2023.11.14
LXPとは?学習体験を向上させるプラットフォームのご紹介
1. LXPとは
LXPは、「Learning Experience Platform」の略で、学習体験を向上させるプラットフォームのことです。このプラットフォームは、学習者の個別の好みや興味に合わせて、最適な学習プログラムを提供することができるのが特長です。LXPは、社内外のさまざまなコンテンツから、学習者に関連性の高い情報や高い関心を持つものを選んで表示することができます。これは、Amazonのウェブサイトのように、ユーザーの過去の行動に基づいて関心のあるアイテムが自動的に表示されるしくみに似ています。個々の従業員ごとに表示内容をカスタマイズできるため、学習を効率的に進めるのに役立ちます。
LMSとの違い
LXPと似たツールに「LMS」というものがあります。LMSは、「Learning Management System」の略で、「学習管理システム」とも呼ばれます。これは学習を管理するためのツールで、学習教材や受講者の成績、課題の進捗などを管理できます。LMSは従業員の学習全般を管理するツールであるのに対し、LXPは従業員の学習体験を向上させるためのツールです。例えば、新入社員研修やコンプライアンス研修など、全従業員に共通の研修にはLMSが向いています。どちらか一方を選ぶのではなく、必要に応じて使い分けることが大切です。
2.LXPを導入するメリット
LXPを導入する具体的なメリットをご紹介します。
「経験から学ぶ」機会を提供できる
「経験から学ぶ」機会を提供することが、LXPの注目される理由です。なぜなら、「7・2・1の法則」と呼ばれるルールによれば、成長の70%は実際の経験に関係しているとされているからです。言い換えれば、企業が研修コンテンツを作成するのではなく、学習者の経験を学びに結びつける方が効果的とされています。
LXPでは、学習者が自分自身で学びたいトピックを選び、積極的に学びます。特別に設計されたプラットフォームを通じて、業務に関連する実践的なスキルや知識を学ぶことができます。つまり、学習者は「上司から指示されたから」ではなく、「必要性を感じる経験」に基づいて学ぶことになります。課題を解決する経験を通じて、学習へのモチベーションが高まるでしょう。
パーソナライズした教育
LXPは、個別に合わせた教育プログラムを提供できます。通常のLMSでは、企業がコースや教材を選んで提供するため、学習者のニーズやモチベーションに調整が難しいことがありました。これには、「学習内容が難しすぎる」「学習の目的が明確でない」「実際に学んだことを実践できない」などの問題が含まれます。
「みんな同じ教育を受ける」という考え方は、チームの協力を高める面もありますが、個人の成長やキャリアの進展は異なります。一律の教育プランは、逆にマイナスの影響を与えることもあります。ここでLXPが登場し、学習者のポジション、業務内容、関心に応じた教育を提供できます。例えば、「自分のキャリアを向上させるには何を学ぶべきか?」や「特定のスキルを効果的に習得する方法は何か?」など、学習内容や目標を自分で設定できます。
さらに、学習の履歴に基づいて、プラットフォームが最適な学習コンテンツを提案してくれるため、自己学習をサポートします。LXPによるパーソナライズされた教育は、多様なキャリアの成長に対応し、組織全体のスキル向上に貢献するでしょう。
他のシステムとの統合によって新しい学習形態を提供できる
LXPを他のシステムと組み合わせることで、新しい学習プラットフォームを提供できます。たとえば、LXPとLRS(Learning Record Store)を連携させることができます。また、LXPをAI(人工知能)と結びつけることで、従業員の学習プロセスをさらに効率的にすることも可能です。
企業課題に応じて研修内容をカスタマイズできる
LXPを使用することで、多彩なトレーニングオプションから企業独自の課題に合わせたトレーニングを選んで導入できます。たとえば、営業の課題を抱える企業は営業関連のトレーニングに焦点を当て、マネジメントスキルに課題がある企業はマネジメントに特化したトレーニングを重視できます。自社のニーズに合わせてトレーニングをカスタマイズすることで、最適なトレーニング内容を選び、従業員のスキル向上をスマートに進めることができます。さらに、特定の分野に焦点を当ててトレーニングを実施することで、企業の強みを強化し、弱点を補強することも可能です。
受講者のモチベーションが向上する
LXPを使うことで、受講者は自分の弱点を克服したり、強みを伸ばすトレーニングを選ぶ自由があったり、それが学習へのモチベーション向上につながります。全従業員に対して同じトレーニングを押し付けるのは、受講者にとってやる気を引き出しにくいことがありますが、自分で選んで学ぶことは学習意欲を高めます。また、LXPの学習コンテンツは通勤時間や就寝前などの空いた時間に利用できる短い動画が多く含まれており、従業員は効果的な学習ができます。高いモチベーションで効率的な学習をすることで、スキルの向上がスピーディに進むでしょう。
3.LXPを導入する時の注意点
LXPには多くの利点がありますが、導入に際して考慮すべき要点があります。次にLXPを採用する際の注意事項について説明します。
従来の「長時間eラーニング」は合わない
仕事を持つ多くの人々にとって、「学習や自己啓発」に使える時間は通常、毎日数分しかありません。学ぶための時間は限られているのが現実です。毎日、学習のために確保できる決まった時間を持つ人は少なく、通勤中や仕事中の合間にインターネットで情報を得ていることが一般的です。
そのため、LXP内のコンテンツは短いものであることが効果的です。昼休みや休憩時間、短い仕事の合間などに学ぶ機会があると、従業員の持続的な学習が促進されます。伝統的な長尺のeラーニング教材を提供している企業は、これを短い「マイクロ学習」に変える工夫が必要となるでしょう。
モバイル対応が必要です
LXPの普及の背後には、モバイルデバイスを利用する需要の増加があります。企業教育において、モバイルデバイスの使用について疑念を抱く人もいるかもしれません。これまでのeラーニングに関する一般的な懸念事項には、次の点が挙げられます。
・仕事時間への影響(学習時間が労働時間とみなされるか)
・セキュリティの問題(個人のデバイス使用の許可)
・学習効果に関する問題(PCと比較して学習の品質が損なわれないか)
LXPは学習を個別に最適化することを目指しており、どこでもいつでも学習が行えることが理想です。そのため、業務時間外や会社外での学習や、個人デバイスの使用を完全に禁止すると、LXPの利点を最大限に活かすのが難しくなります。従来型の学習の義務を守りつつ、個々の学習意欲を妨げないことが大切です。
管理者は学習者のニーズを把握する必要があります
LXPの管理者にとって、学習リソースの選択は重要な役割です。LXPを通じて、eラーニングコンテンツ、書籍の提供、スキル向上に役立つ動画などを提供できますが、学習者の実際のニーズに合わせた情報を選び、学習を促進する措置を講じるのは管理者の責任です。これらの要素を怠ると、LXPが導入されても、その効果が限定的になる可能性があります。
管理者には、常に「組織内で必要とされるスキルは何か?どの学習リソースに関心が高いか?」などを把握する必要があります。情報が溢れる現代社会では、真に有用な情報を見極めるスキルが求められます。個々のスキル向上やキャリア発展に向けて、学習者にとって適切なプラットフォームが必要です。目標はLXPを単に導入することではなく、実務に密接に結びつき、最新情報を提供できるプラットフォームを構築することです。
管理業務の負担が増えます
LXPを利用することで受講者に多くの利点がありますが、管理者にとってはガイダンス提供やトレーニング内容の整備など、管理業務が増加し、負担が増えることもあります。管理者だけでなく、組織全体が導入をサポートし、受講者にも自己学習の機会を提供することが重要です。
4.まとめ
今回はLXPについてご紹介しました。LXPとは、学習者の好みや関心に合わせて学習環境をカスタマイズできるプラットフォームです。これは、従業員のスキル向上や勤務中の隙間時間を有効活用できる点でLMSより柔軟性が高いです。LXPの需要は、DXの進化やモバイルユーザーの増加などに支えられており、5Gの普及によって今後一層増加する見込みです。
LXPは学習者が自発的に学ぶための効果的なプラットフォームで、すでにeラーニングを利用した経験のある人も初めての人も、LXPの導入を検討する価値があります。従業員個々の課題が異なることと、研修内容が日々進化していることを考えると、最新の研修内容を提供し、学習効率を最適化することが重要です。LXPを採用することで、従業員の学習効率が向上し、組織全体のパフォーマンス向上に貢献します。ぜひ積極的に導入を検討しましょう。
株式会社ヒューマンサイエンスでは、LXPとしてTotara社の「Totara Learn, Engage, Perform 」の導入運用をサポートしています。
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> Moodle導入支援・運用
> eラーニング教材制作
> eラーニング教材翻訳(多言語対応、ローカライズ)
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