2023.08.15
自社に最適なeラーニングプラットフォームとは?機能から種類、活用メリットまで解説!
eラーニングプラットフォームとは、インターネット環境で学習に取り組む「eラーニング」を実施するためのシステムのことです。「LMS(学習管理システム)」とも呼ばれており、教材の配信をはじめ、受講者の学習進捗状況の管理や、それ以外にもさまざまな機能を備えています。
この記事では、eラーニングプラットフォームの機能と種類について解説します。導入後に役立つ活用メリットについてもまとめました。
1. eラーニングプラットフォームとは?
自社に最適なeラーニングプラットフォームを選ぶときは、まずどのようなシステムなのか知る必要があります。
ビジネスシーンにおいて「プラットフォーム」とは、システムなどを稼働させるための基盤を指しており、いくつかのプログラムが同じ基盤で稼働することを意味しています。
eラーニングプラットフォーム(LMS:Learning Management System/学習管理システム)は、eラーニングに必要な教材や学習進捗状況、受講者の成績など、人材育成に必要な情報をまとめて管理することが可能です。
eラーニングとは?
「eラーニング」とは、広義にはパソコンとインターネットを中心とするIT技術を活用した教育システムの総称です。
つまり、eラーニングプラットフォームをとおして教材を読む、動画共有サイトやWebサイトの動画視聴、専用の学習アプリで問題を解くことも「eラーニング」です。インターネット環境と利用できる端末があれば時間や場所を問わず、自分のペースで学習できます。
eラーニングプラットフォームの必要性
eラーニングプラットフォームは、テレワークなど新しい働き方にあわせた人材育成の基盤として注目を集めています。少子高齢化が進み生産年齢人口が減少していることから、さまざまな業界で人材が不足しています。企業は、労働者の多様性をふまえた職場環境の構築や人材育成方法の採用を検討しなければなりません。
eラーニングプラットフォームなら、学習の進捗管理機能を利用して蓄積したデータをもとに、テストの作成やアンケートの配布など、eラーニングの学習管理を効率化できます。テレワーク中でも社員教育のPDCAを回せるため、各々の働き方の特性に合わせた人材育成が可能です。
2.eラーニングプラットフォームの機能
eラーニングプラットフォームは学習の管理以外にもさまざまな機能を備えています。どのような機能を備えているのか簡単にご紹介しましょう。
eラーニング配信機能
eラーニングプラットフォームは、受講者に向けてeラーニングの教材を配信できる機能を備えています。以下のようなファイルを教材として配信できます。
●PDF文書
●Word
●Excel
●動画ファイル
教材を配信するには、まず特定のコースを設置して、教材となるファイルをアップロードします。外部サイトで公開している動画コンテンツのURLをリンク形式で埋め込むことも可能です。
また、多くのeラーニングプラットフォームはスマートフォンでも快適に学習できます。学習者はシステムから配信された教材を直接閲覧・視聴するため、法律関連など定期的な更新が発生するような教材の学習にも便利です。
教材や資料のダウンロードが可能な環境も作れます。学習内容や教材の更新頻度、受講者の利用端末などをふまえて、目的にあわせた配信スタイルを検討しましょう。
受講者情報管理・学習進捗管理
eラーニングプラットフォームでは、受講者の登録情報や学習進捗を管理できます。受講者の情報とは氏名や部署、メールアドレスや社員ナンバーなどで、目的に応じて登録する項目を設定できます。一度に大人数の情報を登録するときは、CSVファイルが使えると便利です。したがって、eラーニングプラットフォームに、CSVファイルのインポート機能があるかもポイントになります。
また、学習の進捗レベルに応じたアイコン表示など、視認性の向上につながるカスタマイズが可能なプラットフォームなら管理業務を効率化しやすくなります。また、管理がしやすくなることで、受講者の学習サポートや適正な評価活動に時間を充てられます。
テスト・アンケート実施機能
eラーニングプラットフォームでは、受講者の理解度に合わせたテストの作成や、学習状況を確認するためのアンケートを実施できます。受講者の学習理解度については、日々の学習で提出される課題やレポートから、把握できるので、一人ひとりに合わせて作成できます。
受講者がきちんと課題に取り組んでいるか、学習活動を記録したデータを分析することで、受講者に最適化されたコースを設けることもできます。コースを離脱してしまうようなことがあっても、アンケートを実施するなど、受講者に寄り添い、課題解決に取り組むことも可能です。
集合研修管理
集合研修管理機能とは、受講者からの参加申請や資料配布など、研修管理に必要な業務を一元管理できる機能です。集合研修を実施するときに、以下の業務を一貫管理できます。
●受講者からの参加申請
●受講者の出欠管理
●資料配布
●修了証の発行
研修カリキュラムは対象者や目的にあわせて、コース分けしておくと進捗状況が管理しやすくなります。
組織管理
eラーニングプラットフォームでは受講者を階層ごとに登録できます。この登録方法を活かして企業組織図を設定しておくと、部署や部門ごとの学習対象者を抽出するのに役立ちます。
受講者が登録した所属部署などが反映されるように設定しておけば、管理側は手動で設定する必要はありません。育成が必要なタイミングで対象者を抽出し、研修の周知から実施、テストの実施まで組織全体の人材育成カリキュラムを実行できます。
ソーシャル機能
eラーニングプラットフォームには、受講者専用SNSのようなコミュニケーション機能を備えているものもあります。一般的なSNSであるX(Twitter)やFacebookなどとは異なり、課題や目的に応じてスレッドを作成することもできます。受講者は互いの知識をシェアしながら、インタラクティブな学習スタイルをつくれます。
ソーシャル機能は講師も利用できるため、受講者の疑問点の確認や指導にも使えます。eラーニングの課題として挙げられることが多い「受講者の孤独感」や「コミュニケーション不足」の解決にもつなげることができます。
効率的なeラーニングを行うための世界標準LMS「Moodle」の基本操作や導入事例は下記で詳しく解説しています。ぜひ参考になさってください。
> 【Moodle基本講座】eラーニング学習管理システムのMoodleって何ができるの?
3.eラーニングプラットフォームの種類
eラーニングプラットフォームは導入方法によって、「オンプレミス型」と「クラウド型」に分類できます。それぞれのメリットとデメリットをふまえて、自社環境にあわせたeラーニングプラットフォームを検討することをお勧めします。
オンプレミス型
「オンプレミス型」とは、自社のサーバーにeラーニングプラットフォームのシステムをインストールして運用する方法です。従来からあるシステム導入方法で、多くのITツールやシステム導入で使用されてきました。
メリットとデメリットは以下のとおりです。
・メリット
●カスタマイズが可能
●セキュリティ対策を強化できる
●内製化に特化できる
「オンプレミス型」は自社サーバーにシステムを構築するため、自社にあわせてカスタマイズできる点がメリットです。また、自社のネットワーク環境のみで利用を制限できるため、高度なセキュリティ環境の構築が可能です。
メンテナンスや運用は自社で行えるため、運用・開発におけるリソースが確保できるならメリットのある導入方法といえます。
・デメリット
●自社サーバーを保有するコストがかかる
●開発・運用のコストと時間がかかる
●外部アクセス用にVPN設定を必要とする
オンプレミス型のデメリットは、システムの開発が必要なため、実際に稼働するまで時間がかかることがあげられます。また、システム構築にあたる人件費やサーバーの維持費用なども必要です。
定期的なメンテナンスやシステムのアップデートも必要になるため、導入にはそれなりの予算とリソースを確保しなければなりません。
また、外部から自社サーバーへアクセスするには、セキュリティ面から、VPNなど専用回線の構築も必要です。テレワーク中の社員に向けたeラーニングを実施する場合は特に、VPN回線の設定も検討しましょう。
クラウド型
「クラウド型」のeラーニングプラットフォームは、物理サーバーではなくインターネット回線を介してクラウド上の仮想環境を利用する方法です。「クラウド型」は近年さまざまなシステムやサービスで導入されています。「クラウド型」のメリットとデメリットを見てみましょう。
・メリット
●初期費用を抑えられる
●自社でのシステム構築が不要
●運用の手間がかからない
「クラウド型」は自社にサーバーを設置する必要がないため、初期費用を抑えて短期間でスタートできます。導入時の費用は予め定められており、設計や開発のコストは不要です。また、メンテナンスなどはサービスを提供している会社が行うため、開発や運用にかかる手間とコストを削減できます。
・デメリット
●カスタマイズしづらい
●セキュリティ対策の強化が必要
●運用中はずっと費用がかかる
クラウド型のデメリットはカスタマイズできる範囲に制限があることです。学習コンテンツの見せ方や各データの収集方法など、自社なりのこだわりを実現するのが困難なケースがあります。
また、「クラウド型」は基本的に常時インターネット回線に接続している状態です。教材の保存先もクラウドサーバーであるため、サイバー攻撃や情報漏えいなどのリスクが比較的高いということになります。したがって、セキュリティ対策の強化が必要です。
また、長期的な運用で考えた場合のデメリットもあります。クラウド型の場合は、利用期間は月額や年額での料金が常に発生します。したがって、運用費用が継続的にかかります。さらに、導入規模によって料金プランが異なる場合、大規模になるほど料金も高額になります。初期費用では、コストを軽減できたとしても、トータルでは予算をオーバーする可能性もあるため注意が必要です。
4.eラーニングプラットフォームを活用するメリット
eラーニングプラットフォームを活用することで、従業員が積極的に学習する仕組みを作ることができます。
進捗をリアルタイムで確認可能
全国各地に点在する従業員を対象に、社内研修や資格取得に向けた勉強会を実施するケースで考えてみましょう。
手作業や紙ベースでの管理をしていると、提出日などに時間差が出てしまいますが、eラーニングプラットフォームなら、受講者の学習進捗状況などをリアルタイムで確認できます。
勉強会の目標が資格取得である場合、試験日までに受講者の学習レベルを資格取得ラインまで学向上させなければなりません。そのような中で、進捗確認時に未履修の単元があった場合、該当する従業員に対して確認のコメントを送るなど学習を促すことができます。
学習進捗状況や受講者の得意・不得意に応じてテストが可能
eラーニングプラットフォームでは、AIにより受講者の学習レベルや得意・不得意な単元などの情報について、一人ひとりの学習データを数値で把握できます。また、学習レベルに応じたテストも実施できます。
受講者は自身の理解度を把握できるため、目標達成までのマイルストーンを設定しやすくなります。テストの結果をふまえて、不得意なジャンルに積極的に取り組めるなど、モチベーションにもつなげることができるでしょう。
個別の研修やフォローにも役立つ
理解力には個人差があります。疑問点や不明点をそのままにしていると差は拡大する一方です。また、一人で学習に取り組む形では、モチベーションが上がらない受講生もいるかもしれません。とはいえ、それぞれの学習者を個別でフォローするには、たいへんな手間と時間がかかります。
eラーニングプラットフォームでは、受講者一人ひとりの学習進捗状況を管理できるため、学習レベルに応じた個別研修にも活用できます。ふだんからソーシャル機能で受講者と関わりをもっていれば、いざというときにもすぐにフォローできます。
理解度・学習効果が高まる
eラーニングプラットフォームによっては、動画コンテンツにテロップ(字幕)を入れて、より理解しやすいように工夫することも可能です。また、再生スピードも調整できるため、自分のペースで繰り返し学習できるメリットがあります。
反復学習は記憶の定着に役立ちます。さらに、eラーニングプラットフォームは反復学習の成果を確認できることから、学習者自身が理解度が深まっていることを自覚することで学習意欲が促進されます。
受講者のモチベーション維持
学習を継続するにあたってモチベーションの維持は大切な要素のひとつです。eラーニングは課題にひとりで取り組むため、モチベーションを保ちにくいデメリットがありました。
eラーニングプラットフォームは、受講者自身も、学習進捗や得意・不得意なジャンルなど、現在の学習レベルを把握できます。また学習修了後は修了証明書の提示やランク制度など学習の成果を示せる機能があるため、受講者のモチベーション向上に活用できます。
また、学習の難易度が高くなってくると学習が止まってしまう受講者も出てきます。そのような場合は、ソーシャル機能で声をかけたり個別のテストを実施したりといった対応が可能です。
5.まとめ
eラーニングプラットフォームとは、「LMS(学習支援システム)」とも呼ばれており、人材育成に必要な業務を効率化できる機能を備えているシステムです。「オンプレミス型」と「クラウド型」があり、それぞれコストの内訳や開発・運用方法が異なります。
eラーニングプラットフォームの導入をお考えなら、自社の環境やリソースに適したサービスを選んでいただくためにも、専門知識のあるベンダーにご相談することをおすすめします。
ヒューマンサイエンスはLMS『Moodle』公式パートナーです
ヒューマンサイエンスでは、『Moodle(ムードル)』の公式パートナーとして、導入支援・運用サービスを展開しています。オーストラリアで開発された『Moodle』は世界246か国、120言語に対応しているオープンソースソフトウェアです。ライセンス費用は無料なので、受講者の増減にも柔軟に対応できます。
eラーニング教材の制作や翻訳にも対応しており、グローバルな人材育成に向けた教育カリキュラムの制作もお手伝い可能です。
各サービスについては、下記よりご覧ください。
> Moodle導入支援・運用
> eラーニング教材制作
> eラーニング教材翻訳(多言語対応、ローカライズ)
実績ご紹介|東京理科大学様
ヒューマンサイエンスは『Moodle』導入支援において、国内大学の導入実績が多くあります。ここでは、東京理科大学様への導入支援についてご紹介しましょう。
・問い合わせ対応時間の大幅カットを実現
東京理科大学様では、2011年より『Moodle』を導入していたものの、初めて利用する教員の問い合わせ対応にリソースが不足してきたことで、ヘルプデスク対応を弊社にご相談いただきました。
●問い合わせ数の削減
●使い方セミナー
●マニュアルの改善・翻訳
●動画マニュアル制作
などMoodle運用サポートを行った結果、問い合わせへの対応時間が10分の1に減少するなど、ご負担を大きく軽減できました。
東京理科大学様の事例について、以下の記事でくわしく紹介しています。ぜひご覧ください。
> 教員向けMoodleヘルプデスク対応およびマニュアル制作事例「問い合わせ対応時間が10分の1に」
近年、新しい働き方に対応する学習方法としてeラーニングプラットフォームが注目を浴びています。テレワーク導入による人材育成の課題を解決をはじめ、業務の効率性を向上できます。
ヒューマンサイエンスでは、Moodle公式パートナーとしてMoodle導入支援・運用支援サービスを展開しています。また、eラーニング教材制作から翻訳まで、ワンストップで皆様の人材育成をお手伝いいたします。
社員教育やeラーニングに関するご相談は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
> お問い合わせはこちら
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