2024.04.02
MoodleとChatGPTを活用した英語学習
生成AIが企業だけでなく教育分野でも注目されています。企業ではAIを活用することで、より効率的に問題解決や情報整理ができるため、ChatGPTやMicrosoft Copilot等の各種AIサービスが普及しつつあります。現在の学生が社会に出る頃にはAIを利用することが当然となるでしょう。学生がAIの利用方法を正しく身につけることが今後ますます重要となると考えられます。
本記事では学習管理システム(LMS)であるMoodleと、AIチャットサービスのChatGPTをMoodleで利用できるようにするOpenAI Chat Blockプラグインを使用して、AIを活用しながら英語学習を効果的に行う方法について紹介します。
1. Moodle、OpenAI Chat Blockプラグインについて
1-1. Moodleとは
Moodleとは、対面授業のサポートまたはeラーニングを行うための機能が揃っている学習管理システム(LMS)です。Moodleは、オーストラリアで開発され、GNU General Public Licenseに基づいて配布されており、コミュニティベースで開発されています。210言語に対応し、世界239か国で4億人以上が使用しています。
1-2. 一般的な文章の翻訳との違い
Bryce Yoder氏が開発したMoodle用ChatGPTプラグインです。無料で提供されています。Moodle管理者がOpenAI社の有料のAPIアカウントを契約し、APIキーをプラグインに設定することで、各ユーザーがAIチャットサービスを利用できるようになります。ブロック別にプロンプトを事前設定することができるため、講師がプロンプトをあらかじめ設定しておけば、生徒は必要最低限の入力だけでChatGPTを利用できます。
2. 会話
2-1. あいさつ
ChatGPTは、自然な英語で応答できるため英会話の練習に最適です。まず、OpenAI Chat Blockを以下の画像のように設定します。「完了プロンプト」には「あなたは英語の先生です。生徒と英会話の練習をしてください。やりとりは英語と日本語を併記してください。英語に間違いがあれば指摘して説明してください。」と入力します。
OpenAI Chat Blockを設定するとMoodleのページ右側にチャットボックスが表示されます。生徒がテキスト欄に「Hi.」と入力すると、ChatGPTが返答します。やりとりを続けて英会話を練習できます。
2-2. ロールプレイ(カフェ)
カフェでの注文を想定したロールプレイをChatGPTと行うことができます。OpenAI Chat Blockの「完了プロンプト」には「You are an English teacher. We will do a role play. You are a waiter in a cafe. The student will play the role of a customer. Please write in English and then the translation in Japanese. Check student's sentence for any grammatical mistakes or misuse of English and explain it in Japanese if found.」と設定します。今回、プロンプトを英語にしているのは、日本語よりも英語のほうが応答の精度が高くなるためです。
生徒は「I would like to order a coffee, please.」と入力して、ChatGPTが店員役となってどのように応答するかを見てみましょう。メニューの尋ね方や、注文の仕方など、実際のカフェで役立つ表現を学ぶことができます。
2-3. ロールプレイ(空港)
空港でのチェックインや搭乗手続きなど、空港特有のシチュエーションでのロールプレイも可能です。OpenAI Chat Blockの「完了プロンプト」には「You are an English teacher. You play the role of a check-in agent. Your student plays the role of a traveler. Write the exchange in English and the Japanese translation of it. Check your student's writing for any grammatical errors and misuse of English, and explain in Japanese if you find any.」
生徒は「I need to check in for my flight to New York.」などと入力して、ChatGPTに空港のカウンター職員役をしてもらいましょう。空港で使える英語表現を練習できます。
3. 英作文補助
3-1. 英語校正
英語で書いた文章をChatGPTに校正してもらうことができます。OpenAI Chat Blockの「完了プロンプト」には「You are an English teacher. Check your student's writing for any grammatical errors and misuse of English, and explain it in Japanese if you find any.」と設定します。
生徒はチャットボックスに英文を入力します。例えば、上のロールプレイで使用した英文「I would like to order a coffee, please.」を入力すると、以下のように返答され、英文が正しいことが分かります。
3-2. 英語類語辞書
単語の類語を知りたい場合、ChatGPTに尋ねることで、多様な類語を提供してもらえます。類語とともに例文が示されるため、文中での使用方法が分かり、語彙力の向上に繋がります。
OpenAI Chat Blockの「完了プロンプト」には「Show the thesaurus for the following words. Create example sentences using the synonyms. Example sentences should be accompanied by the Japanese translation.」と設定します。
生徒は類語を調べたい単語を入力します。例えば「learning management system」のような類語辞典に掲載されていないような単語でも、以下のように類語と例文が表示されます。
回答全体は以下のとおりです。
「Thesaurus for "learning management system": - e-learning platform - educational technology software - virtual learning environment
Example sentences: 1. The university uses an advanced e-learning platform to deliver online courses to students worldwide. - 大学は、世界中の学生にオンラインコースを提供するために先進的なeラーニングプラットフォームを使用しています。
The school district implemented a new educational technology software to enhance student engagement in remote learning.
学区は、遠隔学習での生徒の関与を高めるために新しい教育技術ソフトウェアを導入しました。
The company's virtual learning environment allows employees to access training materials from anywhere at any time.
その会社の仮想学習環境では、従業員がどこからでもいつでもトレーニング資料にアクセスできます。」
3-3. パラフレーズ
パラフレーズとは、別の言葉で同じ意味を表現することですが、単に単語を置き換えるだけではなく、品詞や文の構造も変える必要があります。英文エッセイにおいてパラフレーズは不可欠なスキルです。IELTS、TOEFL、TOEICなどの英語テストでは、パラフレーズのスキルを磨くことでスピーキングとライティングのスコアが向上します。また、文章の理解力が向上するため、リーディングとリスニングのスコア向上も期待できます。
OpenAI Chat Blockの「完了プロンプト」には「Paraphrase the input sentence. Show three examples in English.」と設定します。生徒がチャットボックスに「I would like to order a coffee, please.」と入力すると、以下のようにパラフレーズされた3つの例が表示されます。
4. まとめ
本記事では、学習管理システムMoodleとAIチャットサービスChatGPTを組み合わせて、英語学習を効率化する方法を紹介しました。ChatGPTによってネイティブ英語に直接触れることができ、英語スキルの向上が期待できます。MoodleとOpenAI Chat Blockプラグインを組み合わせることで、生徒はプロンプトを入力する必要なくChatGPTを活用できます。
ヒューマンサイエンスは2008年からMoodleのサービスを提供し始め、2017年にMoodleの公式パートナーとなりました。これまで培ってきたノウハウと多くの導入運用実績(プロジェクト:700件以上、企業・学校・団体:80事例以上)があります。Moodleの導入(コンテンツ制作を含む)から運用支援までのトータルソリューションを提供しています。電話やメールでのMoodleのサポートサービスも提供しているので保守運用も安心できます。ぜひ、オープンソース型LMSのMoodleをご利用の際はヒューマンサイエンスにご相談ください。
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