると考えています。IDはそれを実現するための基礎となります。

    ※今後も様々なテーマ(システム等技術や最新トレンド)についてご紹介していきたいと思っています。

    立野 慶吾

    執筆者:

    立野 慶吾
    教育ソリューション部 コンサルティングユニット
     ・研修講師・Webデザイナー等を経験
     ・教育設計・eラーニング開発等に従事
     ・ラーニングデザイナー(eLC認定)
     ・ATD International Professional Member

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