2024.04.09
MoodleとZoomを連携してオンライン研修を行うには?
コロナ禍が始まって大学では登校できなくなり、企業でもリモートワークが中心となりました。その中であっという間に普及したのが、Web会議システムです。Zoomは国内では、企業でも大学でもトップのシェアを誇っています。
Zoomは、いつでも、どこでも、どんな端末からでもWeb会議を実現するクラウドサービスです。「会議」という使い方に加えて、「学習」のシーンでもZoomは多く利用されています。Zoomを使ったオンライン学習は、社内研修でも学校の授業でも取り入れられています。もしオンライン学習管理システムであるMoodleを使っているのであれば、Zoomと連携してオンライン研修を行えないだろうか、と考えるかもしれません。
それで今回は、MoodleとZoomを連携して利用する方法やメリットをご紹介いたします。
1. Zoomの特長と便利な機能
まずはZoomの一般的な特長や機能についておさらいしておきましょう。Zoomにはこんな特長があります。
アカウントの登録が不要です
通常のWeb会議のツールでは、主催者と参加者がアカウント登録する必要があります。ですが、Zoomは主催者だけがアカウント登録をすればOKです。参加者は送られてきたURLにアクセスするだけで簡単に会議に参加できるのでたいへん便利です。
無料で使えます
Zoomには有料版以外にも無料版があります。招待リンクを送るだけで、簡単にメンバーを会議に招待できます。ただし、無料版は会議時間が制限されているので注意が必要です。
大規模会議ができます
Zoomの有料プランでは最大1,000人までの大規模会議ができます。ウェビナーや会社全体の会議などにも使えます。無料プランでも最大100人の会議ができます。
安定した接続環境です
Web会議では接続が安定していることがとても大切です。Zoomは回線の最適化技術というものが優れていて、低速回線でも安心して使えるようになっています。Wi-Fiだけでなく、4Gや5Gの接続でも使えるので、外出先でも安心して会議に参加できます。
たくさんの便利な機能があります
Zoomはバーチャル背景の設定や画面共有、ホワイトボード、グループディスカッション用の機能などが充実しています。
次にZoomの主な便利機能です。
画面共有
画面共有では、自分のパソコンの画面を会議の参加者に見せることができます。資料を画面に映しながら説明することで、みんなに内容がわかりやすく伝わることを期待できます。Zoomの設定で、会議の管理者だけでなく、参加者も画面共有できるように変えることもできます。
ブレイクアウトルーム
ブレイクアウトルームは、会議の参加者を選んで最大50個の部屋に分けることができる機能です。グループディスカッションをするときや意見をまとめるときに便利です。
レコーディング
レコーディングでは、会議の画面と音声を録画・録音できます。当日会議に参加できなかった人に後から会議を見せることができます。レコーディングも画面共有と同じく、初期設定では会議の管理者だけができますが、参加者もできるように設定を変えることができます。
チャット
チャットでは、短いメッセージを送信したり、ファイルやURLを共有したりできます。全員にメッセージを送るだけでなく、個別にメッセージを送ることもできます。
ホワイトボード
ホワイトボードは、会議に参加している人たちとオンライン上で共有できます。イラストや手書きの文字を書いて参加者と共有できるので、テキストだけでは伝わりにくいことも伝えられます。
2. リアルタイム型オンライン研修のメリットとデメリット
Zoomの機能をおさらいしたところで、オンライン研修の種類について取り上げます。大きく分けて二つあります。オンデマンド型とリアルタイム型です。
オンデマンド型オンライン研修は、あらかじめ収録された動画を視聴する形式です。講師との双方向のコミュニケーションは取れませんが、自分の都合で好きな時に研修を受けることができるメリットがあります。研修のコンテンツは保存・公開され、受講者は自分の好きなタイミングで何度でも再生できます。Zoomで行った授業や研修を録画して、参加できなかった人が後で視聴するのにとても便利です。
Web会議システムであるZoomを使ったオンライン研修の場合は「リアルタイム型」となります。リアルタイム型オンライン研修のメリットやデメリットには以下のようなものがあります。
リアルタイム型オンライン研修のメリット
・コミュニケーションが活発になります
受講者同士がリアルタイムで同じ場所(空間)にいるので、質問やディスカッションがしやすくなります。新たな気づきや新たな交流を生み出しやすくなります。
・適切な緊張感を保てます
画面表示をONにして自分の顔を出すのであれば、他の人から見られていることを意識するので、学習の場に適したほどよい緊張感が生じます。
・受講者の理解が深まりやすい
質問などを気軽に行えるため、受講生の理解が深まりやすく、学習効率が良いと言えます。
このように、リアルタイム型のオンライン研修は受講者との対話や学習効果の向上に役立ちます。
リアルタイム型オンライン研修のデメリット
・理解度の把握が難しい
受講者がどれだけ理解しているのかといった一人ひとりの習熟度が分かりにくいことがあります。オンライン環境では、受講者の反応や表情を画面だけでは正確に把握することが難しいので、理解度チェックのための小テストなどを行う必要があります。
・機材や通信トラブルのリスク
インターネットの接続や使っているデバイスの問題が発生する可能性があります。受講者は自宅やオフィスから、時には野外から参加するので、ネットワークの不安定さやデバイスの故障などの影響を受けることがあります。
これらのメリットとデメリットを考慮しながら、オンライン研修の検討や準備を進める必要があります。
3. Moodle上でZoomを使うメリットは?
なぜMoodle上でZoomを使うと良いのでしょうか。それは、Zoomによるリアルタイム研修をMoodleのコースの中の活動として組み込めるからです。コース内の活動として次のことが可能になります。
参加履歴が残ります
Zoomだけの場合、受講者が入室してきたら入室許可を行って出席確認を行う必要があります。また、人数が多いと途中で退出したことにも気づかないことがあるかもしれません。でも、Moodle内であれば、受講者が参加したかどうかだけでなく、いつからいつまで参加したか、最後まで参加したかなどの詳細な参加情報が残ります。
スケジューリングが簡単になります
通常Zoomを設定するには、Zoomにログインしてスケジュールして、ミーティング情報(URLやパスコード)を受講者に配信する必要があります。メールで配信すると、そのメールを受け取れなかったり、メールを確認できなかったりして研修に参加できなかった、といったトラブルが生じかねません。でも、MoodleとZoomを連携するなら、Moodle上でスケジュールすることができます。そして、コース内に設定するので参加者にミーティングルーム情報を送る必要がなくなります。受講者は、Moodleにログインしてコースを開き、活動のひとつであるZoomをクリックするだけですぐにミーティングに参加することができます。
理解度テストを簡単に実施できます
Zoomでオンライン研修を実施した後、理解度を図るためにテストを実施することがあります。でも、どのように行うでしょうか。Wordに問題を書いて答えを記入してもらいますか?そうすると、そのWordファイルを全員に配布して、そして回答後にそれらを集める必要があります。それはとても時間と手間がかかることです。
Moodleの場合、オンライン研修の活動の次に行う活動としてテストを設定しておきます。Zoomによるオンライン研修が終わったら、次の活動としてテストをクリックして、そこに設定されている問題を解きます。テストが終わると、すぐに正誤が判定され、その結果を講師は確認することができます。テストの結果が所定のラインより下回った受講者は、後日、Zoomの録画機能を使って録画したオンライン研修の動画を視聴して、再度テストを受けてもらう、というようなことも簡単に実施できます。
4.MoodleとZoom連携する方法は?
Moodle上でZoomを使うならとても便利になることをご紹介しましたので、次にMoodleとZoomを連携する方法について説明します。
連携するためには「Zoom meeting」というプラグインを使います。こちらのサイトからダウンロードすることができます。Moodleの公式のプラグインのサイトです。
> Zoom meeting
このプラグインをダウンロードして、Moodleに設定します。プラグインのインストール方法はこちらに詳しく説明されているので参照してください。
> プラグインのインストール
次にコース作成者の権限を持つユーザーでMoodleにログインし、編集モードにして「活動またはリソースを追加する」をクリックします。
「Zoomミーティング」を選択します。
「タイトル」には、Zoomのミーティング名を入力します。(例:コンプライアンス研修)
「説明」には、活動に関する説明を入力します。
その後、次の設定を行います。
「いつ」:Zoomミーティングを開始する、月、日、年、時、分を設定します。
「期間(分)」:ミーティングの長さを設定します。
「繰り返し」:定期的に行うミーティングの場合にチェックします。
「ウェビナー」:ウェビナーとする場合にチェックします。
「Show Schedule section」:Zoomミーティングページに、スケジュール情報を表示する場合にチェックします。
「Require registration」:このオプションを有効にすると、参加者は参加する前にZoomミーティングに登録することが求められます。
設定が終わったら、「保存して表示する」をクリックします。
以下は設定が終了した画面です。
次に受講者ユーザーでログインしてみます。コースにはこのように表示され、受講できるようになります。「コンプライアンス研修」をクリックします。
「ミーティングに参加」をクリックするだけでミーティングに参加できます。
Zoomが起動します。設定によって、Moodle内で表示したり、ブラウザ画面を分けて表示したりすることもできます。
このように、Zoomに参加するために必要なURLやミーティングルーム情報を配布しなくても、受講者はZoomに簡単に参加することができます。簡単に参加できるということはトラブルがないので講師側の手間を省くことができます。また、参加情報をMoodleで収集することもできてとても便利です。
5.まとめ
MoodleとZoomは、それぞれ教育機関やビジネス環境で広く利用されているツールです。Moodleは学習管理システム(LMS)であり、ZoomはWeb会議システムです。その両者を連携させることで、一層効率的なオンライン学習環境を構築することができます。今回のブログでそのメリットを感じていただけたでしょうか。ぜひ、Moodle上でZoomを使うことをご検討なさってみてください。株式会社ヒューマンサイエンスは、Zoom連携の方法や使い方のサポートを提供しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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