2023.08.30
2023.11.14
eラーニング導入を成功へ導く5つのポイントとは?メリットと導入手順も解説
「eラーニングを導入したが効果が感じられない」
「従業員が積極的に学習しようとしない」
といったお悩みはありませんか。
コロナ禍をきっかけに、eラーニングは、新しい働き方に対応した人材教育のシステムとして注目されています。
しかし、eラーニングの活用があまりうまくいかず、利便性を求めてシステムを切り替るなどした企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。自社のニーズに合致したeラーニングシステムを導入し、社内教育を成功へ導くには、押さえていただきたいポイントがあります。
この記事では、eラーニング導入を成功させる5つのポイントについてご紹介します。導入するメリットや導入方法についてもまとめました。
1. eラーニングとは
まずはeラーニングについて確認しておきましょう。
eラーニングとはIT技術を活用した教育システム
eラーニングとは、一般的に、インターネット回線を通じて、パソコンやタブレット、スマートフォンを使用した学習方法や、教育システム全体を指します。
eラーニングは1950年代に米国を中心に研究・開発された、コンピューターを用いた支援教育「CAI(Computer Aided Instruction)」が始まりと言われています。1990年代に入るとコンピューター上で試験を実施する「CBT(Computer Based Training)」へ進化。その後は教材をインターネットで配信する「WBT(Web Based Training)」へと発展していきました。「eラーニング」と呼ばれるようになったのは2000年代に入ってからです。
一般的には、動画コンテンツを視聴したり、専用の学習アプリで問題を解いたりといった形態での学習です。
特に企業の社内研修では動画教材が多く使われています。動画教材では、写真やイラスト、アニメーションなどで構成された画面が表示されるので、解説の音声を聞いたり、字幕を見たりしながら学習します。動画形式であればスマートフォンとも親和性が高く、学習しやすいため、特に最近では1~2分ほどの長さで要点だけをまとめたショート動画教材の需要が高まりつつあります。
eラーニングプラットフォームで受講者の学習管理が可能
eラーニングが広く普及するにつれ、教材の配信はもちろん、学習の進捗管理も行える学習管理システム「LMS(Learning Management System)」も多くの企業や団体に利用されています。「LMS」は複数の教材や教育関連の情報を一元管理できることから、「eラーニングプラットフォーム」とも呼ばれています。
eラーニングプラットフォームでは、学習レベルに応じたテストや、課題解決につなげるためのアンケートを実施できます。したがって、一人ひとりの学習モチベーションを維持するためのサポートも行えます。
eラーニングプラットフォームについては、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考になさってください。
>自社に最適なeラーニングプラットフォームとは? 機能から種類、活用メリットまで解説!
2.eラーニングを導入するメリット
企業がeラーニングを導入することで、従業員の学びを促進し、スキルアップの機会を平等に設けることが可能です。また、集合研修とは異なり、講師や受講者の移動費や会場設営にかかるコストを削減できます。
従業員へ時間や場所を問わず学習を提供できる
eラーニング導入によって、従業員に幅広い学習の機会を提供できます。集合研修では、参加者は各自スケジュールを調整したり、指定場所まで集合したりする必要があります。
しかしeラーニングなら、時間や場所の制約がないため、都合のよいタイミングで学習に取り組んでもらえます。たとえば、短い動画教材であれば、業務中の移動時間などでも視聴できるため、効率的に知識を吸収できます。
教育を平準化できる
eラーニングでは、すべての受講者に対して同じ教育内容を提供できるため、教育の平準化につながります。
多店舗展開をする飲食店であれば、サービスや料理の質を揃えなければなりません。そこで、eラーニング教材として、サービスマニュアルや調理方法、レシピなどを配信しておきます。各店舗に教材を配布したり、講師を派遣したりしなくても、全店舗のスタッフは、必要なタイミングで確認できます。
また、講師によって、教える内容や、教え方などが要因で生まれがちな差異を排除できるため、すべてのスタッフに対して同じ内容で教育できるメリットがあります。
テストを実施する際も、まったく同じものが出題されるため、適正な評価につながり、従業員の納得感も得られます。
講師、会場費、移動費のコスト削減につながる
eラーニングはオンライン上で学習できるため、講師や会場費、受講のための移動費を削減できます。
実際の会場に講師を招いて研修を実施する場合、研修の質は講師の経験や知識に左右されがちです。通常、評判のよい講師を選ぶなら、それなりの予算が必要です。ちなみに、eラーニングと比較すると約4倍ものコストがかかるという結果も報告されています。
また、受講者にかかるコストについても考慮しなければなりません。
たとえば、全国に支社がある企業で一定の階層の従業員を対象とした集合研修を実施する場合はどうでしょうか。召集人数はそれなりの規模になりそうですね。
まず、招集人数に合わせた会場を押さえる必要があります。
そして、会場までの移動費や、場合によっては宿泊費も必要です。
eラーニングなら、講師や会場、移動に関する費用がかからないため、コストを削減できるメリットがあります。
学習の進捗状況を一元管理できる
eラーニングプラットフォーム(LMS)を使えば、学習の進捗状況を管理できます。さらに、理解度の違いがあってもフォロー可能な仕組みを備えています。
たとえば、eラーニングプラットフォームに蓄積されたデータを基にテストを実施したり、アンケートをとったりできるため、受講者一人ひとりに最適な教育を提供できます。
ヒューマンサイエンスでは、企業様のニーズにあわせたeラーニング教材の制作を承っています。また、LMS導入をはじめ運用支援にも対応しております。
無料でダウンロードいただけるお役立ち資料も配布しています。また、eラーニングサービスの導入事例集もご覧いただけますので、eラーニングの導入をお考えの際はご参考にしていただければ幸いです。
>eラーニングサービス導入事例集・お役立ち資料ダウンロード
3.eラーニング導入までのフロー
実際にeラーニングを導入するまでには、どのようなことが必要なのでしょうか。
一般的には以下のようなステップを経る必要があります。
1. 導入目的を明確にする
2. 受講対象者を明確にする
3. 管理・運用体制を整備する
4. eラーニングプラットフォームを選定する
5. システム・環境を準備する
6. 導入・運用を開始する
それぞれについて見ていきましょう。
1. 導入目的を明確にする
まず「なぜeラーニングを導入したいのか」、導入目的を明確にしましょう。
たとえば、以下のようなことが挙げられます。
●人材育成
●スキルアップの促進
●教育コストの削減
導入目的は、経営課題をふまえて決めることが大切です。従業員にどのような知識やスキルを身につけてほしいのかを考えると、どのような教材を提供すればよいか導き出されるので、綿密な計画を立てることができます。また、従業員自身も、受講すれば、業務に活用できるスキルを身につけられるため、学習へのモチベーションも高くなり、結果的に、個人のスキルアップはもちろん、企業としてのステップアップにもつながります。
たとえば、ある企業が、導入目的を「社内の組織や機能を最適化するため」としたとしましょう。
この企業では、営業戦略で「業務の細分化」を進めるためにインサイドセールス部門の創設を考えています。インサイドセールスの基礎知識はeラーニングで学習させることとしました。
このような場合、今後導入する予定の営業支援システムの使い方や、架電マニュアルを教材として盛り込むことで、導入目的の達成が期待できます。
ヒューマンサイエンスは2,600本以上の実績にもとづいたオーダーメイドのeラーニング教材を作成しています。教材の翻訳やローカライズ対応など、貴社のご要望にあわせて作成が可能です。
下記より無料で資料請求いただけます。お気軽にお問合せください。
>お問い合わせフォームはこちら
2. 受講対象者を明確にする
次にeラーニングの受講対象者を決めます。全従業員を対象とするのか、新入社員なのか、特定の部署なのか、といった内容です。
社内での教育計画のようなイメージです。
eラーニングプラットフォームを導入した後の操作となりますが、対象者によって提供する教材や、教材の組み合わせを変えることができます。
eラーニングプラットフォームには、受講者の情報を登録し、ユーザー登録を行います。その際に、どの教育の対象者となるのか判別できる項目を決めておき、もれなく登録するようにします。
たとえば、以下のような項目が一般的です。
●氏名・生年月日
●所属組織
●職種
●雇用形態
●入社年次
このような情報を入力しておけば、新たな教材を追加しても、その都度対象者を絞りやすく、常に最適な教材を提供できるようになります。
3. 管理・運用体制を整備する
適切な管理・運用体制の整備は、eラーニング導入の目的を達成するためにも重要です。特に導入当初は、「プラットフォームにログインできない」「教材が閲覧できない」といったトラブルも発生しやすい時期です。迅速に対応し、学習の機運を損ねないためにも、ヘルプデスクの設立も含めて検討しておくとよいでしょう。
また、eラーニングプラットフォームは定期的にシステムのアップデートが必要です。管理責任者の役割や業務フローなども事前に具体的に決めておきます。
スムーズな管理・運用体制を構築していきましょう。
4. eラーニングプラットフォームを選定する
eラーニングプラットフォームは、提供事業者によってサービスや機能、サポート体制が異なるため、トライアル(デモ)期間があるものを選ぶことをお勧めします。トライアルで複数のeラーニングプラットフォームを試してみて、使い勝手のよいものを選びます。
eラーニングプラットフォームは自社サーバーに設置する「オンプレミス型」とインターネットを通して利用する「クラウド型」があり、さらにシステムの構築方法もサービスごとに異なります。
フルスクラッチ開発など一からシステムを開発するものは、オーダーメイドで過不足のないシステムを構築できる反面、時間も手間もかかるため導入費用はそれなりに高額です。オープンソース型なら導入費用を抑えつつ、基本機能を利用でき、さらに必要に応じてカスタマイズも可能というメリットがあります。
ヒューマンサイエンスはオープンソース型学習管理システム「Moodle」の導入支援をサポートしています。導入支援から運用まで、伴走しながらのサポートが可能です。下記の記事では「Moodle」の基本的な使い方をご紹介しています。
>【Moodle基本講座】eラーニング学習管理システムのMoodleって何ができるの?
5. システム・環境を準備する
eラーニングプラットフォームが決まったら、システムの構築などを行い環境を準備します。利用するプラットフォームが「オンプレミス型」なのか「クラウド型」なのかで、環境の構築方法が変わります。
オープンソース型の場合、体制が揃えば、構築も自社内で実施できます。ただし、導入時にセキュリティ関連や通信環境の設定などに誤りがあった場合、受講開始時のトラブルにつながる恐れもあります。したがって、初めて導入する際は、初期設定などは専門事業者のサポートを受けることをお勧めします。
また、オープンソース型であっても、事業者によっては、導入時の支援だけでなく、一定期間サポートを請け負っている場合があります。
6. 導入・運用を開始する
環境が整えば、いよいよ運用開始ですが、ここでも重要な準備がいくつかあります。
本番前にはトライアル期間を設けましょう。トライアル期間中に必要なテストを行うことで、運用開始後のトラブルの発生率を抑えることができます。
また、全受講者向けにマニュアルを作成するなど、理解と周知を進めましょう。さらに、運用開始後も受講者にアンケートを実施して、課題を洗い出します。必要な修正や改善を適宜行いながら運用していくことが大切です。
4.eラーニング導入を成功させる5つのポイント
eラーニングを成功させ、目的を達成するための5つのポイントを紹介します。
1. 最適なeラーニングプラットフォームを選ぶ
eラーニングプラットフォームは、目的を達成するためにも重要な役割を担っています。まずは事前に、導入事例やユーザーレビューなども含めた情報を収集しましょう。候補が絞り込めたら、前述のとおりトライアルを実施します。トライアル期間中でも気になるところがあれば、どんな小さなことでも積極的に確認し、解決しておきます。
できれば複数のeラーニングプラットフォームを試してみて、用途や目的、自社の環境との相性、予算や費用対効果など多角的な評価をしたうえで選定することをお勧めします。
2. 運用サポートのあるサービスを選ぶ
導入後、トラブルが発生した場合に備えて、運用サポートについても考慮が必要です。トラブルの規模や内容によっては迅速な対応が求められるケースもあり、運用サポートは欠かせません。
トラブルのない快適な受講環境づくりは、受講者のモチベーション維持にも役立ちます。
導入はもちろん、運用開始後も長期で伴走してくれるようなサービスがある提供業者をお勧めします。
3. 自社に適した教材を選定または制作する
eラーニングの教材を受講者に提供する際にもポイントがあります。
教材の調達方法には既存教材の購入、既存教材のカスタマイズ、オリジナル教材の制作などが考えられます。既存教材の購入がもっとも手軽ですが、部分的であっても、内容が自社の教育には適さないことも考えられます。そこで、独自の要素を取り入れたり、適宜編集したりなど、教材のカスタマイズができると便利です。
自社独自の教育を実施する場合は、内製するか、専門業者に制作を依頼する方法があります。教材制作には自社の既存資料が役立つこともあるので、事前に確認しておくことをお勧めします。
教材の作り方については、下記の記事でも説明しています。教材についてご検討される場合はぜひご覧ください。
>eラーニング教材の作り方①~種類ごとのメリット、デメリット~
>【アニメーション教材】eラーニング教材の作り方②
4. 教材にゲーム性を取り入れる
「従業員が積極的に学習してくれない」と悩んでいるなら、ゲーム性を取り入れてみましょう。クイズ形式やRPG風など、飽きさせない工夫を取り入れることで、受講者のモチベーションを維持することができます。
ただし、難易度が高すぎると逆効果になってしまうので、受講者の理解度にあわせて調整することが大切です。ゲームをクリアしたら、メダルや修了証を授与する(画面上に表示)、ランクアップするなどランキング形式を取り入れるのもお勧めです。また、他の受講者の学習状況を可視化することで、主体的な学びを促進する方法も考えられます。
5. 受講者同士のコミュニティ機能を重視する
受講者同士が交流できるコミュニティを設けることは、モチベーション維持に役立ちます。eラーニングでの学習は基本的に受講者がひとりで進めます。個人差はありますが、学習で抱く孤独感は、学習から離脱する大きな要因ともいわれているため、それを防ぐ必要があります。
そのためにも、受講者同士で交流できるコミュニティの設置は重要なポイントです。
Eラーニングプラットフォームにコミュニティの機能がある場合は、活用すると良いでしょう。
コミュニティでは、受講者同士が情報を交換・共有できるため、孤独感の軽減や学習への意欲促進につながります。交流のなかから学習のヒントを得たり、不明点を解決し合ったりと互いに学びあう環境づくりにも役立ちます。
5.まとめ
eラーニング導入によって、教育の均質化やコスト削減などが可能です。
Eラーニングプラットフォームは、コンピューターやインターネット回線などを利用するシステムである以上、トラブルの発生はゼロにはできません。したがって、eラーニングプラットフォームを導入する際は、構築や初期設定から運用までサポートしてくれる事業者を選ぶことが大切です。
導入前にはしっかりと情報を収集し、トライアル期間を設けて、できれば複数のサービスを比較しながら、自社に最適なeラーニングプラットフォームを選びましょう。
LMS『Moodle』の導入支援はヒューマンサイエンスへ
ヒューマンサイエンスでは、LMS(学習支援システム)『Moodle』の導入支援・運用サポートを行っています。『Moodle』はオープンソースソフトウェアでライセンス費用が不要なため、構築費用を抑えることが可能です。
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>Moodle導入支援・運用
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放送大学学園様は、受講者8,500人からの課題提出について、管理担当者様が約250講座分を手動で設定しており、業務効率化を図るため弊社にご相談いただきました。現状では設定もれが起こる可能性があるため、各種項目を一括設定するツールをご提案し、業務効率化、および設定もれ防止を実現しました。
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放送大学学園様の導入事例については、下記の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
>Moodle運用支援事例 放送大学Web学習システム・通信指導
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