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2024.12.05

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大学などの教育機関で進むChatGPT活用!~活用例やメリット、注意点をご紹介

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    大学などの教育機関で進むChatGPT活用!~活用例やメリット、注意点をご紹介


    1.大学におけるChatGPT活用例

    大学におけるChatGPT活用例

    ChatGPTは、人工知能(AI)を使った会話型のプログラムです。人間のように自然な言葉で質問に答えたり、会話をしたりすることができます。例えば、宿題の手伝いや、わからないことを教えてくれたり、雑談を楽しんだりすることができます。とても便利で、いろいろな場面で役立つツールです。教育の現場でも活用が広がっていますが、ここでは大学でのChatGPTの活用例を紹介します。

    ●ChatGPTを搭載したICTヘルプデスクチャットボット

    武蔵野大学では、最初2019年10月に「MUSICヘルプデスク」というAIを使わないシナリオ型のチャットボットを提供し始めました。これによって、24時間365日のサポートを行ってきました。そして2023年7月に、生成AIを搭載したICTヘルプデスクチャットボットを導入しました。

    MUSICヘルプデスク

    生成AIを搭載することで、これまでのチャットボットに比べてさらに自然で高度な対話ができるようになり、利用者の利便性向上が期待されています。生成AIはMicrosoft社の「Azure OpenAI Service」を利用しています。セキュリティ対策と利用者のプライバシー保護などの安全性に配慮が払われています。将来は、利用者とAIとの対話履歴や蓄積した個人データを使ってパーソナライズされた情報の提供が考えられています。

    ●SlackにChatGPTボットを導入しプログラミングなどの質問回答

    大阪電気通信大学の情報工学科でSlackにChatGPTのチャットボットを導入したという事例です。

    情報工学科がSlackにChatGPTボットを導入!プログラミングなどの質問に即答

    もともと情報工学科では、学生間のコミュニケーションツールとしてSlackが使われていました。そこに、OpenAI社が開発したGPT-4に基づくChatGPTのチャットボットを導入することで、プログラミングや情報工学に関する質問に対して、迅速かつ丁寧な回答が可能になった、というものです。導入後の学生の反応もよく、学生から「ChatGPTボットを使うことで、質問に対する回答がすぐ得られるので、学習がスムーズに進む」といったコメントが寄せられています。

    ●英語授業に機械翻訳とChatGPTを組み合わせた学習ツール

    立命館大学では、ChatGPTと機会翻訳を組み合わせた英語学習ツール「Transable」を2023年春に試験導入する、という取り組みを行いました。

    大学の英語授業に機械翻訳とChatGPTを組み合わせたサービスを試験導入

    既存の機会翻訳が出力した結果に対して、ChatGPTによる英語の指導が加えられて情報が提供されるものです。利用者が翻訳したい日本語の文章をChatGPTが適切な英語文章で提案してくれますが、それだけでなくその文章が適切と判断する理由も解説してくれます。これを英語学習に取り入れることにより、社会で使える英語スキルを学生自身が能動的に身に付けられるようにする、ということを目標としています。

    ●事務職員の報告書作成・プレスリリース・ニュース原稿作成

    東北大学での取り組みは、ChatGPTを導入し、業務の高度化・効率化の推進を図るというものです。2つの活用例が説明されています。

    ・システム運営業務での活用
    職員が用いるパソコンの管理や運用を行う業務のRPAのフローをChatGPTと対話をしながら作成する、というものです。これにより、システムの管理・運用業務の自動化を目指しています。

    ・広報業務での活用
    本学が出したプレスリリースを基にChatGPTを活用してニュース原稿を作成し、AIナレーターが読み上げることで、新たな音声・動画メディアを作成しています。その他にも、本学のイベント周知のために、ChatGPTを活用してキャッチコピーを作成するなどに活用しています。また、本プレスリリースの作成の一部にもChatGPTを活用しています。

    4つの大学でのChatGPTの活用例を紹介しましたが、その他にもたくさんの取組みが行われています。また、ChatGPTの性能がこの1年で飛躍的に向上しているので、さらに活用範囲が広がっています。新たな活用例を別の機会にご紹介させていただきます。


    2. 大学におけるChatGPT活用メリット

    大学におけるChatGPT活用メリット

    教育現場でChatGPTを活用することにはたくさんのメリットがあります。大学におけるとは言っても、大学だけに限られるものではありませんが、活用のメリットをまとめてみました。

    ●教職員のメリット

    ・業務効率化することで負荷を軽減することができます
    授業の準備やさまざまな行事の準備に、またいろいろな事務作業にChatGPTを活用することができます。たとえば、ほしい文章をChatGPTで作らせて、それを「たたき台」として活用し、自分の作成したいものを完成させます。ゼロから作るより、「たたき台」のあった方がずっと楽に早く作業を進めることができます。

    ・教育の質を向上させることができます
    業務を効率化するので、それによってできた時間をもっと創造性のある作業に用いることができるようになります。事務的な作業ではなく、授業の内容に踏み込んだ準備に時間を取ることができるようので、教育の質の向上を期待できます。

    ●学生のメリット

    ・学習の効率化
    ChatGPTは、学生の自主学習をサポートして、学生個人の理解を深めたり疑問を解消したりするのに役立ちます。例えば、教科書だけでは理解が難しい場合でも、ChatGPTとの対話を通じて理解を深めることができます。また、疑問が生じたときには、教科書に載っていないことでもChatGPTに質問して、すぐに調べることができます。このように、学生はChatGPTを活用することで、学習の質や効率を向上させることができます。

    ・情報の活用能力の向上
    現在、高校では「情報Ⅰ」(プログラミング教育)が必修となっています。学生はプログラミング技術を理解して活用する能力はとても重要です。同じように、学生がChatGPTのような最先端の技術を学んで、活用する機会を持つことは、その能力を高める助けとなります。

    ・学習意欲の向上
    これまでの授業では、主に先生が一方向に情報を提供し、生徒はそれを理解し覚えることが求められていました。しかし、ChatGPTを使った学び方は違います。生徒は与えられたテーマについて理解するためにChatGPTから教えてもらいます。そして、自分が疑問に思ったことをChatGPTに質問して答えを得て学んでいきます。このプロセスを繰り返すことで、出されたテーマについて深く理解することができるようになります。そして、ChatGPTは何度聞いても、同じことを繰り返し聞いても、決して嫌な顔はしません!ChatGPTとの対話を通じて、自分のペースで、自分がわからないことを中心に学ぶことができるので、楽しく積極的に学習に取り組むことができます。

    3.大学におけるChatGPT活用の注意点

    大学におけるChatGPT活用の注意点

    ChatGPTを活用する上での注意点はいくつかありますが、ここでは大学で関係する注意点に絞って紹介します。

    ●文部科学省の生成AIガイドラインを確認する

    多くの大学では、AIをどう使うかについてのルールを作っています。それぞれの学校の状況に合わせて、AIの使い方のルールを見直していくことが大切です。文部科学省は、大学や高専が参考にできるように、AIの使い方の例や注意点をまとめて知らせています。

    大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについて(周知)

    この指針の中で、特に下線が引かれた部分がありましたので、それが含まれている節をこちらにご紹介します。
    「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについては、各大学・高専において、具体的に行われている教育の実態等に応じて対応を検討することが重要であり、学生や教職員に向けて適切に指針等を示すなどの対応を行うことが望ましい。その際、生成AIに関しては今後も急速な進歩が続き、教学面への影響が変化することも想定されるため、継続的な状況把握に努め、技術の進展や指針等の運用状況などに応じ、対応を適宜見直していくことが重要である。」

    要点をまとめると次のようになります。
    ・生成AIの扱いは、それぞれの教育現場の実態に合わせて対応を考えることが大切
    ・学生や教職員に対して、適切な指針を示すことが望ましい
    ・生成AIはこれからも急速に進歩し、教育に与える影響も変わる可能性があるので、いつも状況を把握して、技術の進展や指針の運用状況に応じて対応を見直すことが重要

    ChatGPTの活用について、ぜひ文部科学省の生成AIガイドラインを参考にしてみてください。

    ●個人情報・機密情報の情報漏洩リスクを教育し対策する

    ・個人情報や機密情報の漏えいのリスク
    無料版ChatGPTやChatGPT Plusでは、入力したデータや会話の内容がOpenAIのAIモデルの学習に使われます。そのため、もし個人情報や機密情報を入力してしまうと、その情報は他の人がChatGPTを使うときに使用される可能性が生じます。その結果、重要な情報が漏洩してしまう危険となります。実際に、韓国のサムスン電子では従業員がChatGPTを使ったことで3件の機密情報が漏れたということがニュースになりました。
    それで、ChatGPTを使うときは、個人情報や機密情報を入力しないようにするガイドラインを作ることが大切です。また、入力したデータや会話の内容がAIモデルに学習されないようにする対策(オプトアウトなど)を取ることも必要です。

    ・ハルシネーションのリスク
    ハルシネーション(Hallucination)とは、生成AIがユーザーの質問に対して、事実とは異なる情報や、実際には存在しない情報を生成する現象を指します。日本語では「幻覚」と訳され、まるでAIが「幻覚」を見ているかのように、もっともらしい嘘を出力することがあるのでこう呼ばれています。ChatGPTは賢くて便利なAIですが、常に正しい情報を出すとは限りらないので、ChatGPTの情報をそのまま信じるのではなく、必ず人間が確認して正しいかどうかをチェックすることが必要です。
    また、ハルシネーションとは異なりますが、人間は最初に出された答えを信じてしまう傾向があります。それで、ChatGPTにお願いするときは、1つだけでなく、複数(例えば3つとか)の提案を依頼して、その中から自分が選択するという機会を作ることでこの問題を避けることができます。

    ●学生の思考力の低下を予防する

    学生がChatGPTを使うときに心配なのは、宿題やレポートなどを自分で調べたり考えたりせずに、すべてChatGPTに任せてしまうことです。課題を通して学生の考える力や文章を書く力を育てることができますが、ChatGPTに全部任せてしまうと、そうした力を育てる機会がなくなってしまう可能性があります。AIの利用にはバランスが大切です。適切に使えば、思考力を高める手助けになりますが、過度に依存すると逆効果になることもあります。それで、学生に出す課題に対して、ChatGPTをどのように使うかという点を事前に学生と話し合うとよいでしょう。


    4. まとめ

    ChatGPTの性能は、私たちの予想をはるかにこえて成長しています。あるAIセミナーでは、その成長が二次元曲線と言われていました。利用できる分野が広がり、利用の仕方も深くなってきています。私たちは生成AIをぜひ便利なツール(道具)として使いこなしていきましょう。弊社のセミナーで何度かMoodleで利用できるOpen AIの機能を紹介させていただきましたが、生成AIを使った便利な機能がMoodleでも増えています。今後のブログでご紹介させていただきます。ご興味のある方はぜひ、株式会社ヒューマンサイエンスにお問い合わせください。

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