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2025.12.12

Moodle

Moodle 5.0と4系の違いは?主な変更点と新機能を徹底解説

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    2025年4月14日にリリースされたMoodle 5.0。LTS(Long Time Support)版ではないものの、新たな5.0は4系と何が違うのか気になる管理者も多いのではないでしょうか?

    最も気になるのは、やはり見た目や操作性の変更です。3系から4系への移行では、ユーザーインターフェースが大きく刷新されたため、教師や学生への説明会開催、マニュアルの全面改訂など、運用担当者の負担は相当なものでした。Moodle 5.0へのアップデートで「また同じような混乱が起きるのでは…」と不安に感じる声も少なくありません。

    本記事では、最新のMoodle 5.0に関して、4系との違いも含めて教師・学生目線でどんなところが変更になり、どこが使いやすくなったのかを詳しく紹介いたします。

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    1. Moodle 5.0とは?バージョン管理の基礎知識

    Moodleは世界中に多くのユーザーを抱えるLMSです。細かなセキュリティ対応から機能追加まで、年に8回ほどバージョンアップが行われます。ここではMoodleのバージョンアップについての基礎知識を説明いたします。

    1-1. バージョンアップの種類

    Moodleのバージョンアップの種類は大きく分けて3つ。セキュリティへの対応や不具合対応を主としたマイナーバージョンアップ、操作性の向上や機能追加が行われるメジャーバージョンアップ、そしてメジャーバージョンアップの中でもサポート期間が長いLTS版です。

    以下に詳しく見ていきましょう。

    マイナーバージョンアップ
    セキュリティパッチや不具合修正を中心とした更新で2か月に1回ほど行われます。例えば4.1.xから4.1.yへのアップデートが該当します。操作性への影響は最小限で、システムの安定性とセキュリティを保つために定期的な適用が推奨されます。

    メジャーバージョンアップ
    操作性の向上や新機能の追加を含む更新で、6か月に1回行われます。例えば、3.xから3.yへの移行が該当します。また3.xから4.x、4.xから5.xのように、バージョン番号の最初の数字が変わる場合は、UI/UXの変更を伴うことが多く、ユーザー教育やマニュアル更新が必要になる場合があります。

    LTS(Long Term Support)版
    メジャーバージョンの中でも特に保守期間が長く設定されたバージョンです。現在の最新LTSは4.5で、通常版よりも長期的なサポートが保証されるため、大規模な教育機関や企業での採用が多い傾向にあります。

    1-2. 最新版は良いところばかりじゃない!?バージョンアップ戦略の実態

    セキュリティのためには常に最新版へのバージョンアップが理想的ですが、実際の運用現場では慎重な判断が求められます。新バージョンには以下のようなリスクも潜んでいるためです。

    ・既存プラグインとの互換性の問題
    ・新たな不具合の発生可能性
    ・ユーザーの習熟コスト

    そのため、多くの管理者は「ある程度利用実績のあるバージョンへのマイナーバージョンアップを繰り返し、サポート終了が近づいたタイミングでLTS版にアップデートする」という堅実な戦略を取っています。

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    1-3. 現在のバージョン状況とアップデート計画

    現在の最新LTS版である4.5のサポート終了期限は2027年10月、次のLTSリリース予定は2026年10月となっています。つまり、2026年10月〜2027年10月の約1年間が、多くの運用者にとって5系へのバージョンアップを検討・実施する重要な期間となるでしょう。

    この期間を見越して、今から5.0の機能や変更点を把握しておくことは、スムーズな移行計画を立てる上で非常に重要です。

    (画像出典元: Moodle.org https://moodledev.io/general/releases)

    1-4. 現在もっとも多く利用されているバージョン

    世界中に多くのMoodleユーザーが存在する中、現在最も利用されているのは最新のLTS版である4.5です。一方、最新の5.0の利用率も2割に達しており、早期採用者層の存在も確認できます。これは5.0の安定性に対する一定の信頼を示す指標と言えるでしょう。

    (画像出典元: Moodle.org https://stats.moodle.org/)※2025年11月現在

    さらに注目すべきは、サポートが切れたMoodleを利用しているユーザも一定数存在するという事実です。サポート終了後のバージョンでは、セキュリティの脆弱性が発見されても修正パッチが提供されません。

    想定される具体的なセキュリティリスクとしては以下が挙げられます。

    ・SQLインジェクション攻撃:データベースへの不正アクセスにより、学生の個人情報や成績データが漏洩する可能性
    ・クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃:悪意あるスクリプトの実行により、管理者権限の奪取やマルウェア感染のリスク
    ・認証バイパス:ログイン機能の脆弱性を突いた不正アクセス
    ・ファイルアップロード機能の悪用:マルウェアのアップロードやサーバーへの侵入

    セキュリティリスクは法的責任にも直結します。今後のバージョンアップスケジュールを意識しながら、計画的なバージョンアップを強くお勧めします。自社での対応に不安がある場合は、Moodle公式パートナーによる支援サービスの活用も検討しましょう。

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    2. 最新バージョンMoodle 5.0 ここが変わった!教師・学生目線で分かりやすく解説

    結論からいうと、Moodle 5.0は4系と比べて見た目や基本操作での大きな違いはありません。これはサイト管理者にとって非常に良いニュースです。3系から4系への移行時のような大規模な研修や混乱を心配する必要はないでしょう。

    教師・学生にとって非常に使いやすい機能追加や改善が実装され、利用者の声が反映されたバージョンアップとなりました。

    Moodle 5.0の主な変更点

    ・活動タブによる一覧表示機能
    ・コースを跨いだ問題バンク利用機能
    ・問題バンクの検索機能の強化
    ・課題の遅延提出ペナルティの自動適用機能
    ・AI関連機能の強化

    それでは、各機能について詳しく見ていきましょう。

    2-1.【Moodle 5.0新機能①】活動タブによる一覧表示機能

    Moodle 5.0では、コース画面に新たに「活動」タブが追加され、コース内のすべての資料、課題、小テストが種類別にまとまって表示されるようになりました。

    これまで、コース内に複数の小テストや課題があり、提出期間や受験期間が重なっている場合、「どの課題の締め切りがいつだったか分からなくなる」という問題が頻繁に発生していました。特に学生にとって、締め切り管理は死活問題です。提出遅れによる減点やペナルティは成績に直結し、場合によっては単位取得にも影響します。一方、教師側も「採点漏れがないか」「期限切れの提出物を見落としていないか」という確認作業に時間を取られていました。

    5.0ではモジュールの種類ごとに表示を切り替えられるため、学生は締め切りが一目で分かり、スケジュール管理が容易になります。また教師は未採点の課題や、採点期限が迫っている課題を一覧で確認でき、採点漏れのリスクが大幅に減少します。

    2-2.【Moodle 5.0新機能②】問題バンク機能の大幅強化

    2-2-1. コースを跨いだ問題共有が可能に

    Moodle 5.0では、コースの枠を超えて利用できる共通問題バンクが導入されました。これまで問題バンクはコースごとに独立していたため、複数のクラスで同じ科目を担当する教師や、学部・学科で共通のテストを実施する場合、同じ問題を各コースに一つひとつコピーする必要がありました。さらに問題を修正する際も、全コースで同じ修正作業を繰り返さなければならず、二重三重の手間が発生していました。

    5.0では、共通の問題バンクを作成して問題を登録すれば、各コースから参照するだけで利用できるようになります。問題の一元管理が可能になり、修正も1箇所で行えば全コースに自動的に反映されます。年間で数百問もの問題を管理している教師にとって、作業時間の大幅な削減につながるでしょう。

    2-2-2. 問題バンクの検索機能が劇的に向上

    Moodle 5.0では、問題バンクの検索機能も大幅に強化されました。これまでの検索機能は限定的で、問題IDや問題名など一部の項目でしか検索できませんでした。長年Moodleを使用している教師の中には、問題バンクに1万件以上の問題が蓄積されているケースも珍しくなく、「あの問題、確かに作ったはずなのに見つからない…」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

    5.0では、問題文の本文はもちろん、選択肢や問題のタグ、修正日時など様々な項目から検索・抽出が可能になりました。例えば、「光合成」というキーワードを入力すれば、関連する全問題を瞬時に抽出できます。大量の問題を効率的に管理・再利用できるようになり、教師の負担が大きく軽減されます。

    2-3.【Moodle 5.0新機能③】課題の遅延提出ペナルティの自動適用

    Moodle 5.0では、遅延提出に対するペナルティを自動適用できる機能が追加されました。これまでは「1日遅れるごとに10%減点」といったルールを適用する場合、提出日時を確認し、遅延日数を計算してから減点率を算出し、評点を手動で調整する必要がありました。クラスの人数が多いほど、この作業は膨大な時間を要します。

    5.0では、サイト管理者が減点率などの基本ルールを設定し、教師が課題作成時に「ペナルティを適用する」を選択するだけで、システムが自動的に減点を計算します。採点時には既に減点が反映された状態で表示されるため、教師の手間が大幅に削減できます。

    2-4.【Moodle 5.0新機能④】AI関連機能の強化

    Moodle 5.0では、AI関連機能が大幅に強化されました。5.0で追加された主な機能は、ページ内での説明生成とAI使用状況のレポート機能です。

    ページ内での説明生成機能により、教師はコンテンツ作成時にAIのサポートを受けられるようになり、教材作成の効率化が期待できます。また、AI使用状況のレポート機能では、コース内でAIがどのように活用されているかを可視化できます。組織全体でのAI利用状況を把握できるため、コスト管理や利用ポリシーの策定、過度な利用の抑制といったサイト管理の側面で大きなメリットがあります。

    3. まとめ|Moodle 5.0は現場に寄り添ったアップデート

    Moodle 5.0は、3系から4系への移行時のような大規模なUI/UX変更はなく、教師や学生への影響を最小限に抑えながら、実用性を大幅に向上させたバージョンアップとなっています。活動タブによる課題管理の効率化、共通問題バンクによる問題の一元管理、遅延提出ペナルティの自動適用、AI機能の強化など、現場の声を反映した機能が数多く追加されました。

    現在、最新LTS版である4.5のサポート終了は2027年10月、次のLTS版リリース予定は2026年10月です。この約1年間が、多くの運用者にとって5系へのバージョンアップを検討・実施する重要な期間となるでしょう。

    ただし、バージョンアップには注意が必要です。「自社でバージョンアップを実施したものの、カスタマイズした箇所との互換性が悪く、システムが正常に動作しなくなった」という事例も少なくありません。特にプラグインを多数導入している環境では、事前の互換性検証が不可欠です。

    そうしたトラブルを避けるためにも、Moodle公式パートナーであるヒューマンサイエンスにぜひご相談ください。豊富な導入・運用実績をもとに、安全なバージョンアップをサポートいたします。



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